子どもの「腹痛」の原因は?よくある腹痛についてまとめました。

子どもは大人と比べて免疫力が低いので体調を崩しやすいです。その中でも「腹痛」はよくみられる症状の1つです。腹痛を症状とする病気はたくさんあるため、すぐに特定するのは困難です。ここでは比較的多くある病気を説明します。

  [便秘, 感染症]

更新日:2017年03月27日

※この記事は看護師が監修をしています。

腹痛をおこす代表的な病気

子どもの腹痛に原因となるものには軽症のものも多くありますが、手術などの緊急の処置を要する病気もあります。代表的なものを一つずつ説明していきたいと思います。

  • 便秘
  • 胃腸炎
  • 腸重積
  • 虫垂炎
  • ストレス

便秘

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便秘とは、便が硬くなり出しにくい状態のことを言います。

症状

腹痛の他に腹部の張りを感じることがあります。便秘が進行すると食欲が低下したり、吐き気が出現します。便はコロコロしたウサギのような便、ウインナー状の便で硬い便がみられます。

原因

乳幼児の場合は筋肉の発達が未熟で、筋力が弱いために便を上手に排出できないことが多いです。離乳食で固形物を食べだすと便が少し硬くなるので便秘になる子が増えます。

幼児では、トイレトレーニングでトイレに行くことが嫌で我慢して便秘になる子も多くいます。また、トイレトレーニングでは大人が原因になっている場合も多く、「失敗すると叱られる」というストレスにより交感神経を刺激して腸の動きを悪くさせている場合があります。この大人からのストレスは最近問題視されています。

学童期になると学校での排便が嫌で我慢し便秘になる子が多いです。我慢することにより腸内の便が硬くなり、ますます便を出すのが困難になります。すると更に便が硬くなるという悪循環に陥ります。

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治療

乳児では綿棒浣腸が有効です。綿棒の先にワセリンやオリーブオイルを塗って肛門から1~2㎝程度入れ、優しく「の」の字を描くように肛門を刺激します。綿棒を入れ過ぎると腸を傷つける可能性があるので、綿棒の先(綿)の部分だけ入れるようにします。

また、腹部を温め優しく「の」の字マッサージし、腸の動きを刺激することも効果的です。それでも排便がみられなければ病院に受診して下さい。離乳食が原因になっている場合もあるので一緒に相談すると良いでしょう。

幼児や学童期の子の場合は、早朝にコップ一杯の水を飲むと腸が刺激されるので良いでしょう。また、幼児と同じように腹部を温めたりマッサージするのも効果的です。

それでも効果がない場合は病院で医師に相談し、必要な場合は下剤などを処方して貰いましょう。下剤は漢方薬や錠剤、粉末、坐薬など様々な形状のものがあります。必要であれば浣腸を行う場合もあります。

予防

便秘の予防は規則正しい生活を送ることです。早寝早起き、バランスの良い食生活を心掛けてあげて下さい。便秘予防には繊維質の高い食物を摂るのが良いでしょう。ごぼうなどの根菜類、海藻、きのこ、がぼちゃやサツマイモ、バナナなどがあります。

牛乳などの乳製品は便秘に良いとされていますが、それは大人の場合で、子どもには効果は薄いと言われています。また、朝は排便が出来るくらいの十分な時間を確保してあげることも大切です。

そしてストレスも便秘の原因となりますので、リラックス出来る環境を整えてあげるようにしましょう。トイレトレーニングなどは長期的に温かい目で見てあげるようにして下さい。

胃腸炎

便秘

食中毒や冬場に流行る感染性胃腸炎として多くみられます。子どもの胃腸炎のほとんどがウイルスによるものです。

症状

腹痛に加え、吐き気や嘔吐、下痢などを伴うことが多くあります。発熱や咳、鼻水など風邪症状が一緒にみられることもあります。症状から「嘔吐下痢症」と呼ばれることもあり、下痢が酷くなると血便になることがあります。これらの症状が2~3日、長くて2週間持続します。

原因

ノロウイルスやロタウイルスによるものありますが、ほとんどは名前もわからないようなウイルスや細菌が原因となります。これらのウイルスは感染力が強いものも多く、便や吐物と一緒に排出されたウイルスによって人から人に移り流行します。

ノロウイルスは11月頃~冬場にかけて、ロタウイルスは冬場から4月頃まで毎年流行しています。夏場は加熱が不十分な食物などを介してカンピロバクターやサルモネラなど食中毒による細菌性の胃腸炎が多くみられます。

この他にもアデノウイルスや黄色ブドウ球菌などが胃腸炎の原因となります。

治療

胃腸炎に対しての特効薬はなく、安静と十分な水分補給が治療の主体となります。特別薬を飲まなくても自然治癒しますが、嘔吐や下痢が激しい場合は症状を和らげるため、吐き気止めや整腸剤などが処方されます。

経口補水液をゆっくりと飲ませることで水分補給を行いますが、吐き気が激しく、経口補水液を飲めない場合や、下痢により水分の喪失が激しい場合は点滴で補液を行います。場合によっては入院することもあります。特に子どもは大人と比較して脱水症状を起こしやすいので特に水分補給は意識して行わなければいけません。食事は状態を見ながらおも湯から開始して徐々に普段の食事に近付けていきます。

合併症

胃腸炎の原因となるウイルスや細菌はそれ程怖くありません。胃腸炎で一番注意すべき症状は「脱水症状」です。特に子どもは大人と比較し水分の割合が高いので脱水になると身体への影響が大きくなります。

脱水症状を起こすとだるさ、食欲不振、めまい、頭痛などの症状がみられます。更に進行すると意識が朦朧としたり、痙攣などを起こし生命に関わることがあります。保護者の人は、皮膚の乾燥、尿量、活気や機嫌、意識の状態などを注意して観察するようにして下さい。

予防

感染性胃腸炎は流行すると予防するのはなかなか難しいです。しかし、手洗いやうがいをしっかり行うこと、マスクを着用することである程度予防することが出来ます。また、流行している時期は人ごみを出来るだけ避けることも予防になります。

また、食べるものはしっかり火を通す事も胃腸炎の予防になります。特に食中毒が起こりやすい夏場はしっかり加熱するようにして下さい。また、包丁やまな板などはマメに消毒するようにしましょう。

腸重積

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2歳までの子どもに多い病気です。名前の通り腸が重なってしまう病気で、腸が腸の中に入り込んでしまいます。腸の血液循環が障害されるので早急に対応しないと腸が腐ってしまうことがあります。

症状

腹痛、血便、嘔吐が腸重積の3大症状です。腹痛は突然始まり、痛くなったり治まったりと間欠的な痛みがみられます。また、腸重積は腸が腸の中に入り込むため、入り込んだ腸が外側の腸に締め付けられます。

その結果、腸の血液の循環が悪くなりそこから出血を起こすため血便がみられます。
便はイチゴゼリーのような便をしています。下痢や風邪症状が一緒にみられることもあります。

原因

原因ははっきりと分かっていません。小腸ポリープやウイルス感染などが挙げられています。

治療

腸重積の治療は注腸整復といって、バリウムなどを飲んで腸の中に入り込んでいる腸を押し戻す方法で、90%程度が元に戻ると言われています。ただし、子どもの場合はバリウムを使用することはあまりなく、空気で押して元に戻していきます。

腸重積を起こしてから時間が経過している場合、全身状態が悪化している場合、2ヵ月以下の乳児などの場合は、腸の中から押しもどす方法では腸を破ってしまう可能性があるため無理に行いません。空気やバリウムによる方法が使えない場合は手術を行います。場合によっては腸を切除することもあります。

腸重積は一定の年齢を過ぎると再発も少なく、病後は良好です。

合併症

腸重積が進行するとその部分の血液循環が悪くなり、腸が壊死を起こします。その結果、腸に穴が開き穿孔を起こします。穿孔を起こすと腹痛の悪化や血圧の低下、意識が朦朧とするなどの症状が出てきます。また、一番怖いのは、腸の内容物がお腹の中にばらまかれてしまうことです。この場合はショック状態となり、命に関わってきます。穿孔が起こっている場合は緊急手術が必要です。

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虫垂炎

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一般的に「盲腸(もうちょう)」と呼ばれる病気です。小腸と大腸の間の虫垂(盲腸)に炎症が起こります。

症状

腹痛の他に発熱、吐き気、嘔吐、食欲不振などの症状がみられます。腹痛は上腹部(みぞおち)の痛みから始まることが多く、時間の経過と共に右下腹部に痛みが移ります。

乳幼児の場合は痛みの場所や程度がハッキリせず診断が難しいことが多い上、穿孔(腸が破れること)が起きやすいので注意しなければいけません。腹痛が強くて腹部の表面が強張っている、触るのを嫌がる、前屈みでないと歩けないなどの症状があれば早目に病院に受診させて下さい。

原因

虫垂炎の原因もはっきりと分かっておらず、大腸菌やストレスなどが原因として挙げられています。

検査

虫垂炎は触診、血液検査、腹部エコーなどで診断を行いますが、子どもの場合は病変が分かりにくく確定するのに時間が掛かる場合があります。その場合、何度か病院に通いチェックすることもあります。

治療

炎症が軽度の場合は抗生剤を内服もしくは点滴して炎症を抑えます。ただしこの方法は再発する可能性もあります。

痛みが強い場合や悪化する可能性がある場合は、手術を行い虫垂を切除します。最近では傷口の小さい腹腔鏡での手術も増えてきています。入院は4日間~1週間程度です。

合併症

虫垂炎も腸重積と同様に悪化すると穿孔を起こすことがあります。穿孔を起こしている場合は緊急手術が必要です。

ストレス(心因的なもの)

ストレス

ストレスによる腹痛は小学生~中学生に多いです。どこも悪くないのに腹痛を訴える場合はストレスや不安によるものかもしれません。

症状

腹痛の特徴として以下のようなものが挙げられます。

  • 平日や登園・登校前に痛みが出現する。
  • 寝ている時は症状が出ない。
  • 遊んでいる時や休日は症状が出ない。
  • 腹痛はしばらく安静にすると落ち着く。
  • 腹痛の訴えが長期的に慢性的に続く。

腹痛の他にも気分不良や頭痛、吐き気、食欲不振などが一緒にみられることがあります。

原因

嫌なことやストレスによって身体が不安や緊張を感じると、自律神経が反応して胃腸の動きを敏感にさせることが腹痛の原因になります。

治療

親や周囲の人がストレスを知って一緒に解決していくことが大切になります。また、リラックス出来る環境を作ってあげることも大切です。特に家庭では何でも話せる雰囲気を作ってあげて下さい。

子どもはストレスの原因を上手く表現出来ない場合も多いので、ただ怠けて見えるかもしれませんが本人にとっては非常に深刻な場合もあります。子どもを責めないようにして下さい。

子どもの悩みで親までストレスを抱えてしまってはいけないので、カウンセラーやソーシャルワーカーなどの専門家に相談するのも良いでしょう。

子どもが腹痛を起こす病気はここで述べた病気以外にもたくさんあります。いつもと様子が違うと感じたら早めに病院に受診するようにして下さい。

看護師からのアドバイス

発熱に次いで多い子どもの病気が「腹痛」です。

子どもは症状を訴えることがうまくできません。周囲の大人が子供の様子をよく観察し、早めに病院を受診しましょう。

また、学校や幼稚園・保育園の出席停止になることもありますので、病院で確認しましょう。

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