痛風はほとんどが男性に発症し女性の発症はごくわずかです。男性は飲み会などの機会が多いため、どうしても尿酸値が上がりがちですので、プリン体を意識した食生活が大切です。痛風にいい食べ物や悪い食べ物、アルコールの摂取、治療法などについて、全体像を看護師がわかりやすく解説します。

痛風とは

By Gonzosft (投稿者自身による作品) [CC BY 3.0 de], via Wikimedia Commons

By Gonzosft (投稿者自身による作品) [CC BY 3.0 de], via Wikimedia Commons

痛風は、急性関節炎発作を起こす病気です。痛風の根底には、高尿酸血症があります。

日本痛風・核酸代謝学会ガイドラインによれば、高尿酸血症とは痛風の他にも腎障害などの原因となるもので、血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超えるものと定義されています。

高尿酸血症発症の多くは、環境因子によるものです。環境因子というのは食生活がメインですから、痛風は糖尿病と同じく生活習慣病の一つと考えられています。一般に尿酸値が7.0mg/dlを超えると生活指導、8.0mg/dlを超えると高血圧やメタボなどの状況に応じて薬物治療が考慮され、9.0mg/dlを超えてくると、薬物治療が必要になってきます。また、痛風の発症についても、尿酸値が高くなるほど、その可能性が高くなってきます。

男性に多い痛風

痛風の患者さんは実に95%以上が男性とも言われています。国内の男性30歳以上の人は3割近くが高尿酸血症と推定され、さらに増加傾向にあるようです。痛風についても国内男性30歳以上の人のうち1%以上が患っているようで、こちらも同様に増加傾向にあるようです。

女性の場合、女性ホルモンの働きにより尿酸の排泄機能が男性よりも活発であるため、尿酸値は男性より低い傾向にあります。閉経後には女性であっても尿酸値が上昇する可能性がありますが、それでも高尿酸血症や痛風の人の数は男性よりも少ないようです。

痛風の原因

痛風といえば、よく耳にするのがプリン体。プリン体は、人間が生きていく上で必要なエネルギーの材料です。このプリン体の最終産物、つまりエネルギーを産生した後に残ったいわばカスが尿酸で、これが溜まり過ぎると痛風の原因である高尿酸血症となるわけです。

ただし、カスといっても一定量までは人間に害を当たえることはありません。身体の中には常に一定量の尿酸が貯えられています。体液中では尿酸塩として存在しているのですが、その量があまりにも多くなって血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超えると、塩が結晶となって、関節内に出てくるのです。

この関節に溜まった結晶は一定以上になると剥がれ落ちるのですが、その時に白血球が体の異常と察知して、反応して攻撃を始めます。これが炎症となり発作が起きるのです。言うまでもなく、尿酸値が高い期間が長く続いていることや、尿酸値が高いほど、痛風の発作が起きやすいことになります。


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尿酸値が高くなる食生活

どのような生活習慣(食生活)が、高尿酸血症を引き起すのでしょうか?食生活で気をつけるのは次の2点につきるのです。

  • プリン体の多い食生活
  • プリン体の排泄障害

プリン体の多い食生活

まずは、プリン体の多い食べ物には何があるのか見てみましょう。

  • ビール
  • 魚の干物
  • あん肝
  • 煮干し
  • レバー
  • 鰹節
  • 干ししいたけ
  • 白子
  • たらばかに
  • 魚卵

尿酸のもととなるプリン体を多く含むこれらの食品は、高尿酸血症の人は「食べてはいけない物」と言えます。また、アルコール摂取量の多い人というのは、どうしてもプリン体を多く取ってしまうことになります。なぜかというと、お酒と一緒に食べるおつまみには、プリン体を含むものが多いからです。プリン体といえばビールを思い浮かべる方が多いかと思いますが、実はビールよりもおつまみの方が、はるかに多くのプリン体を含んでいるのです。

その他にも、砂糖の入ったジュース類や、果糖(果物などに多く含まれる)を多く摂取する人も痛風になりやすいと言われています。

プリン体の排泄障害

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次に、プリン体の排泄障害について考えてみましょう。

プリン体の多い食事摂取と同時に、尿酸の排泄がうまくいかないと、身体の中には尿酸がどんどん溜まってしまいます。

アルコールがダメな理由は、ここにあります。おつまみに含まれるプリン体だけが理由ではありません。アルコールを摂取すると、分解過程で産生される乳酸が、尿酸の排泄を妨げることが解っています。ビールだけが尿酸値を高くする印象がありますが、アルコール飲料そのものにプリン体が含まれていなくても、結局は尿酸の排泄が妨げられるため、尿酸値の上昇につながるのです。

ビールとおつまみは最悪・・・

ビールそのものにプリン体が含まれる上に身体の外に出さなくなってしまうのですから、それに鱈のおつまみなんて・・・最悪の組み合わせですね。これは絶対ダメ!発作を起こしてくださいと言っているようなものです。

痛風の症状

By James Heilman, MD (投稿者自身による作品) [CC BY-SA 3.0 or GFDL], via Wikimedia Commons

By James Heilman, MD (投稿者自身による作品) [CC BY-SA 3.0 or GFDL], via Wikimedia Commons

痛風の典型的な症状は、痛風発作です。

風が吹くだけで痛い、と言うくらいの激痛が故に、痛風という呼び名がつけられています。相当の痛みであることは、想像できますよね。痛風発作は、足の親指の付け根に激痛・発赤・腫れが出現し、急性関節炎を起こすことです。夜中に激痛のため起きることもあり、歩くこともままならない状態になります。

関節炎のできる部位は、初回の痛風発作の約70%が親指の付け根と言われています。しかし、無治療で放置すると踵(かかと)や膝が腫れ、親指以外の場所にも発作が生じるようになります。

痛風の予防法

健康診断で高尿酸血症を指摘されている方、既につらい痛風発作を経験している方は、発作を予防するために何をしたらよいのでしょうか?

痛風に大切な食生活

第一に、上にあげたプリン体の多い食べ物やの飲み物の摂取量を減らすことです。そして、痛風に良い食べ物を増やしていくことです。どんな食品があるのか、例をあげてみます。

痛風に良い食べ物

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  • 穀物類(米、うどん、そば、食パン)
  • 鶏卵
  • 野菜類
  • イモ類(サツマイモ、じゃがいも)
  • 海藻類(こんぶ、ひじき、わかめ)
  • 豆腐、納豆
  • とうもろこし
  • 乳製品(バター・チーズ)

これらの食品は、プリン体が少ないと同時にアルカリ性でもあります。アルカリ性の食品を摂るように心がけると、尿がアルカリ化されて尿酸が溶けやすくなります。結果として、尿酸の結晶化を防いで発作の予防になるのです。

水分を補給する。

第二に、水分をたくさんとるようにしましょう。痛風予防としては、1日2リットルの排尿が目標。尿酸が結晶となる前にどんどん尿として出してしまえ、ということです。尿として2リットルですから、たくさん汗をかく人は、その分も考慮して更に多く水分を摂らなければなりません。ただし、このときの水分を水・お茶以外の、糖分を含むものにしてしまうと、糖尿病の発症につながります。

なお、心不全をはじめ心機能が低下している場合や、医師から水分摂取を制限されている方は、よく相談してからにしてください。


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痛風の合併症

痛風結節

痛風発作以外にも尿酸の結晶が出る場所によって、様々な症状が現れます。全身の皮下組織に出れば、痛風結節という節(ふし)を作ります。できる部位としては、足の指(足趾)・足背・手背・肘関節・耳介などの血流の少ない場所と言われています。

痛風結節は、当初痛みを感じません。しかし、放置しておくと骨が委縮して変形してきますから、日常生活にも支障が出てしまいます。

痛風腎

腎臓には、尿を濃縮して作り出すという機能があります。糖尿病で慢性腎不全になると、この腎臓の機能そのものが障害されるため、身体から老廃物を出すことができません。腎不全になってしまうと、人工透析を行わなければ命を落とします。

痛風腎というのは痛風の中でも最も重篤な合併症で、同じように腎機能が低下してしまうものです。痛風からいきなり腎不全までにはなりませんが、高尿酸血症の人には糖尿病の方も多いので、合併症としては起こり得るものです。

尿路結石

尿酸値が高いことが必ずしも尿路結石につながるものではありませんが、水分の摂取量が不足して尿の量が少なくなることや、尿に尿酸の量が多くなること、酸性尿などが原因となって尿路結石が発生します。痛風になった人の1割から2割程度の人が尿路結石になっていることからも、気をつけなければいけません。

生活習慣病

痛風には、高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症)、肥満、糖尿病も合併していることが多いです。痛風になりやすい食生活というのは、これらの生活習慣病も引き起こしますので、当然と言えば当然ですね。

痛風の検査

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検査は主に血液検査と、腫れてしまった関節部分の中身を調べることです。関節は骨と骨の間である関節腔を髄液で満たしています。採血で尿酸血が7.0mg/dlを超えることと、髄液に尿酸塩結晶がみられたら痛風です。

関節腔に針を刺して調べるというのは、痛みと感染のリスクを伴う検査です。ですから、実際の医療現場では症状と採血結果だけで診断し、治療を開始することが多いです。

偽痛風について

痛風と間違えやすいものに偽痛風というものがあり、これとは鑑別する必要があります。痛風は尿酸が原因物質なので、高尿酸血症が背後にあります。偽痛風ではピロリン酸カルシウムというものが原因で起こるので、高尿酸血症はありません。

また、痛風は男女比20:1と圧倒的に男性に多いのに対し、偽痛風では1:3で女性(特に高齢者)に多く見られます。偽痛風は加齢などが原因といわれていますが、確実なことは分かっていないようです。痛風のように生活習慣病などとは関係ないところで発症します。

痛風の治療法

治療法

痛風は本当に飛び上がるほど痛いのですが、発作以外の時には症状がありません。病院に受診するのは、たいてい発作を起こした時です。何度も繰り返し痛風発作を起こしている人でさえ、発作がおさまってしまうと受診が遠のいてしまうのは不思議ですね。

では、痛風は何科に受診するものでしょうか?痛風の原因は尿酸の代謝異常ですから、基本的には内科にかかるのが良いでしょう。長いこと痛風を放置してしまって骨に影響が出ている場合は、整形外科が主となることもあります。

初めての痛風発作時には、足が痛いし腫れているので、外科にかかってしまう人がよくいます。また、少しでも楽になるようにと整体や足ツボにかかる人もいますが、これらは間違いです。

痛風発作は代謝異常ですから内科にかかるもので、関節の炎症を起こしていますから、極期にある間は安静にして冷やすのが正解なのです。薬による治療は、大きく分けて痛風発作の治療と、発作のない時期(間欠期)に行う高尿酸血症の治療があります。

痛風発作の治療

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発作の前兆なのか極期か、それとも回復期にあるのかによって、薬を使い分けます。

前兆期

発作の前兆期には、関節にいつもと違うような感覚を伴ったり、鈍痛があったり、むずむずするといった症状が見られます。前兆期にはコルヒチンという腫れや痛みを起こす炎症物質が出るのを抑える薬を使います。これには尿酸値を下げる働きはなく、あくまでも発作を起こさないようにするものです。

極期

極期とは、発作が生じている状態で、前兆期から1日程度経過してから発症し、2週間程度継続することが多くなります。

発作の極期には、一時的に非ステロイド性鎮痛剤を使用して、炎症の鎮静化を図ります。よく聞くロキソニンやボルタレン・インドメタシン・ポンタール等がこれにあたります。

また、妊婦やアスピリン喘息の患者には使用できないものがあるので、自己判断は禁物。必ず症状と病期にあった処方を専門医に処方してもらいましょう。

間欠期

極期の発作が治まってきたら間欠期に入ります。発作中に尿酸を下げる薬を使用すると、急激に尿酸値が低下して関節内の尿酸結晶が出やすくなるとされているため、尿酸降下薬は間欠期に内服します。

高尿酸血症の治療(発作のない時期の治療)

尿酸を下げる薬には、尿酸の生成を抑える薬(尿酸生成抑制薬)と、尿酸排泄を促す薬(尿酸排泄促進薬)があります。

よく聞く尿酸の薬は尿酸生成抑制薬で、アロプリノール・ザイロリック・サロベール等があります。

尿酸排泄促進薬はベネシッド・ユリノームがありますが、これらは尿中への排泄を促進します。ですから、排尿量を多くする方が尿酸を排泄できます。薬の内服だけでなく、水分を多く摂取するよう心掛けてください。

痛風の完治について

高尿酸血症の薬は症状のない時にも飲む必要があり、生活習慣の改善とともに継続治療が必要です。発作がないからといって、尿酸値のコントロールができないうちは、「完治」はありません。

自己判断で通院を辞めてはいけません・・・が、多くの痛風患者さんが治療を中断してしまいます。

また、内服だけに頼るのではなく、本人の生活習慣の改善も立派な治療であり、内服管理と併せて必須。食事内容を見直し、3~6か月かけて尿酸値を6mg/dl以下にコントロールし、同時に肥満を改善します。

ただし、急にダイエットを始めたら必ずリバウンドが来ます。ストレスでアルコールと一緒食べてはいけない物をドカ食いしてしまったら、また発作を起してしまいます。ポイントは、月単位で少しずつ落としていくことです。

生活習慣病について

生活習慣病は、脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)や虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)を引き起こし、命に関わります。痛風の人は、痛風予防と同時に生活習慣を見直して、これらの病気も予防しましょう。

たばこと痛風、高尿酸血症について

たばこと痛風の関連については、現在のところ、よくわかっていないようです。その中で、たばこと痛風の考え方は次の2通りあるようです。

  • 喫煙によって、血管の中にニコチンなどが入り込み、血液のめぐりが悪くなるため、痛風に悪影響を及ぼす。
  • 根拠は明確ではないが、追跡調査により、喫煙者は痛風になりにくいといった結果が出ている(喫煙者は尿酸値が低い。)。(日経メディカル2013.10.28)

ただし、たばこは動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの危険因子ですので、禁煙する方が好ましいですね。

妊婦さん・子どもさんと痛風について

妊婦さんはご存知の通り、簡単に薬を使うことができません。最近では子どもを産むような世代のお母さんが既に糖尿病を発症していたり、妊娠中に糖尿病を発症する人も増えています。糖尿病も痛風も、妊婦さんには処方が禁止されている薬もありますし、胎児も危険にさらすことになります。

特に妊娠中には食べ物に注意する必要があります。また、最近は子どもでも糖尿病や脂質異常症を発症している場合があります。昨今の子どもは外で過ごす機会が少なくなったこともありますが、親世代が生活習慣病を引き起こすような食生活をしていれば、子どもだって必然的に同じものを口にする機会が多くなる訳です。

お父さんだけでなくお子さんも一緒に、生活習慣を改善していきましょう。

痛風のまとめ

  • 痛風の原因は、尿酸の代謝異常による
  • 尿酸は、プリン体が代謝する過程で生成される
  • 痛風と似ている病気に偽痛風があるが、全く別物である
  • 高尿酸血症がひどくなり、関節腔に尿酸塩の結晶が出ると痛みを生ずる
  • 典型的な痛風発作は、足の親指の付け根に起こる激痛
  • 治療は痛風発作の治療と、間欠期(高尿酸血症)の治療に分けられる
  • 発作時は痛みをとり、患部の安静と冷却に努める
  • 発作が治まっても治療を中断してはいけない
  • 痛風の予防は、食生活の改善
  • 痛風には高血圧や脂質異常症、糖尿病の合併していることが多い

参考サイト

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(2012年追補ダイジェスト版)

[カテゴリ:コレステロール, 健康習慣]

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