セラミドは肌の表面に近い角質層にある成分で、皮膚病や加齢と深い関係にある重要なものです。セラミドがしっかりと機能していることで、健康な皮膚を維持できるとともに、潤いのあるみずみずしい肌を保つことができるのです。セラミドの役割や減少原因、増やす方法などを説明します。

更新日:2017年12月17日

この記事について

監修:豊田早苗医師(とよだクリニック院長)

執筆:当サイト編集部

セラミドとは

セラミドとは?

肌は外側から表皮層、真皮層、皮下組織の3つの層に分けることができます。表皮層は、厚さが0.2ミリほどの薄い層で、外部からの異物の侵入や体の水分の蒸散を防ぐバリアの役割を担っています。

この表皮層の一番外側に角質層があり、ここで水分が外に逃げないように保持されています。

セラミドとは、角質層を形成する角質細胞の周りに存在する細胞間脂質(細胞と細胞の間にある成分)の主成分で、その約50%を占めています。肌の水分やうるおいを保つためにはなくてはならない存在です。

また、紫外線などの外部の刺激から肌守る働きがあり、セラミドが不足すると、肌にシミやシワができやすくなります。セラミドを維持することが健康で綺麗な肌をもたらすのです。

セラミドの働き

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上の図はイメージ図です。肌の角質層という一番表面の部分の拡大図と考えてください。一番外側が皮脂で、その下に角質細胞とセラミドがあります。正常な肌ではこのように綺麗に角質層が作られていて、多くのセラミドが存在しています。そのセラミドには大きく2つの役割があります。

  1. 肌の水分をキープする
  2. 肌を外部の刺激から守る

1. 肌の水分をキープする

角質細胞の周りにあるのが、細胞間脂質でそこにセラミドも存在しています。セラミドは水に溶けない成分であり、内側にある水分を逃がさないようにして、肌を保水しています。

また、角質細胞は硬い細胞ですので、セラミドが肌の水分を保持してくれることで、肌に弾力や柔らかさが出てくるのです。

2. 肌を外部の刺激から守る

角質層にはセラミドと角質細胞が存在していることで、肌のバリアとしての機能を発揮しています。

角質細胞はケラチンと呼ばれるタンパク質からできていて、髪の毛や爪と同様の成分です。硬い成分ですので、角質細胞がしっかりと固定されることで、外部からの刺激から肌を守ってくれます。

また、セラミドが水分を保ってくれることで組織が保たれているため、肌から水分が少なくなると組織が壊れて、バリア機能も低下することになります。

セラミドが不足すると・・

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セラミドは細かく分類すると7種類のものが存在し、その働きは少しずつ異なっています。

大きく分類するとバリア機能と、水分の維持の2つの役割に分かれます。中でもバリア機能を担うものは、肌の細胞間脂質に多く含まれています。

セラミド不足によって肌のバリア機能が低下すると、化学物質などが肌の内部に入り込みやすくなり、かゆみや炎症などがでてきます。紫外線や細菌にも弱くなり、肌荒れを起こしたり、重度の乾燥肌になったりすることもあるのです。

セラミドとアトピー性皮膚炎との関係は?

アトピー性皮膚炎の人の場合は、通常の人と比較してバリア機能の働きをするセラミドが9割も不足、水分を維持するセラミドの量も半分以下になっていることも分かっています。

これは、細胞間脂質を作る酵素の異常によるもので、セラミドを生成する酵素の働きを邪魔する酵素の存在がアトピー性皮膚炎の方では認められ、これによってセラミドを作る酵素の働きが弱くなっていることが原因と言われています。

セラミドが不足しているため、バリア機能が弱くなり、外部からの刺激に対して過剰な炎症が起きてしまいます。

セラミドが不足する原因

セラミドはいつまでも肌に存在し続けるものではありません。様々な要因によって減少することがわかっています。

年齢を重ねることで減少する

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セラミドの量は20歳くらいがピークと言われていて、以降は加齢とともに減少していきます。特に30代から40代にかけて大きく減少し、50代では20歳のときの半分程度になります。さらにその後も緩やかに減少を続けていきます。

洗顔などに伴う減少

毎日の洗顔が返ってセラミドの減少の原因となることがあります。

脂分をしっかりと落とすような洗顔フォームや、力を入れて強く顔を洗ったりすると、肌の皮脂や角質層の組織が壊されてしまい、肌の水分が少なくなったり、必要な脂分が抜けてしまいます。

顔だけでなく、体も同様です。ボディソープも洗浄力が強いものは注意が必要です。

顔や体を洗う時には、まずはしっかりと泡立てて、ゆっくりやさしく洗うことが大切です。強く洗わなくても汚れはしっかりと落ちてくれます。

体を洗う時にスポンジを使うのも肌を壊す原因となることがあります。肌の調子がよくない時には、スポンジを使わず手で泡立てて、手で洗うこともいいでしょう。スポンジよりも、細かい場所まで洗えたり、肌が柔らかくなったりもします。

身体の冷えもセラミド減少の原因になります。冷えによって皮膚の血液の流れが悪くなります。血流不良で皮膚に必要な栄養が行き届かなくなり、セラミドの生成が妨げられてしまいます。

生活習慣

生活習慣の中でも、睡眠や食事は重要です。

睡眠について

できるだけ規則正しくして、しっかりと熟睡することが重要です。睡眠によって成長ホルモンが分泌され、肌のターンオーバーを促してくれるのです。

22時から翌2時までの間のいわゆる肌のゴールデンタイムと呼ばれる時間に眠ることが大切です。特に睡眠時間の確保と熟睡が大切です。

夜更かしなどでしっかりと眠れない日が続くと、その影響は肌に出てきます。

食事について

リノール酸を摂取しすぎるとセラミドの生成に影響が出てきます。

リノール酸は植物の油に多く含まれていて、摂取量が適正であれば、人の体にいい影響がありコレステロールや中性脂肪を減少させ、セラミドを作り出す元にもなります。

しかし、摂取量が多いと、セラミドを減少させる物質であるアラキドン酸が作られることがわかっています。

現在の食生活においては、植物油を摂取することが多く、気をつけていないと過剰摂取になりがちです。インスタント食品やパン、ラーメンなど、よく口にする食べ物に多く含まれていますので注意が必要です。

セラミド量の確認方法

角質層テープストリッピングによる角質評価というものがありますが、これは専用のテープを皮膚に張って、角質細胞を剥がします。

それを顕微鏡で視ることで、皮膚の状態やセラミドなどの状態を知ることができます。

検査の施行については、皮膚科や美容皮膚科などの専門機関へご相談ください。


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セラミドを増やすには?

セラミドを増やすには

セラミド不足は、肌を乾燥させてしまい、肌の老化を早めてしまいます。セラミドを増やして、実年齢よりも若い肌年齢を目指したいですよね。それには、フィトケミカルがとても重要です。

フィトケミカルとは、植物性食品に含まれる物質のうち、ビタミンやミネラルなどの栄養素、食物繊維などではなく、カテキン、ポリフェノール、リコピン、β-カロテン、カプサイシンなど「色」「香り」「苦味」の成分です。

これらフィトケミカルは、紫外線から身を守ったり、植物が自己防衛のために作り出したりする化学物質です。

皮膚の新陳代謝を活発化させ、セラミド生成を促してくれるものがあります。フィトケミカルは、大きく7つの色に分類することができ、それぞれに含まれる食材があります。

  • 緑(ほうれん草、緑茶、青ネギ、きゅうり、レタス、キウイなど)
  • 赤(トマト、赤パプリカ、いちご、とうがらしなど)
  • オレンジ(みかん、オレンジ、にんじん、パパイヤ、柿など)
  • 紫(なす、ぶどう、さつまいも、ブルーベリーなど)
  • 白(玉ねぎ、大豆、竹の子、しょうがなど)
  • 黄色(玄米、バナナ、アボガド、アーモンドなど)
  • 黒(黒ゴマ、こんにゃく、ごぼうなど)

中でもセラミドの生成に不可欠なのは、緑、白、オレンジ、黒のフィトケミカルと言われています。です。特に、黒は、こんにゃくで取りましょう。

こんにゃくには、セラミドを作るための成分が含まれているうえに、ノーカロリーでお手軽に手に入ります。


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フィトケミカルはどのようにセラミドを作るのでしょうか

フィトケミカルはどうやってセラミドを作るの?

上記の4色(緑、白、オレンジ、黒)のフィトケミカルには、それぞれに役割があるのです。

  • 白のフィトケミカル食材
    血のめぐりを良くすることで、セラミドを合成するための成分を肌へ送り届けます。
  • 緑のフィトケミカル食材
    抗酸化力が強いため、セラミドの合成を邪魔する活性酸素を撃退してくれます。活性酸素は老化の元凶といわれるもので、アンチエイジングにも効く可能性がある食材です。
  • オレンジのフィトケミカル食材
    肌の中で抗酸化力を発揮し、表皮の活性酸素を撃退してくれます。まさに美肌食材といえます。
  • 黒のフィトケミカル食材
    セラミドの材料が含まれており、白、緑、オレンジによって、無事、肌へと届きます。

フィトケミカルの摂取量は特に決まっていませんが、毎日継続して摂取することが大切です。急にあれもこれもと思っても大変なので、毎日少しずつでも継続して摂取していくことが大切です。

また、ライフスタイルの見直しも重要です。寝不足や、日焼けなど、肌にダメージを与える生活を繰り返すと、その肌の修復のために栄養素が使われてしまい、セラミドの生成まで栄養素がまわってきません。肌と健康とは、深く関わっているのです。

まとめ

セラミドのいいところ

セラミドは体中に存在するもので、保水力が高く、肌を整える成分としてとても重要です。加齢とともに減少していくため、しっかりと補給して健康な肌を維持しましょう。

セラミドを増やすには

セラミドは、もともと体内にある成分なので自分自身で作り出すことができます。

フィトケミカルの摂取によりセラミドが維持されるといわれています。緑、白、オレンジ、黒の野菜を意識して摂取しましょう。

看護師よりひとこと

乾燥肌やアトピー性皮膚炎などで皮膚科を受診した場合、保湿剤などが処方されることはありますが、セラミドを処方することはありません。

日本では医薬品として認定されていないため、保険適用になっていないのが理由になります。

市販のセラミドを含む化粧品には皮膚の刺激になる物質が配合されている場合があります。

皮膚炎などの悪化の原因にもなりますので特に皮膚にトラブルのある方は、皮膚科の医師に相談の上で、使用することをおすすめいたします。

[カテゴリ:皮膚, 薬・成分]

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