海外に行くと時差ぼけが心配ですよね。とくに数日の旅行だと現地で体が慣れてきたらもう帰国、帰国後に時差ぼけで頭痛になるなんてことも・・時差ぼけは事前に対策することで、ある程度解消できます。ここでは症状や治し方、そして対策や解消法について看護師が説明します。

更新日:2017年05月04日

※この記事は看護師が監修をしています。

時差ぼけとは、体内時計のズレ

地球は、タイムゾーンといわれる時間帯の区分で大きく24個に分かれています。

時差ぼけは、2タイムゾーン以上の旅行をしたときに起こる、よく眠れない、疲れやすいなどの体調不良の総称です。

時差ぼけは、人間の身体にある大きな体内時計と小さな体内時計がずれることで起こります。

大きな体内時計は脳の視交叉上核というところにあって、そこから身体全体に「今何時ごろ」という指示を出しています。

そして、この大きな体内時計は、目からの「明るい」や「暗い」を合図に動いているので、比較的、いる場所の昼夜に順応しやすい時計です。

複数の小時計の適応には数日間必要

問題は小さな時計です。これは食欲の日内リズムを示す「はら時計」や、夜間に成長ホルモンがよく分泌されることを例えた「寝る子はよく育つ」のことわざのモトになっている時計で、食欲やホルモン、自律神経などそれぞれの働きの1日のリズムを刻んでいる時計です。

この時計は脳の指令は受けるものの独自のリズムで動いているので、いる場所が変わって脳の指令が急に変わっても、すぐに順応することができません。

時差ぼけに大きくかかわる睡眠のリズムも、この小さな時計の一つです。昼夜が急に変わっても、睡眠の小時計は簡単に順応して「あ、夜か。じゃあ寝ましょう」というわけにはいかないのです。

体内のすべての小時計が現地に順応するには、最低数日間が必要といわれています。

少ない時差で何も不調を感じていなくても、実は便秘が始まっていたり、数日後にまとめて疲労が来てどっと疲れたりするのも、実は水面下で時差ぼけが起こっているためなのです。

このように、指令を出す大きな時計に、睡眠をはじめ小時計たちが従えない状態になると、睡眠不足をはじめとして、さまざまな不快症状が時差ぼけとして現れてしまうのです。


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時差ぼけには、東行きか、西行きか、が大切

睡眠のリズムは、時間が早まる方に順応しやすい傾向があります。

普段3時間寝ている人が、同じ5時間の時差だとして「3時間で起きてね」といわれるのと、「13時間ずっと寝ていてね」といわれるのとでは、3時間で起きて早く活動を始める方が、その後の活動がうまくいきます。

日常生活で考えても、次のような経験があると思います。

  • 早起きのだるさはその日の夜寝れば解消する
  • しかし、休みの日に昼過ぎまで寝るとだるくて夜眠れない → 次の日に響く

ヨーロッパ方面(西方向)へ行くと旅行中の時差ぼけは軽い傾向

ちなみに時間というのは、地球上でみると東から西に動いています。

したがって、

  • 人が飛行機で西に高速移動すると、時間を追い越している=時間を早めている
  • 逆に、東に旅行すると時間とすれ違っている=時間を戻っている

ということになります。

なので、これにさきほどの例を置き換えると、次のようになります。

  • 時間が早まる西のヨーロッパ方面行き=時差ぼけは軽い
  • 時間を戻している東のアメリカ方面行き=時差ぼけが重い

アメリカ方面(東方向)への旅行は帰国後の時差ぼけがツライ

なので、これから東方面へ行く人は要注意!といいたいところですが、西方面へ行く人は帰国した時の時差ぼけがツラい、ということになります。

西方面へ行く人は特に、旅行後に1日ぐらい休みを残しておいた方がよさそうです。

ただし、一点だけ注意してもらいたいのが、アメリカ大陸の中部より東に行く方々です。

8タイムゾーンより大きい時差になると、時差が早まる遅くなるが振り切れてしまい、体内で逆転する、といわれています。

行く先がニューヨークの方々などは、地図上では東の端に見えますが、この時差ぼけに関しては「西側」に該当しますので、ご注意を。

こんな人は要注意!時差ぼけになりやすい人

時差ぼけは、遠くに行くほど、時差が大きくなるほどなりやすいといわれています。そのほかに、次のようなことが、時差ぼけを重くしやすい要因として知られています。

時差ぼけを重くしやすいもの

  • 睡眠不足
  • 疲れがたまっている
  • 飛行機内の低酸素状態や、気圧の変化
  • 乗り物酔い
  • 高齢者

旅行前には体調を万全にしておくこと、飛行機に酔わないように対策をしておくことで、時差ぼけを軽くすることが出来そうです。

時差ぼけには様々な症状がある

時差ぼけといえば、「眠れない」や「日中だるい」というイメージがありますが、睡眠に関する以外にも次のような症状が現れます。

主な時差ぼけの症状

  • 眠れない・だるい
  • 頭痛
  • 胃腸症状(食欲低下、下痢、便秘)
  • すぐ疲れてしまう
  • 眼が疲れる、視界がぼやける
  • 集中力の低下

旅先で下痢や便秘などの胃腸症状を感じる方は多いと思いますが、食事の影響も少ない最初の数日間の症状は、時差ぼけによるものの可能性が大きいといえます。

また、集中力の低下や日中の眠気は思わぬ事故を招きます。レンタカーの運転など危険を伴う活動は、最初の数日は控えたほうがよさそうですね。

時差ぼけの症状を改善する薬

時差ぼけは病気ではないので、数日して環境に慣れることができれば治ることがほとんどです。

けれど頻繁に海外出張があって、毎回時差ぼけに悩んでいる人は、病院にかかって医師に相談してみても良いでしょう。

病院では主に、比較的安全で効果の短い非ベンゾジアゼピン系睡眠薬などが処方されます。

そのほかにも睡眠薬や睡眠導入剤を処方されることがほとんどですが、これらの薬で良く眠れても体内時計のずれは治っていないため、日中に眠気以外の時差ぼけの症状が出ることもあります。

帰国後の時差ぼけ解消法

1. 時差ボケ解消には、とにかく日光を浴びよう

少ない休みを全て使ってしまって、帰国した次の日にはもう仕事!という人も多いと思います。そんな人は時差ぼけなんて言っていられないですよね。

一刻もはやく時差ぼけを解消したい、そんな時は、日光をなるべく長く浴びるようにしましょう。

日光を目から取り込むことで、脳に昼夜のリズムが変わったことを把握してもらい、まずは体内の大時計を直してしまうことが大切だからです。

日光の届かない場所でのオフィスワークの場合、照明を明るくすることでも日光の代わりにできます。

照明の直視は目を傷めますが、部屋の照明やデスクライトをなるべく明るくすることで、時差ぼけを早く解消するきっかけになります。

2. 食事のリズムも大切

時差ぼけがあると、食欲もなくなるものです。

そもそも、食欲がなくなること自体が、時差ぼけの症状のひとつということもできます。

けれど、食事のリズムを現地のリズムに合わせることも、時差ぼけの解消に役立ちます。

下痢や腹痛など、消化器系の時差ぼけの症状が出ているときでも、食事の時間になったら消化の良いものを無理のない程度に少し口にするとよいでしょう。

少量しか食べられないときは、必要な栄養素を効率よく摂りたいもの。

会議の前など集中したい時にはタンパク質の多い肉や魚、大豆製品を中心に。

寝る前には、消化器に負担がかからないような、炭水化物を控えめにした食事がおすすめです。


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旅先での時差ぼけ解消法

1. 時差ぼけをゆっくり治す、日光を浴びる時間帯

時差ぼけが本当に治るには、1タイムゾーンごとに1日必要、とも言われています。

旅先では、普段と全く違う環境の中で時差ぼけ以外の体調不良も起こしやすいもの。

時差ぼけも急に治すのではなく、身体に負担をかけないようにゆっくり治していくことがおすすめです。

とにかく早く時差ぼけを治したい時は、とにかくたくさん日光を、とさきほどお伝えしましたが、ゆっくり治したい時には日光を浴びるタイミングが大切です。

東方面へ旅行したとき

東に旅行をしたときは、最初の数日は朝日を中心に日光を浴びましょう。

夕日はなるべく浴びないようにしておいて、数日かけて日光に当たる時間帯を夕方に向かって長くしていくとよいでしょう。

西方面へ旅行したとき

西に旅行をしたときはその逆で、最初の数日間は朝日を避けて、夕日を中心に浴びるようにしましょう。

それから数日かけて徐々に、午前中へと日光を浴びる時間を長くしていきます。

とはいえ、旅先ではたくさん活動したいですよね。屋外で活動したいけれど日光を避けたい、そんな時には色の濃い目のサングラスで、日光が目に入らないようにするとよいでしょう。

2.時差ぼけを無理に直さないのも、アリ

1週間程度の旅行なら、旅の後半には時差ぼけを感じずに活動することができます。

けれど、ほんの数日、流行りの弾丸ツアーなどではせっかく治しかけた時差ぼけが、すぐに帰国することでさらに混乱してしまうことになります。

滞在時間が2、3日の旅行では、時差ぼけを意識して直さないことも1つの手です。寝たい時に仮眠をとり、夜は眠ることにこだわらず、身体を休める程度の気持ちでいます。

そうすると、旅行中も自分のペースで活動できますし、帰ってからも再度の時差ぼけにそれほど苦しまずに済むでしょう。

事前の対策

1. 時差を計算して、時差ぼけを防ぐ

旅行の数日前から、できるだけ行き先の時間帯に合わせて行動することも、時差ぼけを防ぐひとつの手段です。

旅行に行く数日前から、東方面へ行く人は朝日を良く浴びて、普段より1時間程度、早寝をしていきます。

西方面へ行く人は夕日を良く浴びて、普段より1時間程度、遅寝をする習慣を付けていきます。

これを数日間していくだけで、旅先での時間に慣れることがグッと楽になります。

2. 時差ぼけを起こさないための、機内での対策

飛行機内は、旅先での時間帯に合わせることのできる最善のタイミングです。

機内の照明も、旅先での時間帯に合わせて照明が落とされたり、食事が配られたりすることと思います。

けれど、時差ぼけを起こしやすくする要素でもお伝えしたとおり、飛行機内の気圧の変化や低酸素状態は、時差ぼけの一つの原因ともいわれています。

また、飛行機内の騒音やこまかい揺れは、だれでもちょっとした乗り物酔い状態にさせます。

そのほか、長時間のフライトはそれ自体で身体がぐったり疲れてしまうし、飛行機に乗ることは時差ぼけをひどくする要因でいっぱいです。

機内でリラックスできる工夫を

飛行機に乗るときの時差ぼけ対策としては、なるべくリラックスして過ごすことです。耳栓をしたり、アイマスクをしたりして、睡眠の質を高めること。

また、飛行機内はとても乾燥しているので脱水になりがちです。脱水は時差ぼけをひどくしてしまうので、水分を摂るように心がけましょう。

とはいえ、キャビンアテンダントに飲み物を依頼するのは面倒ですし、コップの飲み物はこぼれやすく、狭い客席内では隣の人の迷惑になったり、寝ている時にも膝が当たったりしてこぼれないか心配ですよね。

そんなときは出国後、ゲートに行く前にペットボトルの飲み物を買っておくようにしましょう。

また、マスクをして口腔内の乾燥を防ぐことも、脱水の予防に役立ちます。

機内でのアルコールは控えめに

脱水にならないために、良く寝るためにと、アルコールを飲み過ぎてはいけません。

時差ぼけはアルコールの飲み過ぎで悪くなりますし、飛行機内では気圧の変化によって普段よりアルコールに酔いやすくなっています。

アルコールを飲むと眠りやすくなるようで、実は睡眠の質は落ちてしまっています。飲んでも1杯程度にとどめるようにしましょう。

看護師からひとこと

楽しい旅行でも、時差ぼけに苦しんでいるうちに時間がたってしまったり、せっかくのイベントを楽しめなかったら残念ですよね。

時差ぼけは、自分でも気が付かないいろいろな面で、身体に影響を与えてしまいます。

時差ぼけをはじめ、海外での体調不良には脱水が大きく関係しています。

気温や湿度の変化で体内の水分が奪われがちなのに対して、生水への警戒やトイレの衛生環境やタイミングを気にしたりして、どうしても旅先では水分補給がいつもより少なめになってしまいます。

「なんだか体調が良くないな」と旅先で思った時には、旅行前と同じくらいの回数、おしっこに行っているかを注意してみましょう。おしっこの回数が減っていたら、脱水になっているサインです。

日光の力と水分補給で、時差ぼけなんて気にせず旅行を楽しめると良いですね。

[カテゴリ:精神・神経, 胃腸]

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