子どもに多い便秘症について原因、治療法、予防法などをまとめました。

子どもの便秘とは

子どもの便秘とは

便秘とは、便をする回数が少なくなったり、便が出にくくなり便が腸の中に溜まってしまうことをいいます。

毎日出ているからといって便秘でないとは言い切れません。毎日出ているけど、小さくコロコロとした便しか出ない、少しの軟らかい便が1日に何回も出る、さらには、排便時に出血や痛みを伴う場合には便秘の可能性が出てきます。

便秘が1か月から2か月ほど続くような場合は、慢性便秘症といって便秘が慢性化している可能性があります。たかが便秘ではなく、便秘症という病気であることを認識して、早めに治療を受けることが必要です。

赤ちゃんの便秘とは?

赤ちゃんの場合だと、少なくとも通常は3日に一度の排便があります。4日以上便が出ないと、お腹が張ってきたり、ぐずったりしてきます。ただし、便秘ではなく、単に便を上手に出せない赤ちゃんもいます。この場合は、後で説明しますが、おしりを少し刺激してあげることで、便が出やすくなってきます。

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便秘症の原因

原因

子どもの便秘は大人の便秘と違い、腸内環境には善玉菌が多く、腸自体に原因があることは少ないといわれます。はっきりとした原因が特定されないケースも多くありますが、食生活や生活習慣、ストレスなどがきっかけで便秘になることが考えられます。

便秘の原因として考えられる状況・環境

  • 幼いため便を出す筋力が弱い。
  • 無理なトイレトレーニングによるストレス
  • 学校に行っている子どもの場合は、学校での排便を我慢してしまう。
  • 学校生活などのストレス
  • 栄養バランスを欠いた食生活

特に、トイレトレーニングがかえって便秘の原因となったということは多いようです。トイレトレーニングは焦らずにゆっくり行うことが大切です。

悪循環がさらなる悪化につながる

一度便秘になると、便を出す機能や習慣が崩れてしまい、悪循環に陥る傾向があります。

日本小児栄養消化器肝臓学会と日本小児消化管機能研究会によると、悪循環には次のような2つのものがあるといいます。

1つ目の悪循環
  1. 便がたまってしまう
  2. 大腸が便から水分を吸収して、便が硬くなっていく
  3. 便が硬いと排便のときに痛みがるので、我慢してしまう → 1に戻る
2つ目の悪循環
  1. 便がたまってしまう
  2. 便が大きくなって腸が引き伸ばされてしまう。
  3. 腸に便があるのが普通の状態になり、便を出したいと感じなくなる → 1に戻る

赤ちゃんの便秘の原因は?

赤ちゃんの便秘症の原因の一つに哺乳量が少ないということがあります。哺乳の量が少ないことで、排泄物の量も少なくなり、便秘になってしまいます。

哺乳瓶からミルクをあげている場合は、赤ちゃんがどのくらい飲んでいるのかすぐにわかりますが、母乳で赤ちゃんを育てている場合には、実際に飲んでいる量がわかりにくいです。赤ちゃんがなかなか乳首を離さなかったり、おっぱいを欲しがって泣いたりする場合は、授乳の量が不足している可能性があります。

また、母乳からミルクへ切り替えるときや、離乳食の開始のときにも、便秘になることがあります。

赤ちゃんの時に一旦便秘になるとお腹が張って直腸が伸びてしまうことがあります。直腸が伸びると便を感じにくくなりますので、さらに便秘になってしまいます。排便時に痛みを感じると、排便を怖がるようになりますので、この場合もさらに便秘を悪化させることとなります。

便秘症の症状

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腸の中にとどまっている便は、水分を失ってしだいに硬くなっていきます。便が硬くなると、排便が非常につらくなり、肛門に強い痛みを伴うようになります。便秘が重くなるほど、便が硬くなって出にくくなるという悪循環になり、腸の中の便はさらに増えていくことになります。便が溜まってくると、下腹部痛などを伴ってきます。子どもの腹痛では便秘が原因となることが多いようです。

また、便秘が慢性化してくると、腸の中で詰まっている便の間から軟らかい便が漏れてくることや、溜まった便の一部がポロっと出てきたりすることがあります。いわゆる便失禁という状態が起こります。

便失禁は軟らかい便が多く、それを見たお母さんは便秘だとは思いにくいので、子どもを医療機関へ連れて行って便秘と診断されると、びっくりするようです。

また、浣腸や下剤で便をすべて取り除くとすっきりした表情をしたり、機嫌がよくなったりする子どもさんが多いです。

ここで一度リセットされると、便秘の悪循環が是正されます。

便秘症の治療・解消法

便秘症の治療や解消法は、主に生活習慣(排便の習慣)を見直すこと、食事療法、薬による治療の三つになります。

生活習慣(排便習慣)の見直し

先ほどの悪循環の説明のとおり、便が腸の中に長い期間とどまっていると、腸がその状態に慣れていきます。腸の中に便があることが当たり前になると、排便したいという感覚が鈍くなってしまい、さらに便が溜まってしまいます。トイレには行きたくなったら我慢せずに行くことが大切です。

トイレを習慣づける方法として、休日などにリラックスした環境を作ってあげて、少しずつトイレに座る習慣をつけてあげましょう。嫌々トイレに行くのでは逆効果です。トイレが緊張する空間ではなく、リラックスできる場所だというふうに教えてあげるといいでしょう。

また、学校にいるときはトイレに行きづらいと思いますので、毎朝に十分にトイレに行く時間を確保してあげて、習慣づけていくことも重要です。

その他、早寝早起きをして、きちんとした食生活を送ることや、適度な運動をすることも重要です。

食事療法

便の流れをよくするには、食物繊維をたくさん取ることが大切です。食物繊維は腸で吸収されず、水分を含んだまま排泄されますので、便を軟らかくする高価があります。野菜、果物、海藻、豆類、芋類などに含まれていますので、効率よく取るようにしましょう。

食物繊維表を掲載しておきますので、参考にしてください。

野菜類
品名 目安量 含有量(g)
スイートコーン 中1本 200g 6.2
モロヘイヤ(生) 100g 5.9
西洋かぼちゃ 1/8個 100g 3.5
春菊 100g 3.2
ごぼう 1/4本 50g 2.9
ほうれんそう(生) 100g 2.8
ブロッコリー(生) 1/5個 60g 2.6
切干し大根 10g 2.1
キャベツ(生) 1/10個 100g 1.8
トマト 1個 150g 1.5
にんじん 1/4本 50g 1.3
大豆もやし(生) 50g 1.2
きゅうり 中1本 100g 1.1
レタス 1/4個 100g 1.1
豆類
品名 目安量 含有量(g)
小豆(乾) 1/4カップ 40g 7.1
おから 50g 5.7
大豆(ゆで) 50g 3.5
納豆(糸引き) 1パック 50g 3.4
えだまめ 約15さや分 30g 1.5
そらまめ 5さや 50g 1.3
きな粉 大さじ1杯 7g 1.2
海藻類
品名 目安量 含有量(g)
ほしひじき 10g 4.3
焼きのり 1枚 3g 1.1
麺類
品名 目安量 含有量(g)
そば ゆで1玉 210g 4.8
スパゲッティ 乾燥 100g 2.7
うどん ゆで1玉 210g 1.7
くだもの
品名 目安量 含有量(g)
りんご 1玉 190g 2.9
バナナ 中1本 100g 2.7
キウイフルーツ 1個 100g 2.5
1玉 160g 2.1
パイナップル 1/8個 100g 1.5
いちご 20個 100g 1.4
温州みかん 2個(薄皮なし) 140g 1.4
いも・しいたけ
品名 目安量 含有量(g)
さつまいも 1個 200g 4.6
生しいたけ 2~3個 30g 1.1

※食品成分表2009、新食品成分表2011によります。

薬による治療

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薬は、便を軟らかくして、腸の働きを活発にします。便秘になってからではなく早めに医療機関を受診して、緩下剤でコントロールしましょう。

薬を飲んでいると、しだいに薬が効かなくなるのではと心配になると思いますが、医師の指示に従い、適切な量の浣腸や薬を使用して、毎日便を出して、腸内に便が残っていない状態を体に憶えさせていくことが大切です。

薬を飲むにあたっては、病院を受診して医師の指示に従い、指定された量を飲むようにしましょう。勝手に少なく飲んでしまったりすると、改善が遅くなってしまいます。

指定された薬を継続して使用していくことで、次第に便秘でない状態が続くようになり、そのうち、薬を使用しなくてもいいようになります。なかなか、改善しない場合は、医師と相談して治療を継続することとなります。

便秘症はすぐには治りませんが、生活習慣、食事療法、薬を飲むことを継続することによって、しだいに改善していくものです。自分の勝手な判断で治療を中断すると、便秘の状態に戻ってしまうことがあります。治療は長期間に渡ると考えて、医師と相談して、適切な治療を受けてください。

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赤ちゃんの便秘の治療・解消法

赤ちゃんの便秘については、基本的には治療方法がありません。できるだけ、便秘を解消できるよう、家で次の方法を試してみるといいでしょう。

肛門を刺激してあげる

綿棒の先ににワセリンなどを塗ってなめらかにして、肛門から1~2cmくらい中に入れてあげます。(腸を傷つけないように、綿棒の「綿」の部分までにします。)

やさしく刺激してあげてください。赤ちゃんは肌が敏感ですので、十分に注意して行ってください。便秘が続くようなら毎日やってあげます。

柑橘類などのジュースをあげる

リンゴやみかんなどの柑橘類を絞ったものを3倍くらいに薄めたジュースを作って、10~20ml程度を飲ませてあげます。

ヨーグルトや食物繊維を与える

離乳を始めている赤ちゃんの場合、ヨーグルトを毎日少しずつ食べさせてあげます。

また、水分をたっぷりと含ませ、いも、豆、野菜などの食物繊維の多いものを含ませるといいでしょう。

マルツエキスやラクツロースを与える

肛門への刺激や、柑橘類のジュースを飲ませても便秘が続くようなら、マルツエキスやラクツロースなどを与えてもいいでしょう。

これらは、糖類で便そのものが硬くならないようにするものです。したがって、便秘になったから飲むというよりは、なる前に飲んでおくものです。

ただし、自己判断で使用するのではなく、まずは病院で病的な便秘がないかを診断してもらうことが大切です。必要な場合は医師が処方してくれますし、保険も適用されます。

  • マルツエキス
    マルツエキスは、でんぷんを原料として、その麦芽糖でできたものです。マルツエキスの麦芽糖は小腸で分解・吸収されにくく大腸まで到達します。麦芽糖は大腸の善玉菌の栄養となり、善玉菌は短鎖脂肪酸という有機酸をつくります。このことによって腸の運動が活発になり、便が出やすくなります。
  • ラクツロース
    人の消化管には、ラクツロースを分解する酵素がなく、体内に入ったラクツロースはそのまま大腸へ到達します。ラクツロースは周囲の組織から水分を引き込み、便をやわらかくする役割が果たします。ラクツロースはこの作用をゆっくりと発揮していきます。

上記の内容を行っても便秘の症状が改善しないようであれば、下剤や浣腸を使用することもあります。

医療機関への受診について

便秘で病院を受診する人は、実はあまりいないようです。その理由は、保護者が子どもの便秘を大したものではないと思っているからです。1年や2年も便秘でつらい思いをしてから病院へくる子どもさんも多いようです。また、小児科などで一時的に浣腸などの治療を受けるものの、継続して治療しないため、何度も繰り返して便秘症になってしまう人も多くいます。

治療するには、じっくりと長期間かけて行うことが大切で、場合によっては入院治療をすることも必要なようです。

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便秘症の予防

予防法は治療法にもあった、生活習慣と食生活になります。ここでは注意点を挙げておきますので、治療法の内容と併せてご覧ください。

生活習慣の注意点

  • 朝起きたらコップ1杯の水を飲んでから、必ず朝食をとります。腸が動き始めます。
  • 登校前にはトイレへ行くために15分くらい時間を確保しましょう。意識して時間を確保しないと、トイレが落ち着かなかったり、我慢することになってしまいます。
  • 早寝早起きをします。夜更かしすると便秘になりやすい状態となります。

食生活の注意点

  • 水分は適度に取ります。過度に水分を摂取する必要はありませんが、意識することが大切です。
  • 食物繊維を多くとるようにします。(上記の食物繊維表を参照してください。)不溶性食物繊維は、野菜に多く含まれます。水分を吸収するので、便を出しやすくします。水溶性食物繊維は、海藻やネバネバした食品に多く含まれます。腸内の善玉菌の働きを助け、便を出しやすくします。中でも、もずく酢などは効き目があるようです。
  • オリゴ糖はそのまま大腸に届き、腸内の菌の活動を活発にします。砂糖、味噌、醤油、タマネギ、バナナなどに多く含まれています。

看護師からひとこと

便秘症は、その期間が長ければ長いほど、治療にも時間がかかります。また、乳幼児の便が大人と同じ性状(状態)の場合、硬い(便秘)と言えます。

座ったらオムツの中で潰れてしまうくらいでなければ、完全な便秘です。「出ているからいいや」ではなく、便の性状と合せて便秘かどうか判断しましょう。

まとめ

  • 便秘の原因には、ホルモンの病気や、腸、肛門の先天的な異常などが考えられますが、特定できないものも多く、ストレスなども原因と考えられます。
  • 便秘症になると、便は水分を失ってしだいに硬くなっていきます。便が硬くなると、排便がうまくいかず、さらに腸内に便が溜まってしまうこととなり、悪循環となります。
  • 便秘が慢性化してくると、腸内に溜まって便の間から軟らかい便が漏れてくることがあります(便失禁)。
  • 便秘症の治療は、主に生活習慣(排便の習慣)を見直すこと、食事療法、薬による治療の三つになります。
  • 赤ちゃんの便秘症については、医師と相談しながら、家庭でできることを試してみるといいでしょう。
  • 便秘の治療にはある程度の期間がかかると考えて、薬を使用して一時的に便秘が改善しても、医師の指示通りに薬を続けて、腸内に便が溜まらない状態が習慣となることが大切です。
  • 便秘症の予防においては、生活習慣、食生活がとても重要になります。食生活においては、便秘を予防するおいしいレシピもありますので、楽しみながら予防するといいでしょう。
子どもの便秘に関する質問や回答が多く寄せられていますので、こちらも参考にしてください。

参考サイト

日本小児栄養消化器肝臓学会

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