ニキビは皮膚が炎症を起こすもので、症状によって白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビなどがあります。ニキビの跡が残って後悔しないよう、原因と治し方、予防法を説明します。

更新日:2017年07月06日

この記事について

監修:大見貴秀医師

執筆:看護師(当サイト編集部)

ニキビとは?

ニキビとは

ニキビは正式名を「痤瘡(ざそう)」と言い立派な皮膚の病気の1つです。思春期頃の男女にみられ成人になると少しずつなくなっていきます。そのため「青春のシンボル」と呼ばれたりします。

ニキビとは簡単にいうと毛穴が詰まってしまい、そこからニキビ菌が繁殖して炎症を起こしたものを言います。

このニキビ菌の名前を「アクネ菌」と言います。なぜ毛穴が詰まるかと言うと、思春期頃になると第二次性徴期の影響により成長ホルモンの分泌が盛んになるからです。

この成長ホルモンが皮脂腺を刺激するため皮脂が普段と比較して過剰に分泌されてしまいます。

その結果、皮脂が毛穴を詰まらせアクネ菌を増殖させているのです。この皮脂の分泌は20歳前後で徐々に落ち着いてくるため、それに伴いニキビも少しずつ出来なくなっていきます。

ニキビの種類と症状について

ニキビにはいくつか種類があります。ここでは主な4つのニキビについて説明します。

白ニキビ

ニキビの初期段階の状態です。

皮脂で毛穴が詰まってしまい皮脂や老廃物などが外に出ることが出来ず、皮膚が盛り上がってくるものです。

痛みなどはそれ程ありませんが、触ると症状が悪化するので触らないようにします。

黒ニキビ

白ニキビの詰まった皮脂が酸化されて黒く見えるニキビのことを言います。

これは肌の「黒ずみ」の原因となります。気になって無理に潰したり、取ったりすると跡が残りやすいので注意が必要です。

赤ニキビ

黒ニキビにアクネ菌が繁殖して炎症を起こしたものを言います。

見るからに痛そうなニキビです。症状が悪化する原因となるので触らないようにして下さい。

普段のスキンケアの方法が間違っている可能性もあるため、皮膚科へ受診して相談するのも良いでしょう。

黄ニキビ

赤ニキビが悪化して膿を持ったものを言います。ニキビの最終段階です。

ここまで来ると自分自身だけで治すのはかなり難しいので、早めに皮膚科に受診するようにして下さい。


 スポンサードリンク

ニキビの原因と発症を誘発させるもの

先程も述べたように、ニキビは成長ホルモンの分泌が盛んになることが原因で出来やすくなります。

また思春期は、成長ホルモンだけでなく男性ホルモンの分泌が男女とも増えます。

男性ホルモンも身体の成長を促す大切なホルモンですが、このホルモンも成長ホルモン同様に皮脂の分泌を促す作用があります。そのため思春期の皮膚はニキビが出来やすくなっているのです。

ホルモンの他にも以下のようなことがニキビを誘発する原因となります。

ストレス

ストレスが溜まるとストレスを抑えるために抗ストレスホルモンが分泌されます。このホルモンが皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を促進させてしまいます。

睡眠不足

睡眠不足だと自律神経のバランスが乱れますので、肌の状態が悪化します。

外部からの刺激

髪の毛や頬杖をつくなど皮膚に刺激が多いと皮膚が厚くなったり、手に付着した細菌が肌に付いたりしてニキビ形成を誘発します。

スキンケアが不十分

洗顔や化粧水、日焼け止めなどが不十分であったり、逆にやり過ぎて皮膚の防御機能を下げてしまったりすることが原因になります。

便秘

便秘は身体にストレスを溜めているのと同じ状態で、皮脂の分泌が盛んになります。

食生活の乱れ

脂っこい物や糖質の取り過ぎ、偏食などは皮脂分泌を促します。

この他に、男性の場合は髭や髭そりによる皮膚への刺激、女性の場合は月経周期によるホルモンの乱れなどがニキビの形成に影響しています。

ニキビが出来やすい場所とは?

ニキビが出来やすい場所

ニキビが出来やすい場所は人それぞれですが、毛穴の大きさに対して皮脂の分泌が多い場所に出来やすいです。

ニキビが出来やすいと言われる場所と、主な原因は以下の通りです。

  • 頭皮
    毛穴の汚れがきちんと落ちていない、シャンプーなどのすすぎ残し、ストレスなど
  • Tゾーン(おでこ~鼻)
    前髪による刺激、ホルモンバランスの乱れなど

  • 皮脂の分泌が盛んな部位であるため

  • 乾燥、冷え、ホルモンバランスの乱れ、不潔な枕や寝具の使用など
  • フェイスライン
    ストレス、ホルモンバランスの乱れ、洗顔の洗い残し、髭そりによる刺激など
  • 口周り
    乾燥、栄養バランスの乱れ、ホルモンバランスの乱れなど
  • 背中
    皮脂の分泌が多い部位であるため、シャンプーのすすぎ残しなど
  • お尻
    椅子に座るなどの摩擦刺激、下着の素材・締め付け、ムレなど
  • 胸元
    皮脂の分泌が多い部位であるため(他の部位の2~3倍と多い)、汗による刺激など

ニキビのスキンケアについて

スキンケア

ニキビについては、何をおいてもスキンケアが大切になります。

ニキビの予防、または、ニキビができてしまった後でも、しっかりとスキンケアをしてください。その方法について、説明します。

スキンケアの方法

不衛生な皮膚環境は良くないので、洗顔は必ず朝と晩の2回行うようにします。

また、部活などでたくさん汗をかく場合は、その都度追加で行います。

思春期の頃の洗顔は、皮脂の量が多いため朝・晩とも洗顔剤を使用して洗って下さい。(日中追加で洗う分に関しては水のみでOKです。)洗顔剤はしっかり泡立てて使うようにしましょう。

皮脂が落ち着く年齢になったら朝はぬるま湯で

成人前後で皮脂の量が落ち着いてきたら洗顔は朝と晩のみで十分です。また、洗顔剤は晩のみにし、朝はぬるま湯のみで軽く洗うようにしましょう。

これは朝に必要な皮脂を洗顔剤で落とすのを予防するためです。(ただし、季節や環境によって皮脂がいつもより多いと感じた場合は洗顔剤を使って下さい。)

メイクをしている人は晩の洗顔では最初にクレンジングを行うと思いますが、クレンジング剤は皮膚に負担の少ないオイルクレンジングをお勧めします。その後、洗顔剤でしっかりオイルを落とすようにして下さい。

皮膚が乾燥する状態も良くないため、洗顔の後は保湿も大切になります。

炎症が強いニキビには注意

洗顔で注意することは、赤ニキビなど炎症の強いニキビに洗顔剤が付着するとそれが刺激になり更にニキビが悪化する恐れがあります。

炎症が強いニキビがある場合は、ニキビの部位に洗顔剤がつかないように注意して顔を洗って下さい。


 スポンサードリンク

ニキビの治療

ニキビが出来たら跡が出来るのを防ぐため早目の治療が大切です。

できてしまったニキビについては、しっかりと治療をしましょう。

治療には保険が効く薬による治療と、効かないピーリングなどの治療法があります。

保険適用で行える治療

ニキビは皮膚科で診て貰えます。軽度のニキビで受診しても全く問題はないので気になる人は診て貰いましょう。

飲み薬による治療

  • 抗菌薬・・・アクネ菌の増殖を抑えます。(クラリス、ミノマイシンなど)
  • ビタミン剤・・・皮脂の分泌を抑えます。(ビタミンB2、B6、C)
  • 漢方・・・ホルモンのバランスを整えます。

塗り薬による治療

  • 抗生物質・・・菌の増殖を抑えます。(アクアチムクリーム、ダラシンゲルなど)
  • ディフェリンゲル・・・毛穴の詰まりを除去、ニキビの進行を阻止します。効果も高いですが、正しい使い方をしないと皮膚刺激などの副作用が出てスキントラブルのもとになります。必ず医師と相談し、用法・用量をきちんと把握してから使って下さい。

保険適用外の治療

以下のような治療法は最近の皮膚科では取り入れている施設が多くあります。値段は病院によって違うので事前に確認すると良いでしょう。

ピーリング

顔や背中などニキビのある箇所にグリコール酸などの薬を塗って毛穴の詰まりを除去する治療です。

2週間~1ヵ月に1回のピーリングを5~10セット行います。

毛穴の詰まりを除去するほか、肌のターンオーバーを活発にする働きもあります。

イオン導入

イオン導入器を使ってビタミンCを肌に浸透させること。

ニキビ跡を消すこと、皮脂分泌低下などを目的に行われます。

最初にピーリングで毛穴を綺麗にしてから行われることが多いです。

PDTニキビ療法(光線力学治療)

皮脂腺部分に光を当てることによって、活性酸素を大量に発生させアクネ菌を退治する治療です。また一時的ですが皮脂の分泌を抑えることも出来ます。

これらの治療法は効果に個人差があり、人によって効果が出る回数もまちまちです。

また、ピーリングは人によっては肌が赤くなったり、痛みが出たりすることもあります。医師と相談して行うようにして下さい。

予防するために

予防法

ニキビは治療より予防が何より重要です。ニキビを防ぐために日頃から出来ることを紹介します。

規則正しい食生活を送る

ビタミン類(A、B2、B6、C、E)とミネラルは特にしっかり摂りましょう。また、食物繊維も積極的に摂り便秘を予防しましょう。

逆に、ピーナッツやチョコレート、揚げ物やスナック類など脂質や糖質の多い物は控えましょう。

しっかり睡眠をとる

生活のリズムをきちんと整えることは肌のターンオーバーを正常化させることが出来ます。

正しいスキンケアを行う

正しいスキンケアを日頃から行うことがニキビの予防に繋がります。(スキンケアの方法は上記の治療の部分を参考にして下さい。)

ストレスを溜めない

大きなストレスが自分に掛かってる場合は相談したり、気分転換したりするようにしましょう。

適度な運動をする

ジョギングなどの運動は代謝を上げ、皮膚のターンオーバーを正常化させます。

皮膚に余計な刺激を与えない

乾燥肌、過剰な化粧、髪の毛などで皮膚にダメージを与えないようにしましょう。

ニキビ跡が出来てしまったら

ニキビを潰してしまって色素沈着や赤みが残ってしまった場合は、ビタミンC配合の化粧水を使ってスキンケアを行うようにします。(皮膚科によってはビタミンC入りの化粧水を置いている所もあります。)

注意したいのが、ビタミンCの錠剤などの服用はニキビ跡には効果があまりないことです。

化粧水を塗って様子をみましょう。ニキビ跡の治療は最低でも3ヵ月は掛かります。長ければ1年以上掛かる場合もあり、長期的な治療が必要です。また、化粧水だけではなくイオン導入などの治療法を行う人もいます。

ニキビは悪化してしまうと治すのに時間もお金も掛かります。予防することが大事ですが、それでも出来てしまうこともあるので、早めに皮膚科に行くなど対応するようにしましょう。

まとめ

  • ニキビには、症状によって段階がありますが、「赤ニキビ」や「黄ニキビ」になってしまった場合は、病院に行った方がいいでしょう。
  • ニキビの原因には、ストレスや睡眠不足、食生活の乱れなどがあります。
  • スキンケアは、ニキビ予防だけでなく、ニキビができてしまった後でもしっかりと行いましょう。
  • ニキビができてしまったら、跡に残らないよう、早めに治療することが大切です。
  • ニキビ跡ができてしまうと、長期的な治療が必要になってきます。

[カテゴリ:皮膚, 若年に多い]

 スポンサードリンク


このページの先頭へ