スズメバチの危険性や刺された時の対処法について説明します。

スズメバチの生態や危険性とは

スズメバチ

最近、全国各地でクマの出没が相次いでいますが、本格的なレジャーシーズンを迎えた今、山や川へ出掛ける予定のある方は特に警戒されていることと多いと思います。

しかし、実はそのクマよりも夏になると増えるのが、スズメバチによる被害です。

スズメバチによる死亡者は年間で10~30人にも及び、これはクマの10倍の多さとも言われています。

このようなことから、スズメバチは日本において人間にとってもっとも危険な野生生物と言われています。

スズメバチは、ハチ目スズメバチ科スズメバチ亜科に属する昆虫の総称を指します。

ハチは世界に10万種、日本にも4,000種ほどが生息していると言われていますが、この中で人間(外敵)を襲う習性のあるものはスズメバチを含むごくわずかとなっています。

人間を襲うハチには、私達にとって身近な存在とも言えるミツバチも含まれますが、ミツバチは人間を刺すと内臓も一緒に抜けてしまうため、自らの命も絶つことになります。

〝ハチの一刺し〟という言葉は、ここから由来していると言われていますが、スズメバチはミツバチとは違い、何度でも針で刺すことが可能となっており、一度刺されたからと言ってそれで終わりではなく、またすぐに襲ってくる可能性があります。

なお、スズメバチという名前の由来については、体が鳥類の雀(すずめ)並に大きいことや、巣が雀の模様に似ているからと諸説あり、はっきりした理由はわかっていません。

スズメ

毎年、夏になるとスズメバチによる刺傷事故が各地で相次ぎますが、その理由としては、春に産まれた幼虫が羽化し、働きバチとして活動を始めるタイミングがこの時期だからだと考えられています。

特に、8月から9月に掛けては、スズメバチは巣を大きくするために、外敵から守ろうと活発になるため攻撃性が増してきます。

さらに、9月の中旬頃から10月の中旬は、巣が巨大化すると共に繁殖の最盛期を迎えることから、より一層攻撃的となります。

スズメバチによる被害の多くは、スズメバチの巣に気付かずに近付いてきた外敵から、巣を守ろうとして起こります。

スズメバチには、巣に近付いてくる外敵に対して警戒範囲が設けられており(種類によって数mから10m程度と差があります)、この範囲内に外敵が侵入してくると、顎をカチカチと鳴らして警告しながら旋回を始めます。

その時点でスズメバチの巣に気付き、立ち去ることができればよいのですが、気付かずにそのまま侵入をしてしまうと集団で攻撃を始めます。

スズメバチが襲ってくると、恐怖心からつい手で払ったり、大声を上げて走って逃げようとしてしまいますが、そのような行動は返ってスズメバチが興奮してしまう原因となってしまいますので注意しましょう。

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スズメバチの主な種類

スズメバチは世界に約70種類、日本には16種類が生息していると言われています。

ここでは、国内に生息している主なスズメバチの種類をご紹介したいと思います。

オオスズメバチ

スズメバチの中でも、最も凶暴、かつ大型なのがオオスズメバチです。

日本全国に分布しており、腹部が黄色と黒の縞模様なのが特徴です。

スズメバチは、家の軒下などに大きな巣を作っているイメージがあると思いますが、オオスズメバチはそのような場所よりも、朽ちた樹木の空洞部分や土の中に巣を作る傾向にあり、そのため巣の存在に気付かずに近くを通ってしまい、振動によって刺激されたオオスズメバチに襲われるケースが多くあります。

またオオスズメバチは、巣に近付いた人間は勿論ですが、蜜や幼虫を蓄えたミツバチや他のスズメバチの巣を襲うこともあり、毒の量もスズメバチの中では一番多いと言われています。

キイロスズメバチ

キイロスズメバチは、キイロという名前の通り、見た目に黄色の割合が多く、その色合いも鮮やかで発色が強いのが特徴となっています。

日本国内に生息するスズメバチの中では最も小柄なスズメバチとなっていますが、家の軒下や天井、庭の木など、人間が住んでいる都市部にも巣を作ることが多く、加えて攻撃性も高いため、スズメバチの中では日常生活の中で被害に遭うケースが多いと言われています。

また、キイロスズメバチには引越しをする習性があり、最初は木の空洞や土の中など比較的狭い場所で巣を作るものの、働きバチの数が増えてそこが手狭になると、家の軒下など開放的な場所に短期間のうちに大きな巣を作ります。

そのため、今まで巣がなかったところであっても、ある日突然巣ができることも多々あります。

なお、キイロスズメバチは北海道から沖縄まで幅広く分布していますが、北海道ではケブカスズメバチと呼ばれています。

コガタスズメバチ

コガタスズメバチの巣

コガタスズメバチは、やや小ぶりであるものの姿形はオオスズメバチにとてもよく似ているため、パッと見て区別がつきにくいと言われています。

ただし、土や木の中に巣を作ることが多いオオスズメバチとは異なり、コガタスズメバチはガレージや屋根の庇部分、庭木など、スズメバチの中では最も人間の近くに巣を作るのが特徴となっています。

また、コガタスズメバチの巣は、初期段階ではとっくりをひっくり返したような形となっているため、オオスズメバチと見分ける際に参考にしてみて下さい。

なお、コガタスズメバチはスズメバチの中では比較的大人しい性格で、巣を刺激しなければ襲ってくることはないと言われています。

ただし、庭の木に巣があるのを知らずに揺らしてしまったりすると、襲われることが多いので注意が必要です。

ヒメスズメバチ

日本国内ではオオスズメバチに次いで大きいスズメバチですが、攻撃性はスズメバチの中では最も小さく、毒性もあまり強くはありません。

お腹の先端部分から針の付け根が他のスズメバチと比べて黒いのが特徴で、天井裏や物置など閉鎖的な場所に好んで巣を作ります。

スズメバチに刺されるとどうなるのか

スズメバチに刺されると、強い痛みと共にすぐに刺された部分が赤く腫れ上がってきます。

スズメバチは基本的には集団で行動をしており、一匹が人間を刺すとその信号が周囲のスズメバチにも送られて、次々と攻撃をしてきます。

単体のスズメバチに刺されて、その毒で死亡するということは殆どありませんが、複数のスズメバチに刺されてしまうと毒の量が多くなり、最悪の場合死に至る危険もあるため、スズメバチに刺された時は他からも刺されないように、できるだけ早くその場から立ち去るようにして下さい。

アナフィラキシーショックに注意!

アナフィラキシーショック

スズメバチに刺された時に最も警戒すべきなのが、アナフィラキシーショックです。

アナフィラキシーショックとは、簡単に言うと人間に備わっている免疫が過剰に働いてしまい、強いアレルギー反応を起こすものを言います。

過去にスズメバチに刺されたことがある場合、その際に体内ではスズメバチの毒に対する抗体ができます。

そして、再び同じスズメバチに刺されてしまうと、一回目の時に体内でできた抗体が強い拒否反応を起こし、嘔吐やめまい、じんましん、発汗、顔面蒼白、頭痛、腹痛などの全身症状が現れます。

さらに症状が悪化すると、血圧が低下し意識障害や呼吸困難に陥ることもあります。

スズメバチによる死亡の多くが、アナフィラキシーショックが原因と言われています。

すぐに救急車を呼ぶ!

救急車

アナフィラキシーショックは、スズメバチに刺されてから早ければ10分程度で現れることがありますが、一時間以上が経過した時点で何もないからと言っても決して安心というわけでもありません。

時間の経過と共に徐々に症状が現れることもあるため、スズメバチに刺されたら、症状の有無に関わらずすみやかに病院へ行くようにして下さい。

なお、アナフィラキシーショックと思われる症状がある時は、1分1秒が生死を分けることになるため、躊躇わずに救急車を呼ぶようにしましょう。

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応急処置の方法について

スズメバチに刺されてしまった時は、すぐに以下の応急処置を行って下さい。

刺された部分をつまんで、針を外に押し出す

この処置が早ければ早いほど、毒が体内に回るのを防ぐことができます。

ただし、この時に指でつまんで針を抜こうとすると、針を押して深く刺さってしまうことがあるため、刺された部分をつまんで針を押し上げながら、ピンセットや毛抜きで抜くようにしましょう。

ピンセットがない時は、クレジットカードなど硬いカードの端を皮膚にあて、表面をこすると針を抜くことができます。

なお、口で吸って吐き出す方法も有効と言われていますが、口の中に傷がある場合、そこからもスズメバチの毒が回ってしまうため危険ですので止めましょう。

また、山などスズメバチに刺される可能性のある場所へ行く時はあらかじめ、針や毒を吸い出してくれる〝ポイズンリムーバー〟を持っていくとよいでしょう。

ポイズンリムーバー

→ ポイズンリムーバー(販売店)

ミツバチの場合(参考)

上記の「刺された部分をつまむ」という方法はスズメバチに有効なものですので、ミツバチの場合には行わないようにして下さい。

ミツバチの針はスズメバチとは異なり、〝返し〟と呼ばれる部分がついており、皮膚に刺さると簡単に抜けない仕組みとなっているので、刺された部分をつまんでも押し出されることはありません。

また、ミツバチの針には〝毒嚢〟と呼ばれる毒を溜めておく袋のようなものがあり、人間を刺すとこの毒嚢が針と一緒に付いてきます。

そのため、指で針を抜こうとすると誤って毒嚢を押してしまうことがあり、余計に毒を体内に注入してしまう恐れがあります。

ミツバチに刺された時は、毒嚢を押し込まないように、クレジットカードなどで弾いで針から外した上、ピンセットで針を抜くようにして下さい。

ただし、針が上手く抜けない時は無理をせず、病院で処置をして貰うようにして下さい。

水で洗う

水

スズメバチの毒は水に溶けやすいという性質を持っていることから、つまんで毒を押し出すのと同時に水で洗い流すのも効果があります。

また、スズメバチに刺されたらアンモニアがよいとして、おしっこを掛ける方がいらっしゃいますが、これは間違いです。

スズメバチの毒はアンモニアでは中和されないどころか、傷口に殺菌が入り返って症状を悪化させてしまうことがありますので止めましょう。

抗ヒスタミンやステロイド剤があれば使用する

かゆみや腫れを鎮める効果があるため、もし携帯しているようであれば使用しましょう。

スズメバチに刺されないための予防法

スズメバチからの攻撃を避けるためには、巣に近付かないことが一番ですが、それ以外にも有効な予防法があります。

ここでは、スズメバチから身を守るための方法をご紹介します。

黒っぽい服装は避ける

黒い服

スズメバチは黒いものに反応する、ということを聞いたことがあると思いますがこれは本当です。

なぜ黒に反応するのかはよくわかっていませんが、人間を襲う時には髪のある頭付近を狙うことが多いことから、山に入る時は黒っぽい服装を避け、頭は白い帽子で覆うのがよいでしょう。

また、長袖や長ズボンを着用して、肌の露出する面積を少しでも少なくすることも大切です。

スズメバチの針は衣服も通してしまいますが、素肌を直接刺されるよりも被害を小さくすることができます。

匂いのするものを近くに置かない

ジュース

スズメバチは匂いに敏感で、特に甘い香りを好むと言われています。

キャンプ場で、ジュースの飲み口を開けたまま長時間放置していて、中にスズメバチが入り、それに気付かずに飲もうとして唇を刺されてしまったという例もあります。

近くにスズメバチの巣がない場合でも、食べ物や飲み物をそのままにせず、食べ終わったらすぐに片付けるようにしましょう。

また、食べ物だけではなく、化粧品や香水の匂いもスズメバチを引き寄せる原因となってしまうことから、野外活動の際にはこれらの使用は控えるようにしましょう。

体勢を低くして屈んで逃げる

かがむ

スズメバチは、真下のものが見えにくく、なおかつ左右に動くものを追う習性があるため、万が一スズメバチに遭遇したら、体を屈めて小さくし、スズメバチから見て真正面を後ろに逃げるのがよいと言われています。

スズメバチは、巣から50~80mほど離れてしまうと襲ってはこないと言われていますので、その辺りまで音を立てないようにして静かに向かいましょう。

スズメバチの巣を見つけたら?

スズメバチの巣

自宅の軒先や天井裏などにスズメバチの巣を見つけたら、危険なため駆除をする必要があります。

基本的には土地の所有者が業者を雇って駆除をしてもらうのが一般的ですが、地域によっては、役所が無料で駆除を行ってくれたり、駆除の費用の補助が出る場合もあります。

また、無料駆除は行っていなくても業者を紹介してもらえることが多いので、スズメバチの巣を見つけたら場合は、まずは、役所へ連絡してみるのがよいでしょう。

スズメバチの巣の駆除の費用は、巣の大きさや業者によって異なりますが、通常は10,000~30,000円ほどになります。

なお、スズメバチの巣を自力で駆除する方がいらっしゃいますが、お勧めすることはできません。

それでもどうしても自分で駆除したいという場合は、自己責任の上で、防護服や殺虫剤などを用意し、自分の身の安全は勿論ですが周囲の安全も確保して行うようにしましょう。

ただしその場合においても、自力で駆除をするのは5~6月頃の、まだ小さい巣に限ります。

それ以降になると、巣の大きさが50センチを超えてくるため、素人が駆除を行うのは大変危険になります。

勝手に自宅の敷地内に巣を作られて、それを自分の実費で撤去しなければならないことに納得ができない気持ちもあると思いますが、上記に記載した通りスズメバチに集団で刺され
ると命を落とすこともあります。

何よりもご自身の命を最優先するよう、重ねてお願い申し上げます。

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