ボトックス注射とは?効果やメカニズム、受けられない人や注意点について

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ボトックス注射はシワなどにとても効果がある美容治療です。医療から出発し厚生労働省も認証しているので効果はお墨付きです。ただし、ボトックスには種類があり注意すべきこともあります。また、受けられない人もいますので、知識を持って美容クリニックへいくことが大切です。

ボトックス注射とは

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ボトックス注射とは、ボツリヌス菌が産生するボツリヌストキシンという天然のたんぱく質の一種を製剤化したものを注入する美容医療の一つです。

ボツリヌストキシンには、アセチルコリンの放出を阻害する作用があり、局所的に筋肉の収縮を抑制することでしわを軽減したり、発汗を抑える効果があると言われています。

ボトックス注射が作用するメカニズム

楽しい時は、自然と口角が上がって目尻にしわが寄りますよね。

一方、怒っている時は眉間にしわが寄って、口が尖ります。

これは、感情に合わせて脳から顔の表情筋を収縮させるシグナルが送られるためです。

この時、神経と筋肉の接合部分ではアセチルコリンという神経伝達物質が放出されます。

アセチルコリンによって脳からの「収縮しなさい」という命令が筋肉に伝わると、筋肉の収縮に伴って皮膚にしわができますが、ボツリヌストキシンにはこのアセチルコリンの放出に関与するたんぱく質を遮断する働きがあることから、筋肉への情報伝達がされず、顔にしわが寄るのを防ぎます。

ただし、神経と筋肉の接合部分の情報伝達が遮断されても、やがてそこには新しい神経の芽が出現するため、情報伝達自体を永久的に遮断することはできません。

さらに、一度遮断した部分も時間の経過とともに再び開通し始め、それと同時に新しい芽が消失して、以前と同じ状態に戻ると言われています。

そのため、ボトックス注射による作用の継続は数ヶ月~半年ほどと言われています。

人体に害を与えるようなものではない

ボツリヌス菌は元々、ハムやソーセージなどの腸詰の食品を食べたことによる食中毒の原因として発見されたものです。

ボツリヌス菌にはA~Gまでの7種類があり、このうちヒトに対して毒性を持つのがA、B、E、P型とされています。

ボツリヌス菌が産生する毒素は非常に毒性が強く、500gで全世界の人口の致死量に相当すると言われています。

このように聞くと、「そんなものを体に入れて大丈夫なの?」と心配になってしまいますが、ボトックス注射にはボツリヌス菌の菌体や成分などは含まれておらず、人体に毒性をもたらすものではありません。

メスを使わない美容治療でNo.1の施術回数

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しわの改善を目的とした美容方法には、レーザーや糸などを用いたリフトアップなどがありますが、これらの施術ではダウンタイムが長くなってしまうことや、顔に傷が残ってしまうなどの問題を抱えていました。

しかし、ボトックス注射は施術してすぐ帰ることができ、翌日の出社もOKです。

もちろん、メスを入れて皮膚を切開する方法ではないので、手術そのものに抵抗がある方でも受けやすくなっています。

このような気軽さもあり、アメリカの美容形成外科学会の2015年の調査では、非外科的美容治療において最も多くの施術回数を誇っています。




ボトックス注射の効果

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表情じわの改善

主に表情を作る時にできる眉間のしわや、おでこの横じわ、目元の小じわといった、いわゆる表情じわは、顔にある表情筋の緊張によって作られると言われています。

ボトックス注射によって筋肉の緊張を解すことでしわが消滅し、肌にハリや弾力が生まれます。

ボトックス注入後、2~7日ほどで効果が表れ始め、2週間後に最大に達した後、3~6ヶ月程度持続します。

エラの治療

元々の骨格によってエラが張っている場合には適用できませんが、噛みしめや歯ぎしりなどが原因で咬筋が発達したことによるエラ張りは、筋肉を緩めて収縮させることで角張った顔の輪郭をシャープにすることができます。

効果が現れるには注入から2週間~1ヶ月ほどで、2~3度治療を繰り返すことでより鮮明に効果を感じられると言われています。

毛穴やニキビの改善

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皮膚のごく浅い部分にボトックス注射をするマイクロボトックスという施術方法により、毛穴の引き締め効果や、皮脂腺の働きを抑えることでニキビができにくい肌へと変える効果が得られます。

効果が現れるまでには2週間ほどかかりますが、繰り返し行うことでより効果がはっきりと表れ、作用期間も持続しやすくなります。

わきが、多汗症

脇や手、足の裏など局所的に大量の汗をかいてしまう多汗症や、独特の臭いがあるわきがは、どちらもアセチルコリンの分泌を抑制することで汗をかかなくなり、不快な症状が改善されます。このため、ボトックス治療がとても効果的です。

日本では重度の原発性腋窩多汗症については、ボトックス治療は健康保険が適用されます。

なお、局所的に汗を止めた場合、他の部位からの汗が多くなる代償発汗が起こることがあります。

団子鼻の改善

日本人に多い団子鼻は、鼻先や小鼻が広がっているのが原因と言われています。

小鼻の広がりは運動筋の発達によるものと考えられるため、筋肉の動きをやわらげることで引き締め効果を得ることができます。

施術後4~5日で効果が表れ始め、4ヶ月ほど効果が持続します。

ふくらはぎの引き締め

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ふくらはぎは元々脂肪が少なく筋肉が発達しやすい部位のため、通常のダイエットではなかなか引き締めることができません。

筋肉の過剰な発達によって膨らんだふくらはぎには、ボトックス注射が効果的です。

効果は半年から一年ほど持続しますが、繰り返し施術を受けることで効果が高くなります。

眼瞼痙攣、片側顔面痙攣

目の周りにある眼輪筋や、顔の片側のみの目、額、頬、口の持続的な痙攣が起こる疾患で、どちらも40代以降の中高年に好発します。

痙攣を起こしている部分にボトックス注射を打つことで、症状の改善を図ることができます。

注射後、2~5日程度で効果が表れ始め3~4ヶ月ほど効果が持続した後、再び注射前の状態に戻っていくため、繰り返し治療を行う必要がありますが、健康保険の適用対象となっています。

斜視

斜視は外眼筋の筋緊張などによって生じるもので、日本でもボトックス注射による斜視の治療については健康保険の適用になっています。

※効果を得るまでの時間が持続期間などには個人差があります。ここでは一般的な例としてご紹介しています。

固定じわには効かない?

ボトックス注射は、筋肉を弛緩させることでしわを改善するため、表情筋によって作られる表情じわには効果がありますが、表情に関係なく常にしわができているほうれい線や首のしわなどには効果がないと言われています。

ボトックス注射の安全性

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医療目的で製品化されたのが始まり

1960年代に入ると、ボツリヌストキシンの筋肉弛緩の作用を利用して、斜視治療の臨床応用が始まり、1977年にはA型ボツリヌストキシンをアメリカのアラガン社がボトックスとして商標登録し、アメリカ食品医療品局(FDA)による承認を受けて販売を開始しました。

日本においても、ボトックスは1997年に厚生労働省の認可を受けており、現在は眼瞼痙攣や片側顔面痙攣などの治療に用いられています。

その後に美容医療でも認可

ボトックスが美容医療に使われ始めたのは、1980年代の後半になります。

2002年にはFDAからしわの治療薬として承認を受け、さらに2004年には多汗症の治療薬としても承認を受けています。

日本でも、2009年には眉間のしわ取り治療薬として、アラガン社製のボトックスビスタが厚生労働省より承認されています。



ボトックス注射を受けられない人とは・・・

次にあてはまる人はボトックス注射を受けることができませんので、注意してください。

  • 全身性の筋肉の病気がある方
  • 妊娠中、授乳中の方
  • 抗生物質や筋弛緩剤など使用中の薬剤がある方
  • 喘息など慢性的な呼吸器疾患のある方
  • 妊娠を希望している方

妊娠に関しては、ボトックスが美容利用されてからまだ日が浅いこともあり、胎児への影響がどれくらいあるかなど、その安全性が確立していません。

そのため、妊娠を希望している方の場合、女性では最終投与から2回の月経を確認するまで、男性は最終投与から少なくても3ヶ月は避妊するように注意喚起されています。

ボトックスの種類・・厚生労働省が承認している薬剤は1つだけ

現在、厚生労働省から承認されているボトックスの薬剤は「ボトックスビスタ」のみで、それ以外の製剤は、国内の承認を得ていません。

ただし、他の薬剤も世界では広く承認されているものが多く、基本的には安全と言えます。クリニックでは安全性を確保した上で、様々な薬剤で治療を行っています。

治療を受ける際にはどのA型ボツリヌストキシン薬剤を使用するのか、そのメリットやデメリットをしっかりと確認しておくことが大切です。

なお、ボトックスビスタを用いた美容治療を行う際には、アラガン社による公式のセミナーを受講し、認定を受けた医師のみしか行うことができないことになっています。

ボトックス注射に使用される主な薬剤には以下のものがあります。

ボトックスビスタ

A型ボツリヌストキシン薬剤で、日本で唯一の承認を受けているものです。

ただしこれも、厚生労働省が認めているのは眉間のしわ取りに関してだけですので、その他の使用については効果が認められているわけではありません。

世界中で使用されていることもあり、多くの症例があることから信頼度や安全性は高いといえます。

ディスポート

イギリスのイプセン社製のA型ボツリヌストキシン薬剤で、2009年にFDAの承認が下りています。

広がりやすい性質から脇などの広い範囲に効果がでやすいと言われています。

ゼオミン

ドイツのメルツ社製のA型ボツリヌストキシン薬剤で、2010年にFDAの承認が下りています。その後ヨーロッパや韓国でも承認されています。

日本では承認されていませんが、広く使用されています。熱に強く品質を長期間維持できることや、抗体ができにくいことなどから、効果が高いと言われています。

ニューロノックス

韓国のメディトックス社製のA型ボツリヌストキシン薬剤で、KFDA(韓国食品医薬品安全庁)の承認が下りています。

ボトックスビスタと同様の効果がありながら、安く受けられることで一定の人気があるようです。

リジェノックス

韓国のヒューゲル社製のA型ボツリヌストキシン薬剤で、KFDAの承認が下りています。

ボトックスビスタと同様の製剤であり、世界で広く使用されています。費用が安いため使用しているクリニックも多くあります。

副作用は薬剤が多いと起こりやすい

副作用には以下のようなものが報告されています。

  • まぶたが下がる
  • 表情のこわばりが出る
  • 眉毛が下がる
  • 注射部分の痛みや内出血
  • かゆみや腫れ、赤み

これらの副作用は、薬剤の使用量が多い場合に起こりやすいと言われていますが、通常は時間の経過とともに消失します。

ただし、体調不良など気になる症状がある場合には、担当医に連絡をして診察を受けるようにして下さい。

なお、施述前には必ず医師から副作用やデメリットなどについて、説明を受けるようにしてください。

BNLS注射との違い

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BNLS注射とは、植物から抽出した脂肪を溶解する成分を配合した薬剤を、顔の気になる部分に注入することで、顔痩せや肌の引き締め効果を得ることができるものです。

そのため、脂肪の蓄積によって顔が大きくなってしまった場合には、とても効果があると言えます。

その一方で、筋肉の発達によるエラ張りで顔が大きく見える場合には、BNLS注射では効果が期待できません。

そのような時は、筋肉の緊張を緩め、収縮させることで顔を小さくするボトックス注射が効果的になります。

BNLS注射については関連記事を参考にしてください。

施術手順、時間、ダウンタイム

クリニックによって多少ことなりますが、施術の手順を簡単にご説明しますので参考にしてください。

顔の施術手順や時間

  1. カウンセリングや診察によって、ボトックス注射が治療として適しているか、またはどこにどれくらいの量を注入すると効果が得られるかなどを、相談、確認します。
  2. 洗顔をした後、ボトックス注射を開始します。
  3. 極細の注射器にて注射しますが痛みに弱い方には麻酔を使用する場合もあります。その際は麻酔が効くまで20~30分ほど待機します。ボトックス注射自体は1か所につき5~10分で終了します。
  4. 施術後はメイクをしてすぐ帰宅することができます。

多汗症やわきがの施術手順や時間

  1. 事前に脇毛の処理を行い、当日はデオドラント剤などの使用は控えて下さい。また、脇を露出しやすい格好で行きましょう。
  2. クリニックにてカウンセリングや診察を受けます。
  3. 麻酔を行います。
  4. 消毒の後、汗をかきやすい部分をマーキングしていき、片脇で10~15か所ほど注射を行っていきます。片方の脇で所要時間は5分程度ですので、両方行っても10分ほどで終わります。
  5. 感染防止の抗菌クリームを塗って終了です。そのまますぐに帰宅することができます。

ダウンタイム

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美容医療の中には、施術に伴う腫れや炎症、むくみなどのために、通常の生活に戻るまでの回復期間(ダウンタイム)が必要となるものがありますが、ボトックス注射の場合はこのダウンタイムは少ないと言われています。

そのため、施術を受けた翌日も出社が可能となる人が多くいます。

注意すること

ボトックスは熱に弱いため、施術当日はお風呂や激しい運動は控えるようにして下さい。

シャワーや洗顔は問題ありませんが、注射部分を強くこすったり、マッサージしたりしないようにして下さい。