副腎はホルモンの分泌を司るとても大切な器官です。副腎の機能が低下してくると、副腎疲労症候群といって、ストレス、アレルギーの悪化、精神的な不安定など様々な症状が出てきます。副腎の機能などの説明に加えて、副腎が悪くなる原因、良くなる方法について解説します。

更新日:2016年12月06日

※この記事は看護師が監修をしています。

副腎とは

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副腎は、腎臓の真上に位置し、その大きさに個人差はあるものの、一般的に重さは約5g、幅は2㎝程度というとても小さな臓器です。

左右で形が異なり、右は三角形、左は半月状となっています。

副腎は、ホルモンを分泌する内分泌器官の一つで、75%程度を占める外周部の「副腎皮質」と中心の「副腎髄質」に分かれ、ホルモンを分泌しています。

私達の体には〝ホメオスタシス〟といって、体の状態を一定に保つ機能が備わっていますが、ホルモンはこのような体の働きに深く関わっているものです。

副腎から分泌される副腎ホルモンも例外ではなく、私達が生きる上で非常に重要な役割を担っています。

副腎の働き、健康・美容とのかかわりなど

副腎には、副腎皮質と副腎髄質の2種類がありますが、それぞれに分泌されるホルモンや役割が異なります。

ここでは、ホルモンの種類別にその働きをご紹介したいと思います。

副腎皮質ホルモン

副腎皮質では、3種類の副腎皮質ホルモンが分泌されています。

コルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンの3種類になります。以下にそれぞれを解説していきます。

1. コルチゾール

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糖質コルチコイドの一種で、生命維持に必要不可欠なホルモンです。

あらゆるストレスから体を守る働きがあることから、別名〝抗ストレスホルモン〟とも呼ばれています。

人は、ストレスを感じると副腎皮質からコルチゾールが迅速に分泌し、交感神経に作用して体温や心拍、血圧を上昇させ、心身の緊張状態を高めます。

これは太古の昔、狩猟採取を行っていた時代に、動物などの外敵から命を守るために備わった能力と言われています。

身の危険を察した時、脳が判断するよりも前に体が「戦うか逃げるか」の準備をしているわけです。

次に、コルチゾールは糖質や脂質の代謝にも関わっています。

糖質制限や断食と言った極端に食べ物を摂らないダイエットを行うと、脳のエネルギーとなるブトウ糖が不足するため、筋肉に含まれるたんぱく質を分解して糖を生成します。

これを「糖新生」と言うのですが、糖新生が行われると脳以外で糖を使用することが制限されるため、その際にコルチゾールが脂肪を分解してエネルギーを産み出そうとします。

糖質制限や断食が痩せやすいと言われているのは、このようなメカニズムがあるからです。

また、コルチゾールは抗炎症作用や免疫抑制作用にも関わっています。

例えば、〝大きな仕事を抱えていた時は体調を崩さなかったのに、いざ仕事を終えたら風邪を引いてしまった〟というようなことは、誰しも一度くらいは身に覚えがないでしょうか。

これは、ストレスによってコルチゾールの分泌が増えたことで、風邪のウイルスによる炎症や痛みを鎮め、ウイルスを体外に排出する免疫機能を抑えたことが考えられます。

そして、ストレスが解消されたと同時にコルチゾールの分泌が減ったため、風邪症状が現れたのです。

なお、このような働きは、生命が危機的な状況においては有効とされていますが、長期的に続くと病気や怪我の回復が遅れたり、副腎への負担が大きくなるため、免疫力が落ち感染症やアレルギー疾患に罹りやすくなると言われています。

2. アルドステロン

硬質コルチコイドの一種で、主に塩分や水分、カリウムのバランスを調整しています。

アルドステロンが過剰に分泌されると、ナトリウムや水分が体内に蓄積されやすくなるため高血圧になったり、カリウムの排出が促進されることで血液中のカリウムが足りなくなり、筋肉の低下や脱力感、麻痺などが起こります。

また、逆にアルドステロンの量が不足すると、吐き気やしびれ、脱力感、不整脈などの症状が現れる、高カリウム血症や低血圧を引き起こします。

3. アンドロゲン

アンドロゲンは、テストステロンなどを含む男性ホルモンの総称です。

声代わりや体毛の増加、筋肉の増強など、男性が男性らしい体つきになるために欠かせないホルモンです。

なお、女性であってもこのアンドロゲンは分泌されています。

男性は精巣で、女性は卵巣でアンドロゲンが生成されるのですが、女性の場合は途中で女性ホルモンのエストロゲンに変換されるので、実際に分泌されるのは男性の10%以下と言われています。

ただし、エストロゲンに変換されずにアンドロゲンが過剰分泌されてしまうと、排卵障害などを起こし不妊症の原因になることがあります。


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副腎髄質ホルモン

副腎髄質ホルモンには、2種類があります。以下に、それぞれを説明していきます。

1. アドレナリン

副腎の主たる働きである、ストレス反応に深く関与するホルモンです。

不安や緊張、興奮、怒り、恐怖といったストレスによって分泌されると、交感神経にいち早く作用して心拍数や血圧を上昇させ、危機的な状況に心身を対応させます。

例えば、お化け屋敷に入った時や、重要な会議で発言しなければいけない時など、緊張や不安が続くと心臓がドキドキして、汗をかいたりしますよね。

これは、アドレナリンによる反応の一種です。

また、アドレナリンが分泌されると、血糖値が上昇するので空腹を感じにくくなります。

趣味などに没頭している時にお腹が空きにくいのは、こうしたアドレナリンの働きが関係しています。

なお、アドレナリンは上記のような恐怖や緊張状態の他にも、運動によって分泌量が増えることがわかっています。

加えて、脂肪分解酵素のリパーゼを活性させる働きもあることから、上手に取り入れることでダイエットに有効なホルモンと言われています。

2. ノルアドレナリン

アドレナリンと同様に、ストレス下に置かれると分泌されるホルモンで、副腎以外にも脳や交感神経の末端からも分泌されます。

ノルアドレナリンはアドレナリンの前駆物質(アドレナリンはノルアドレナリンが変化したもの)です。

名前が似ているので同じものと捉える方も多いですが、両者には作用の過程に違いがあります。

アドレナリンは、主に体に作用するホルモンで、血中を通って全身の臓器や筋肉に興奮や緊張といった信号を送ります。

一方のノルアドレナリンは、脳の神経伝達物質として私達の思考に関係しています。

興奮や緊張を伝えるという点ではアドレナリンと同じですが、過剰に分泌されると躁状態に、不足すると鬱状態になると言われています。

副腎が悪くなるとどうなるのでしょうか。

私達が生きていくためには、副腎の正常な働きが欠かせないことがわかりましたが、それではもし副腎の働きが悪くなってしまったらどうなるのでしょうか。

副腎の働きが悪くなったときの症状

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副腎の働きが悪くなると、副腎から分泌されるホルモンの量が減り、ストレスに対する耐性が弱くなってしまいます。

これにより、様々な症状が現れるものを「副腎疲労症候群」と言いますが、副腎疲労症候群は、欧米ではすでに認知が広がっているものの、日本では医師でも知らない方がいる疾患です。

では、副腎疲労症候群にはどのような症状があるのでしょうか。

  • 慢性的な疲労感
  • 朝起きるのが辛い
  • 夜なかなか寝付けない、または寝てもすぐ目が覚めてしまう
  • 常に微熱がある
  • めまいや耳鳴りがある
  • 胃腸の調子が悪い
  • 塩分や糖分の高いものが食べたくなる
  • 花粉症やアレルギーの発症や悪化
  • ぼーっとする、仕事がなかなか捗らない
  • 記憶力の低下、物忘れが酷い
  • 何をしても楽しくない、人生が虚しく思う
  • 不安感が強くなった
  • 些細なことでイライラするようになった
  • コーヒーや紅茶などカフェインを含む飲み物を多く摂取してしまう
  • PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)が悪化
  • 性欲の減退
  • すぐ風邪を引くようになった

上記のような症状があるからといって、必ずしも副腎疲労症候群であると断定はできませんが、副腎疲労症候群は症状が似ている鬱病や適応障害などの病気と誤認され、治療が遅れるケースもあるようです。

副腎の働きが悪くなる原因

副腎の働きが悪くなる原因は、主にストレスです。

副腎は「ストレスと戦う臓器」と呼ばれており、脳でストレスを感じるとその情報が副腎へと伝達され、抗ストレスホルモンを分泌しストレスを緩和します。

しかし、毎日のようにストレスが続くと、副腎はフル稼働を余儀なくされ、やがて疲弊してしまいます。

また、ストレスを感じるとタバコやアルコール、コーヒーといった嗜好品を利用してストレスを解消するという方は多いと思いますが、タバコはニコチンが副腎皮質に作用してアドレナリンやノルアドレナリンの分泌を促してしまうことがわかっていますし、コーヒーはコルチゾールとアドレナリンの分泌を増加させてしまいます。

そのため、毎日たくさん摂ったり、常習的に摂取していると副腎に負担を掛け、働きを悪くしてしまうことが考えられます。

この他にも、夜遅くまで起きているなどの不規則な生活や、糖質の多い食品の過剰摂取や栄養の偏った食事も、副腎を疲れやすくしてしまう要因と言われています。

副腎の働きをよくするための方法、副腎疲労の回復方法

副腎の働きをよくするためには、次のような方法を試してみましょう。

1. ストレスを回避する

ストレスを感じやすい方には、特有の思考の癖があると言われているため、あれこれと考えこんでしまいそうになったら、敢えて考えることを停止させる、テレビに集中する、全く違うことをする(例えば旅行とか)など、物事を深く考えないようにする環境を作ることが大切です。

2. タバコやアルコール、カフェインの摂取を控える

タバコやアルコール、コーヒーを飲むと心が落ち着くため、摂らないことで逆にストレスとなってしまいそうと思うかも知れませんが、これらを摂って気持ちが安定するのは一瞬です。

摂取してしばらく経つとまたストレスを感じるため、それを収めようと慢性化しやすく、量もだんだんと増えていきます。

副腎を休めるために、これらの摂取を控えるようにしましょう。

3. 食生活を改善する

タバコやアルコールの摂取と同様に、過剰な糖質の摂取も副腎に悪影響を与えます。

糖質の多い食品を摂ると、血糖値が急上昇した後に今度は急降下します。

その急降下の際、血糖値を正常の範囲まで上げるために、副腎からコルチゾールが分泌されるため、甘い物や炭水化物を多く摂る方というのは副腎の疲労が起こりやすいと言われています。

4. 運動を行う

ストレス解消の方法として運動はよく挙げられますが、注意すべきなのは運動をすることでストレスを感じてはいけない、ということです。

例えば、人と競争したり争ったりするような運動は、ストレスが大きいため副腎の疲れを回復させる上ではあまりお勧めできません。

同様に負荷の高いハードな筋トレなども、疲労感が増してしまう恐れがあるためやはり避けた方がよいでしょう。

副腎の働きをよくするために運動を行う場合は、気持ち良いと思う程度で止めることが大切です。

運動が苦手という方は、ウォーキングや散歩などから始めてみるのもよいでしょう。

その時も、「一時間は歩かなければ」「毎日5km歩くことを目指そう」と変に目標を立てず、最初はできる時にできる距離を歩くだけで十分です。

歩くことで血行が促進され、体の各臓器に酸素や栄養が十分に行き渡るようになると、徐々に体力や気力が付いてきます。


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副腎をケアする食材

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健康食として名高い玄米は、副腎をケアする食材としてもとても優秀と言えます。

一般的に食べられている白米は、胚芽と呼ばれる部分を削ってしまっているのに対し、玄米はこの胚芽がそのまま残っています。

胚芽には、エネルギー変換に欠かせないビタミンBが多く含まれていることから、ご飯を食べる時は白米よりも玄米を、パンを食べる時は全粒粉で作られたものを選ぶのがよいでしょう。

また、良質なたんぱく質が含まれるお肉やお魚、卵、豆などを意識的に摂取することや、オリーブオイルやえごま油といった抗酸化作用に優れた油を摂ること副腎のケアに役立ちます。

この他に、生の野菜や果物にはビタミンやミネラルが豊富に含まれています。特に、ビタミンCはストレスを感じると体内で消費される成分のため、日頃からしっかり摂取する必要があります。

副腎ケアのためのサプリ

副腎ケアのためにサプリを摂取するなら、ビタミンCがお勧めです。

ビタミンCは、体内の中でも脳と副腎で多く使われる栄養です。

そのため、ビタミンCの不足が起こると副腎の疲労も起こりやすくなると考えられます。

また、ビタミンB5(パンテトン酸)も副腎ケアのために、日頃から摂取するのがよいでしょう。

ビタミンB5には、副腎皮質ホルモンの合成を促す作用があり、副腎の働きを助けてくれます。

ストレスによって、肌荒れや口内炎を起こした経験というのは、誰にでも一度くらいはあると思いますが、これらはビタミンB5の欠乏によって起こると考えられています。

さらに、副腎のストレスによってアドレナリンが分泌されると、緊張や興奮状態にある筋肉を弛緩させるためにマグネシウムが消費されることがわかっています。

マグネシウム不足は、鬱病や不安神経症といった精神的な疾患の原因となるため、こちらも意識的に摂るのがよいでしょう。

看護師からひとこと

最近疲れやすい、やる気が出ない・・・と思ったら、身体のせいだったということもあります。病は気からといいますが、身体の病が精神的な病になることはあります。

体調がすぐれないと思う日が長く続くようなら、まずは一般内科で相談してみてはいかがでしょうか?副腎疲労だけではなく、貧血や甲状腺疾患などその他の病気でないことも確認する必要があります。

[カテゴリ:女性の病気, 精神・神経]

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