食後に腸が動いたり、鳴ったりしませんか?腸は消化のために食後に活動が活発になります。正常な活動であれば問題ありませんが、下痢や軟便などが続いたりする場合には、病気が隠れているかもしれません。腸の働きや食後の腸の動きについて、ポイントをまとめました。

更新日:2017年01月31日

※この記事は看護師が監修をしています。

第二の脳と言われる大切な腸の働き

腸内イメージ

最近、腸に関して、テレビ番組や雑誌の特集などで取り上げられることが多くなったと思いませんか?

また、腸の調子を整える「腸活」が注目を集めるなど、腸を取り巻く環境は一昔前とは一変しています。

これまで、腸と言えば胃や小腸で消化・吸収された食べ物の老廃物(すなわち便)の通り道、くらいのイメージしかないという方も多かったように思います。しかし、近年の研究によって、腸にはそれだけではない多くの働きがあることがわかっています。

腸には、約1億個の神経細胞が存在すると言われており、その数は脳の約150億個に次いで2番目に多いものです。さらに、その神経細胞は脳神経によく似た「脳幹神経系」という組織で繋がっていることから、腸は体の中で唯一、脳からの指令がなくても独自で判断をし、自らを動かすことができる臓器となっています。

このようなことから、腸は「セカンドブレイン(第二の脳)」と呼ばれており、近年は腸が心身に及ぼす影響について盛んに研究が行われています。

脳よりも正確な働きをする

また、私達は通常、食べ物のにおいや見た目で安全かどうかを判断し、「食べても大丈夫と思われるもの」を選択して摂取しています。これは脳が行っている作業ですが、きちんと選んだにも関わらず、食べたら腹痛を起こしてしまった、なんて経験をしたことはありませんか?

これは、脳が「問題ない」と判断したものに、体にとって有害な成分が入っていたために起こったことです。

私達人間は、とかく脳の判断を100%信じてしまいがちですが、実は脳は騙されやすい性質を持つということがわかっています。食べてお腹を壊してしまったのは、脳が〝安全〟と判断したものを、腸は〝危険〟と判断し吸収せずに排出したためです。

つまり、時に腸は脳よりも私達の体を守る強い味方となってくれると言うわけです。

体が健康であるためには、腸の働きが正常であることがいかに大切かということが、これでおわかり頂けたのではないかと思います。

しかし一方で、便秘や下痢と言った腸の症状は比較的その原因や対処法などについて知られていても、〝腸が動く〟という症状については、まだあまり知られていないのが現状です。

そこで今回は、食後に多い腸の動きを中心に、その他のケースも含めてご紹介したいと思います。


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食後に腸が動く原因とは?

食事をした後、腸のあたりがピクピクと小刻みに動いたり、モゾモゾと妙に感じたりすることはないでしょうか?妊娠の経験がある女性であれば、胎動によく似ていると感じる方も多いようですが、自分の意思に関係なく突然動くので、不安になる方も多い症状です。

腸が動くのは正常な働き

食事

私達の体は、胃に食べ物が入ると胃壁が伸び、その反射として腸のぜん動運動が始まります。

ぜん動運動とは、食道から直腸までの消化器官が、筋肉の収縮を伝達していくことで食べ物を先に送り出すための運動です。このぜん動運動により、食道から胃、小腸を経て大腸に辿り着いた食べ物は、多くの栄養が吸収され便となって大腸内を移動しますが、この時、じゃばら状になった腸が波を打つように筋肉が動きます。

そのため、仰向けになるなどして下腹部の状態がよくわかるような体勢になっていると、ぜん動運動をしている腸の動きを感じたり、場合によっては目で見ることができる(腸が動いているのが、皮膚表面から見てわかる)ことがあります。

このように、食後に腸が動いても、腹痛や吐き気などの症状を伴ったり、下痢や便秘を起こしていないのであれば、単に食べ物や消化液が腸内で移動しているだけに過ぎないと考えられます。

なお、腸の動きと同調して、ゴロゴロやギュルギュルといった音が鳴ることもありますが、これも腸内を食べ物や消化液が動いて起こる音であり、お腹の調子を崩していないのであれば特に問題はありません。

しかし、これ以外にも食後に腸が動く原因があり、その中には注意が必要なものもあります。

線維束生収縮によるもの

消化器官は、平滑筋という筋肉に覆われており、その平滑筋が収縮することでぜん動運動を行います。

平滑筋は自律神経に支配されていることから、腕や脚を動かす時のように自分の意思で行うわけではなく、無意識のうちに常に動いている状態となっていますが、食事をすると当然消化器官は活発になり、平滑筋の収縮も盛んになります。

そのため、食事の回数や量が多いと、それだけ筋肉は疲労しやすい状態になります。疲労がピークに達した筋肉は、やがて痙攣を起こします。ハードなスポーツをしていて足が攣るのと、同じ原理です。この痙攣は「線維束生収縮」と呼ばれ、多くの場合は上記のような生理現象です。

過敏性腸症候群によるもの

トイレ

過敏性腸症候群とは、検査によって明らかな異常が認められないにも関わらず、下痢や便秘を繰り返すのが主な症状で、若い世代を中心に近年増えている病気と言われています。

過敏性腸症候群には、下痢型、便秘型、混合型の他に、おならの回数異常に増えてしまうガス型というものがあり、このガス型を患っている場合、おならが腸内に常に溜まっている状態になるため、移動したり塊が割れるたびに、ポコポコと腸が動くことがあります。

ぜん動運動が活発すぎるため

腸のぜん動運動が鈍くなると便秘になりやすいというのは、よく知られていることですよね。そのため、ぜん動運動を活発にするための方法というのが、数多く紹介されています。

しかしその一方で、実はぜん動運動が活発になりすぎても、腸には著しい負担となってしまいます。

ぜん動運動が活発になるということは、それだけ腸が激しく動くということになり、それによって筋肉の疲労が蓄積し、腸が痙攣を起こしてしまうこともあります。また、ぜん動運動が異常に活発になると、腸内を便が速くに通過してしまうため、腸壁から水分の吸収が行われず、軟便や下痢になってしまいます。

食後に腸がよく動き、さらにその後下痢になるという方は、このようなぜん動運動の亢進が考えられます。
 

月経によるもの

女性・月経

女性の中には、毎月生理がくると腸の動きが気になるという方も多いようですが、これは女性ホルモンによって自律神経が影響を受けるためだと考えられます。

特に、生理になると必ず下痢になるという方の場合は、プロスタグランジンという物質が関わっています。プロスタグランジンは、出産の際に陣痛を促す物質で生理の時には子宮を収縮することで経血を外に押し出す働きを行いますが、子宮と腸は隣接しているため、子宮の影響を腸が受けやすく、プロスタグランジンの分泌が行われると、同様に腸も収縮して下痢や痙攣といった症状が起こることがあります。

また、月経時に腸の動きと共に下腹部に激痛がある場合は、子宮内膜が腸に癒着していることが考えられます。痛みがひどい場合は、すぐに病院へ行って検査を受けるようにして下さい。

腸閉塞によるもの

腸閉塞は、腸のある部分が狭くなることによって、便や消化液が溜まり過ぎて詰まってしまった状態を指します。

腸閉塞になると、痩せている方の場合は腸が動くのが見えたり、腹部の膨満感を始め、吐き気や嘔吐などが起こりますが、「疝痛発作」と言って強い痛みが起こってはやわらぐのを繰り返すのが特徴的であるため、これらの症状がある時はすみやかに病院へ行くようにして下さい。

それぞれの原因に対する対処法

食後の腸の動きについては、他に気になる症状がない場合、特に心配する必要はなさそうですが、ここではその他の原因に対する対処法をご紹介したいと思います。

線維束生収縮の対処法について

ストレス・女性

食事をした後は、できるだけ安静にして腸に負担を掛けないようにしましょう。また、ストレスの発散が上手くできないと、自律神経が乱れて筋肉が収縮しやすくなり腸の動きに影響しますので、ストレスの解消を行うことも大切です。

中でも、脳内物質の一つであるセロトニンを増やすことは、腸にとてもよいと言えます。
セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれるもので、心のバランスをとるために欠かせないものなのですが、実はその約95%は腸で生成されています。

このため、食物繊維を摂る、乳酸菌やオリゴ糖など善玉菌を増やす食べ物を摂る、適度な運動を行う、入浴の際にはしっかり湯船に浸かって体の芯から温めて血行を促進するなど、腸のためによいと言われていることを行うと、セロトニンの生成が活発になり、しいてはストレスに強い心身を作ることができます

ぜん動運動が活発すぎる場合の対処法について

薬

ぜん動運動は、自室神経によってコントロールされており、ぜん動運動を活発にするのは、リラックスをしている時に優位になる副交感神経と言われています。

このことから、交感神経が優位になっている仕事中や活動中は、便意はあまり起こらないのですが、ストレスなどによって自律神経が乱れるとぜん動運動の亢進が起こる場合があるのです。これを解決するには、ストレスを軽減し自律神経の働きを正常に戻すことが大切です。

なお、最近はぜん動運動を抑制する市販薬が販売されているため、下痢が続いてつらいという場合には、そのような薬を使用するのも一つの方法と言えますが、作用が強い分、慢性的に使用すると今度はひどい便秘になってしまう恐れがあります。薬を使用する場合は、あくまでも急を要する時に使用する程度に留めておいた方がよいでしょう。

過敏性腸症候群ガス型の対処法について

過敏性腸症候群のガス型を患っている方の場合、おならの回数やにおいが気になってしまうことから、それがストレスとなり、より悪化しやすいと言われています。

では、そもそも過敏性腸症候群になってしまう原因には、どのようなことが考えられるのでしょうか。詳しい原因と共に、その対処法をご紹介します。

ストレスによるもの

腸と脳には密接な関係があり、脳が強いストレスを感じると自律神経が乱れ、その影響が腸にまで及びます。そのため、ストレスをできるだけ解消することが、症状を緩和させるために役立ちます。

映画を見る、友人と話すなど、ストレスの解消法は人それぞれにあると思いますが、何よりも大切なのはおならのことをあまり考え過ぎないことです。

「おならは誰でもするもの」

このように、大きく構えることも症状を緩和させるために必要なことです。

腸内環境が悪化している

納豆

一昔前まで、過敏性腸症候群の主な原因はストレスとされてきました。しかしここ最近は、悪玉菌優勢の腸内環境が原因ということもわかってきています。これは、腸内で増えた悪玉菌が小腸などに達することで、それを異物とみなしてぜん動運動を活発にして、排出しようとする働きで起こると考えられています。

肉食中心の食生活を送っている方は、野菜や果物といったビタミン・ミネラルを多く含む食べ物が不足しがち。肉は消化器官で消化されにくいため、腸内に長く留まり腐敗しやすく、その結果、悪玉菌を増やす原因になってしまいます。

対処法としては、栄養バランスを重視した食生活を行うことが最も大切です。なお、腸によいと言われている食物繊維ですが、場合によっては便秘を引き起こすこともあるため、体調に十分考慮して摂取するようにしましょう。

なお、食物繊維には水溶性食物繊維(主に海藻類)、と不溶性食物繊維(サツマイモ、とうもろこし、きのこなど)の2種類があり、それら摂取バランスが悪いと便秘を悪化させます。

水溶性食物繊維は便を柔らかくし、不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促進させ腸の動きを活発にする効果があります。水溶性と不溶性のバランスは1:2がベストバランスと言われています。納豆、ゴボウ、オクラなどはベストバランスの食品になります。

また、アルコールやたばこなどの刺激物や、コーヒー、紅茶などカフェインを含むものも悪玉菌を増やす恐れがあるので、控えるようにしましょう。

運動不足

運動不足は、単に筋力低下の問題だけではなく、消化器官をコントロールする自律神経のバランスが崩れやすいことからも、腸に影響を与えてしまいます。

対処法としては、適度な運動を心掛けることが一番です。とは言え、毎日運動しなければと思い過ぎると、それが返ってストレスとなってしまうため、通勤・通学の時間を徒歩にしたり、時間がある時に軽めのウォーキングを行ったり、寝る前にストレッチを行うなど、まずは自分のできる範囲で行うことが大切です。


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必要以上に空気を吸っている

空気を多く吸い込むと、それだけ腸に気体が溜まるためガスが発生しやすくなります。
中でも、本人も気付かないうちに多くの空気を飲みこんでしまう症状を「呑気症」と言い、強いストレスや緊張、不安が主な原因と言われています。

また、早食いの方や奥歯を噛みしめる癖のある方も、無意識に空気を多く飲んでいる場合があります。

呑気症の対処法としては、早食いを止め、よく噛んで食べることが大切です。さらに、空気を一緒に吸いこみやすい麺類や、ガスを誘発するアルコールや炭酸飲料も控えるようにするのがよいでしょう。

なお、自宅にいる時におならを出来るだけ出しておくことも、お腹の張りが軽減されてストレスを減らすことができます。

以下の動画で、おならが出やすくなるポーズをご紹介しています。

  1. 床に仰向けになって寝そべり、両膝を立てます。
  2. 両膝を両手で抱えます。
  3. 息を吸って、吐きながら両膝を胸の方へと引き寄せていきます。
  4. 呼吸を続けながら、その状態をキープします。
  5. 元に戻します。

月経時の対処法

月経前や月経中に分泌が増えるプロスタグランジンによって、腸の動きが活発になっている時、同時に血管が収縮して周囲の筋肉が緊張状態になっていることが考えられます。

このため、腸や子宮を温めてあげることで症状が改善する場合があります。カイロなどを使用したり、軽くストレッチをするだけでも血行がよくなり効果があります。

腸閉塞の場合の対処法

腸閉塞が起こる原因は様々になり、腫瘍などによって腸管が塞がれてしまうことや、開腹手術後に隣り合う臓器と腸が癒着してしまうこと、さらには腸が何らかの理由でねじれてしまう腸捻転などが、主に挙げられます。

腸閉塞の場合、対処法というのはありません。ただちに病院へ行くようにして下さい。

看護師からひとこと

「第2の脳」と言われる腸を健康にたもつためにも、日々の生活習慣の改善はもちろんのこと、一年に一度は病院での検診をお勧めします。

まとめ

腸の働きは近年急速に解明されてきています。腸内環境を整えることは健康や美容の根源とも言えるものです。

食後に腸が動くのは正常な動きであり、多くの場合は心配ありませんが、下痢や痛み、おならがよく出るなどのことがある場合は、気をつけなければいけません。

ウォーキングや、ストレス解消、食生活の改善などにより、腸内環境を少しずつでも整えていきましょう。

腸が動くことについて、多くの質問や回答が寄せられています。こちらも参考にしてください。

[カテゴリ:生活習慣, 胃腸]

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