昔から、ハトムギは肌にとても良いと言われています。最近は、はと麦の種子からとれる成分であるヨクイニン錠が薬局でも扱われるようになり、とても手軽に摂取できるようになりました。ニキビやアトピー性皮膚炎、肌荒れ、イボなどに効果があるとされているハトムギ由来の生薬「ヨクイニン錠」について調べました。

更新日:2017年12月17日

この記事について

監修:豊田早苗医師(とよだクリニック院長)

執筆:当サイト編集部

ヨクイニンとは?

ヨクイニンとは

ヨクイニンは、イネ科のハトムギの皮を除いた種から作られる生薬です。ハトムギは昔から肌をきれいにする効果があるとされています。

ハトムギに含まれるヨクイニンには、肌の新陳代謝を高めてターンオーバーを整える作用があることが知られており、イボとり、ニキビやアトピー、シミ、ソバカス、鮫肌などに悩む方に人気が高い成分です。

最近は、薬局でもお手頃価格のハトムギ成分入り化粧水などが並んでいます。実は、高級化粧品にもハトムギ成分が入っていることがあり、美白化粧水にも和漢植物の1つとしてハトムギ(つまりは「ヨクイニン」)が入っていたりします。

ハトムギというと「香ばしいお茶」というイメージが強いですが、昔から美肌などのためにも広く利用されているのです。

ヨクイニン錠の効果(特にイボやニキビに!)

効果

私はヨクイニンを化粧水として肌に塗っているわけですが、ハトムギ茶が肌にいいと言われているように服用も効果があります。ハトムギには、タンパク質、カルシウム、カリウム、鉄、ビタミンB群、ナイアシン、脂質、糖質などがバランス良く含まれており、皮膚の新陳代謝を高め、皮膚細胞を新しく作り替えるターンオーバーを正常化する作用があると言われています。

大学の研究でもしっかりと効果が出ている!

金沢大学の研究では、ネズミの皮膚にハトムギに含まれる美肌の成分を注入したところ、他のネズミと比べて、皮膚の新陳代謝が1.7倍になったといいます。また、ヒトの肌に対する臨床試験では、2ヶ月間ハトムギエキスを服用したところ、シミが薄くなり、肌が白くなったという結果が出ています。

ニキビ

ヨクイニンは新陳代謝を上げる作用があるため、皮膚を新しく作り変えることでニキビにも効果が期待できます。また、大人ニキビの原因となる「いらない角質」をとり除き、角質層の保湿力をアップさせてくれます。さらに、ヨクイニンの利尿作用により、体の中の有害な物質などを対外に排出されます。このデトックス効果もニキビ改善につながります。

アトピー性皮膚炎

ヨクイニンエキスの投与でアトピー性皮膚炎の症状に改善が見られたという結果がでています。アトピー性皮膚炎の子供は胃腸が弱いことが多いのですが、ハトムギに多いでんぷんの糖質に胃や腸の粘膜を保護する働きがあります。


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肌荒れ・サメ肌・二の腕のブツブツ

新陳代謝が活発になるので、肌のトラブルの改善が早くなり、さめ肌や肌のザラザラ感も改善していきます。ヨクイニンによる角質への作用は、魚の目など足裏にまでも及びます。

乾燥肌

乾燥肌からくる痒みに悩む患者にヨクイニンエキスを投与したところ、痒みが改善し乾燥肌も改善する傾向が見られたとの報告があります。保湿力がアップするため、乾燥肌の改善にも効果があります。

シミや老化

皮膚や粘膜の血流や、リンパ液の流れをよくする働きがあるため、皮膚に酸素や栄養成分を含む血液がいきわたります。その結果、新陳代謝も活発になり、シミや老化に効果があると考えられています。もちろん、保水力UPなども理由の1つです。

ウイルス性のイボ

水いぼや、一般的なウイルス性のイボ(ヒトパピローマウイルス(HPV)によるもの)で病院に受診すると、ヨクイニン錠が処方されます。ヨクイニンによって免疫反応が起き、イボが消失する効果があると言われています。約900人の患者に1日1〜2gのヨクイニン錠を投与したところ、75%にイボ改善の効果が見られたという結果もあります。

なお、イボの治療は凍結治療といって、液体窒素をつけた綿棒をイボに押し当てる方法が多く行われます。この治療法は即効性があり、簡単な治療なのですが、治療中から強い痛みがあるのが難点です。一方、ヨクイニンは100%の人に効果があるとはわけではありませんが、痛みはないので、子どもさんの治療の際には好まれます。

がん

ハトムギは悪性腫瘍(がん)にも効くのではないかと考えられていました。実はハトムギのがんに対する研究は古く、千葉大学などで1950年代から行われていて、多くの臨床試験からその結果が学会などで発表されています。

最近では京都府立医科大学の研究で、ヨクイニンで白血病や皮膚がん、肺がんなどのがん細胞を抑えることができたと報告されています。また、ヨクイニンの抗ウイルス作用や抗菌作用が確認されています。

なお、ウイルス性イボの原因となっている「ヒトパピローマウイルス(HPV)」は、子宮頸がんの原因となるウイルスと同類のものです。

カゼのひきはじめに効く!!

ヨクイニンには、せきを鎮めてたんを切り、のどの痛みを取る働きがあります。慢性の気管支炎の人がヨクイニン錠の服用を継続すると、かぜをひきにくくなり肺炎の併発も防ぐことが期待できます。

その他

ハトムギに含まれる食物繊維が腸の働きを活発にし、便秘を解消してくれる効果や、肝機能障害への効果も実証されています。さらに、皮膚や粘膜の血流をよくする働きや、便秘解消効果によって、痔の改善にも有効と言われています。

ヨクイニン錠を飲用すると、炎症によって起こる体内の水分のうっ滞やむくみ、筋肉のひきつれ、痛みなどが解消されるため、神経痛、リウマチ、関節炎といった痛みを伴う病気の民間薬としても珍重されています。

ヨクイニンは空腹時に服用しましょう

服用

ヨクイニンは漢方薬です。漢方薬の基本は食間又は食前。おなかがすいているときに服用すると効果的です。

市販化されているヨクイニンエキスを含む薬品には多くのものがあります。主なものをあげておきますが、他にも多くのものが販売されています。

  • ヨクイニンタブレット(クラシエ薬品)
  • ヨクイニン錠(松浦漢方)
  • ヨクイニンS(小太郎漢方製薬)

その他、お米と一緒に炊いて食べられるハトムギや、パックのハトムギ茶もありますので、続けやすい方法を試してみてください。ちなみに、爽健美茶などのブレンド茶の多くにもハトムギが入っています。ハトムギ茶は1日当たり約15g~30gを目安に煎じたものを、3回に分けて飲むことが一般的です。

なお、日本で販売、使用されている漢方薬の原料となる薬草や薬樹の7割以上は中国産だと言われています。日本では輸入する際に詳細な検査を行うため高い安全性を確保していますが、より高い安全性や需要に応えるために、国が主導して国産化を進めているようです。

病院で処方されれば保険も効く!

ヨクイニン錠は錠剤タイプや顆粒タイプが薬局にも売っていますが、イボやニキビ、アトピー性皮膚炎などの治療で病院に行き、処方された場合は保険が適用されます。

ヨクイニンの効果は人それぞれのところもあるので、症状をお医者さんに話して、これまでに自分にヨクイニンが効いたということを伝えましょう。そうすれば処方してくれると思います。漢方なので継続が必要ですが、まずはお医者さんに相談してみましょう。

保険が適用されれば、市販されているものを買い続けるよりも、節約になりますし、医師の診断を受ければ、「イボだと思っていたら他の病気だった」なんてこともありません。


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ヨクイニン錠服用の口コミ

私はなるべくヨクイニンを自然のまま取りたいので、ヨクイニン錠ではなくハトムギ茶派です。夏は冷たい「ハトムギ茶+どくだみ茶(ちょっとだけ。いれすぎるとまずい!)+麦茶(たいていのまずいお茶もこれで味がまぎれます)」を1日に1.5リットル程度、冬は暖かい「ハトムギ茶+どくだみ茶+ほうじ茶」を1リットルくらい飲んでいます。もう20年近く続けているので、肌はきれいな方です!

ただし、即効性を求めるならヨクイニン錠です。ヨクイニン錠やハトムギ茶の口コミをまとめました。

口コミ・体験談

  • 3か月程度飲み続け、娘も自分もイボが消えてきた
  • 1週間程度で肌が半トーン明るくなり、肌がふわっとしてきた。水分量が上がったらしい
  • ニキビができにくくなった。寝不足の翌日にはニキビができていることが多いが、できなくなってきた
  • 飲み始めはものすごく肌荒れなどに効果を感じていたが、慣れてしまったのか最近はあまり感動はない。でもヨクイニンをやめると戻りそうだから、続けている
  • ヨクイニンがイボに効くときいて飲み始め、イボは完全になくなった。さらに、足の裏がつるつるしてきた!
  • ヨクイニンがアトピーにいいと医師から言われ、もう2年ほど飲んでいる。食事療法も続けているのでこれだけの効果ではないかもしれないが、効果はあると感じる。
  • 言われてみれば少し肌がもちもちしている気もするが、よくわからない。

ヨクイニン錠ではありませんが、リーズナブルなハトムギ化粧水を使った簡単ローションパックなどもオススメです。忙しい中、毎日は難しいかもしれませんが、週末だけでも行ってもっちり肌を目指してみましょう。なかなか時間が取れない人は、バスタイムに行うのがお勧めです!湯船につかる習慣もつくので、代謝UPにもつながりますよ。

ヨクイニンの副作用

副作用

ヨクイニンは植物由来の成分なので、人工的な成分と比べれば副作用は少ないと言われています。

軽度の発疹、かゆみが出る人、下痢になる人も

しかし、中には皮膚の発疹・発赤、かゆみや、下痢・胃部不快感などがおこる人もいます。副作用としては多くは軽度のものですが、症状がでたらヨクイニンの服用をいったんやめて様子を見て、おさまらないようであれば医師に相談してください。

また、ヨクイニン錠やヨクイニン湯として売られている商品の中には、複数の漢方薬が配合されているものもあります。たとえば、ヨクイニン湯では、甘草、芍薬、麻黄、桂皮、当帰、蒼朮などが含まれています。

これらはもちろんいろいろな症状に効く有効な漢方薬ですが、麻黄には交感神経刺激薬として知られるエフェドリンが含まれており、心臓病や高血圧症、循環器系疾患などを持っている方は十分に注意して服用する必要があります。

また、ヨクイニンはハトムギ由来の成分ですが、イネ科の植物にアレルギーを持つ方が服用する場合には医師に相談してください。

妊婦さんは一応注意を

妊婦さんに対する副作用を心配する人も多いようですが、過度に心配する必要はないようです。ただし、例えば「ツムラヨクイニン湯エキス顆粒(医療用)」のしおりには「妊娠または授乳中」の人はその旨を医師と薬剤師に伝えるようにと記載されています。妊婦さんは、担当の医師などに相談してから服用するようにしましょう。

ヨクイニン錠のまとめ

効果

昔から美肌によいと親しまれているハトムギを由来としたもので、イボやアトピー性皮膚炎、シミやそばかす、乾燥肌などに効果がある。最近では、がんへの効果についても研究されているが、漢方なので根気よく継続して服用することが必要。

ヨクイニン錠ではなくハトムギにも同じような効果を期待できるが、ヨクイニン錠と比べて含有量が少ないので即効性には欠ける。毎日の生活の中でお茶にハトムギ茶をブレンドして取り入れると手軽に摂取できる。慣れるまで多少クセを感じるので、麦茶やほうじ茶とブレンドするととても飲みやすい。

副作用

大きな副作用はないが、イネ科のアレルギーがある方や妊婦さんなどは医師に相談して服用すること。

[カテゴリ:薬・成分]

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