フッ素に毒性?虫歯予防効果はあるの?

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最近の子供は虫歯が少ないですよね。自分たちが小さいころに歯医者で痛くないレーザー治療をやってくれて、フッ素洗口などの虫歯予防があればよかったのにとしみじみ思います。虫歯予防のために水道水にフッ素を添加しようといった話もありましたが、フッ素の毒性を提言する研究者が増えてきました。フッ素の益と害についてまとめています。

フッ素とは?

歯磨きイメージフッ素とは、もともと海や川の水(つまり、水道水)やお茶、海藻、小魚などに含まれる一般的な成分ですが、いろいろなものと反応しやすいため、通常は単体では存在していません。

たいていはフッ化ナトリウム(洗口剤や歯磨き粉などにはモノフルオロリン酸ナトリウムと記載されている場合もあります。)やフッ化ケイ素として利用されています。

1 歯磨き粉や洗口剤、フッ素ジェル

後述しますが、フッ素には歯の再石灰化を促す効果があるといわれており、歯磨き粉や洗口剤などとして広く普及しています。

フッ素入りの歯磨き粉は先進国の概ね90%以上で普及していると言われています。

歯医者さんで虫歯予防にフッ素塗布をするほか、最近では自宅でフッ素塗布をするためのフッ素ジェルも売られています。

2 フライパンなどの表面加工

「焦げ付かないフライパン」で有名なテフロンはフッ素化合物です。テフロン加工のフライパンは、油を使わなくても焦げ付かないため、とても便利ですよね。

3 冷媒

最近は聞かなくなってきましたが、昔は冷蔵庫やエアコンの冷媒としてフロンが使われていましたよね。

フロンもフッ素化合物の1つです。フロンは地球のオゾン層を破壊して温暖化を引き起こすことが判明したため、現在ではフロン以外の冷媒が利用されるようになってきました。

フッ素の虫歯予防効果

虫歯予防といえば「フッ素入りの歯磨き粉」や「フッ素洗口剤」や「フッ素ジェル」が知られていますよね。

歯は、食事のたびにカルシウムやリンといったミネラル成分が溶け出していますが、唾液によって溶け出した成分が戻されます。これが再石灰化です。

通常は、再石灰化によって歯の強度は保たれるのですが、再石灰化のバランスが崩れると初期虫歯が始まります。フッ素には、次のような効果があると言われています。

1 初期虫歯の治療

フッ素には再石灰化を促進する効果があり、初期の虫歯であれば再石灰化によって治ると言われています。

2 歯を強くする

女性イメージフッ素は、歯から溶け出したミネラル成分を戻す再石灰化の際に、歯の表面のエナメル質と結びついてフルオロアパタイトという硬い構造に変化します。

歯が強くなることでミネラル成分が溶け出すのを防ぎ、虫歯を予防します。

乳幼児の虫歯では治療が難しいこともあり、歯医者さんによっては虫歯の歯にピンポイントでフッ素を塗布し、歯を強化することで虫歯の進行を防いで、治療ができる年齢や抜け替わるまで様子を見ることもあるようです。

3 虫歯菌を除去する

フッ素は虫歯菌の活動を抑える効果があり、これによっても虫歯が予防できます。

虫歯予防のためには、歯医者で高濃度のフッ素塗布を3か月に1度行い、自宅でフッ素ジェルを使った低濃度のフッ素塗布を行うことが一般的です。

フッ素塗布後は30分は飲食を控え、十分にフッ素が浸透するようにします。



フッ素の毒性?

フッ素は虫歯予防に効果があり、フッ素を水道水に添加しようという議論が日本でも起こりました。

実際に、アメリカなどでは水道水にフッ素を添加しているところもあります。しかし、近年、フッ素の毒性について提唱する研究者が増えてきています。

WHO(世界保健機構)では、12歳で平均3本の虫歯を超えないことを目標としており、その目標を達成していない虫歯が多い国に対してフッ素洗口や水道水へのフッ素添加などを推奨しています。

日本ではすでに1999年の段階で目標を達成していますが、目標を達成した後では、フッ素の有効性よりも害が大きくなる可能性があるとして、フッ素の積極的な摂取を推奨していません。

1 歯フッ素症

生後6か月の赤ちゃんから5歳までの歯の発生期にフッ素を過剰に摂取すると、歯を覆うエナメル質の形成が阻害されて歯の表面にチョークのような光沢のできない部分ができてきます。

斑点状になることから斑状歯と言われていましたが、フッ素が原因とわかってからは歯フッ素症とよばれています。

掘り井戸からの水に含まれるフッ素化合物により、インドや中国で歯フッ素症(斑状歯)が問題となりました。

歯フッ素症(斑状歯)がひどくなると茶色の斑点ができ、歯がボロボロに弱くなります。

2 骨折・骨痛

フッ素を摂取すると、骨を硬くして骨密度が増えると言われています。歯磨き粉の「歯の再石灰化」効果などと同じような原理です。

少し前までは、閉経後の女性の骨粗しょう症の治療でフッ素を使用していましたが、現在では使用していません。「骨が硬い=骨折しにくい、丈夫」ではないことがわかってきたからです。

フッ素が蓄積した骨は硬いのですがもろく、骨折がかえって増加しました。また、骨にフッ素が蓄積することによって、痛みも強くなるということです。

3 ダウン症など

フッ素は遺伝子の染色体に対して異常を誘発する可能性があることがわかってきました。

最近は高齢出産の増加によってダウン症が増えてきていますが、事前にやめた方がよいとわかっていることであれば、注意して妊娠前に少しでも危険性を減らしたいです。

フッ素は、染色体異常を特徴とするダウン症の増加にも関与していると言われています。

生まれてきた子供にキスをしたときに虫歯菌がうつらないように、妊娠中に歯のフッ素コーティングをする方もいますが、歯科だけではなく産婦人科の先生にも十分に相談してから行いましょう。

4 糖尿病

血糖値を測定するために採血した血液は、そのままだとブドウ糖が消費されてしまい、血糖値が下がってしまいます。

これでは検査になりませんので、採血した血液はブドウ糖が減らないようにフッ素ナトリウムを混ぜておくそうです。

フッ素は血液中の酵素がブドウ糖を消費するのを阻害します。フッ素は、糖尿病の症状悪化にも影響を与えているのではないかと指摘されています。

5 急性フッ素中毒

子ども歯磨きフッ素を一度に大量に摂取すると、嘔吐、下痢、よだれなどの神経症状などが発現する急性フッ素中毒となる可能性があります。重度の場合は痙攣や心停止を起こし、死亡につながる場合もあります。

通常、大人であれば特に問題はありませんが、保育園や小学校などでフッ素洗口を実施している場合、うまく「ぐじゅぐじゅぺっ」ができなかったり、ふざけて背中を押されたりしてうがい中のフッ素液を飲み込んでしまう可能性があります。

保育園などで利用されている週に5回使う薄いフッ素液よりも、小中学生が使う週1回用の濃いフッ素液の方が危険です。

フッ素液をきちんと吐き出しているのを確認する、飲み込んでしまった場合にはすばやく吐かせるといった注意が必要です。


フッ素の摂取量

日本では、水道法によって水道水の水質基準が定められており、水道水に含まれるフッ素(化合物も含む)は0.8mg/L以下とされています。

実際には、日本の水道水には平均で0.1〜0.2mg/Lのフッ素が含まれています。

また、水道水は飲まないという場合であっても、川の水自体に水道水と同程度のフッ素が含まれているため、ペットボトルでも同様です。

アメリカなどのペットボトルでは、日本のペットボトルよりも多くのフッ素が含まれていることが多いようです。

アメリカでは、水道水にフッ素化合物を意図的に添加して供給しているところもあります。

しかし、アメリカでは通常はペットボトルなどの水を飲用しており、水道水を飲用している人は比較的少ないと言われています。

また、アメリカの水はもともと硬水でカルシウム分などが多く含まれており、腸から吸収されにくいフッ化カルシウムに変化するため、あまり大きな問題として取り上げられていないようです。

フッ素化合物の1日の摂取量の目安及び上限は次の通りです。

  • 生後0か月〜6か月(体重7kg)
    目安量:0.01mg、上限量:0.7mg
  • 生後7か月〜12か月(体重9kg)
    目安量:0.5mg、上限量:0.9mg
  • 1歳〜3歳(体重13kg)
    目安量:0.7mg、上限量:1.3mg
  • 4歳〜8歳(体重22kg)
    目安量:1.0mg、上限量:2.2mg
  • 9歳〜13歳(体重40kg)
    目安量:2.0mg、上限量:10mg
  • 14歳〜18歳(体重 男子:64kg、女子:57kg)
    目安量:3.0mg、上限量:10mg
  • 19歳以上の男性(体重76kg)
    目安量:4.0mg、上限量:10mg
  • 19歳以上の女性(体重61kg)
    目安量:3.0mg、上限量:10mg

これに対し、実際の一般的な日本人(成人)の1日のフッ素の摂取量を見てみると、次のようになります。

  1. 食べ物 1.1〜1.5mg
  2. 歯磨き 0.3mg
  3. 洗口剤 0.7mg
  4. 水道水 0.5mg

フッ素入りの歯磨き粉や洗口剤を使っていても1日の摂取量は合計3.0mg程度で、成人であれば上限値は超えていません。

しかし、8歳以下では上限量が2.2mgですので、毎日、フッ素入りの歯磨き粉や洗口剤を利用すると摂取しすぎということになります。

歯のエナメル質ができる時期にフッ素を過剰に摂取すると、エナメル質組織ができにくくなり、歯フッ素症(斑状歯)となる恐れがあります。

フッ素は上手に使えば虫歯予防などに有用です。しかし、何十年後のデータはまだそろっていないため、小さな子供に対して大人と同様と考えて利用するのは危険です。

歯医者さんや小児科の先生と十分相談して、フッ素を上手に虫歯予防に利用しましょう。