近年は環境の変化などにより、大人もあせもになる人が増えています。あせもの原因がわかれば、対策方法もわかってきます。原因や治し方、そして、赤ちゃんのあせもの対策や効果のある市販薬をご紹介します。

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更新日:2017年08月09日

この記事について

監修:大見貴秀医師

執筆:当サイト編集部

あせもとは

あせもとは

じりじりと焦げるような暑さが本番を迎えると、海へ山へとレジャーに出掛けるのが楽しみになりますよね。その場合、多くの方は日焼けや熱中症の対策に万全を期していると思いますが、一方で以外と忘れがちなのが「あせも」への対策です。

あせもは湿疹とは異なる

ではそもそも、あせもとはどのようなものかご存知でしょうか。

あせもは漢字では「汗疹」と書き、医療用語では「かんしん」と読みます。その字の通り、汗による湿疹という意味なのですが、実はあせもは湿疹の一種ではありません。

これは、湿疹の定義があせもには当てはまらないためです。

湿疹とは、皮膚が赤く腫れる、ブツブツができる、カサカサしている、水ぶくれがある、剥がれ落ちるなどの様々な病変が、同じ場所で一度に起こったり、時間の経過と共に症状に変化があらわれたりする場合を言います。

一方のあせもは、汗をかいたときに水泡、もしくは丘疹が症状として現れるもので、水泡と丘疹が同時に見られたり、症状が時間によって水泡から丘疹へと変化したりするわけでもありません。

そのため、あせも=湿疹ではないのです。ただし、あせもが悪化して急性湿疹などになることもあります。


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あせもの原因

原因

あせもは、一度に大量の汗をかくことで、汗管(かんかん)と呼ばれる汗の通り道が塞がってしまい、汗が皮膚表面にある汗孔(汗の出口の部分)からではなく、汗管から皮膚内に漏れてしまうことで起こります。

汗には、多くの老廃物が含まれているため、皮膚へと滲み出てしまうとかぶれや炎症などを起こします。

これが、あせもです。そのため、必然的に汗をかきやすい夏は、一年の間で最もあせもを発症しやすい時期と言えます。

あせもは夏でなくても発症する

あせもは夏にのみ発症するものではありません。

汗をかきやすい環境であれば、季節を問わずに発症する恐れがあり、例えば冬であっても高温多湿な場所で激しい運動をすれば大量に汗をかきます。

風邪による発熱、厚着や通気性の悪い衣服を着用していたり、湿布や包帯、ギプス、絆創膏などによって肌が密閉状態になったりすることでも、汗によって汗管が詰まってしまうことがあります。

また、髪の毛で覆われている頭や、額、肘の内側や足の付け根、膝の裏側、お尻など空気の通りが悪いところは通気性が悪いため、汗が乾きにくく蒸れやすいことから、あせもを発症しやすいと言われています。

乾燥肌や敏感肌のひとはできやすい

さらに、汗をそれほどかいた覚えがないのにあせもが出来ている、という方の場合は、皮膚のバリア機能の低下が原因の可能性があります。

乾燥肌や敏感肌の方は、肌を刺激から守る力が弱いため、ちょっと汗をかいただけでもあせもができやすくなってしまいます。

なお、これとは逆に、オイリー肌の人の場合は、肌のテカリが気になって必要以上に体を洗ってしまうことがありますが、必要以上に皮脂を取り除いてしまうこともバリア機能の低下を招き、あせもを発症させてしまうことがあります。

あせもの症状

あせもの症状

あせもは症状の違いから3種類に分けることができます。

一般的なあせも「紅色汗疹」

私達があせもと聞いて想像するのは、皮膚に小さな赤いブツブツができ、かゆみを伴うものではないでしょうか。これは、正式には「紅色汗疹」といい、場合によってはチクチクとした痛みを感じる場合もあります。

一般的に「あせも」というときには、この「紅色汗疹」のことをいいます。

水泡状になる「水晶様汗疹」

「水晶様汗疹」は、直径1~3㎜程度の小さな水泡が皮膚にできるもので、高熱が出た後などにできる透き通った白いあせもです。紅色汗疹のようなかゆみや痛みを感じないため、知らない間にできて、知らない間に治っているということもあります。

まれな「深在性汗疹」

これは皮膚の奥で発症し皮膚が青白く盛り上がって、その部分に汗をかけなくなるといった症状が現れます。

亜熱帯地方で発症が多く、日本での発症は稀だと言われていますが、高温多湿な環境で長時間労働をしている方は、注意が必要と言えるでしょう。

症状だけでなく発症する場所も違う

上記の3種類には症状だけではなく、発症する場所にも大きな違いがあります。

症状

発生場所と種類

  • 皮膚に一番近い角質層で汗が詰まってしまう「水晶様汗疹」
  • 角質層よりも深い顆粒層や表皮有棘層で汗が詰まる「紅色汗疹」
  • 皮膚の最も深い真皮と表皮の間の基底層で詰まってしまう「深在性汗疹」

あせもから他の病気になることも

深在性汗疹の場合、汗をかかなくなってしまうことから、汗疹の面積が広くなると体温調節が上手くいかなくなり、熱中症を発症する恐れもあり、病院で適切な治療を受ける必要があります。

また、紅色汗疹では、かゆみによる掻き壊しが起こると、そこから細菌感染して「膿疱性汗疹」や「伝染性膿痂疹(とびひ)」を発症することもあります。

治し方や薬

軟膏とお薬手帳

水晶様汗疹なら自然治癒も

かゆみなどの自覚症状が伴わない水晶様汗疹であれば、そのまま放っておいても2~3日で自然治癒します。

ただし、あせもがあるところに汗が付着すると、症状が悪化する恐れもあることから、水泡を見つけたらその部分は清潔に保つことが大切です。

紅色汗疹は塗り薬が一般的。病院への受診も。

一方、かゆみや痛みがある紅色汗疹の場合は、掻き壊して症状を悪化させてしまうことがあるため、ステロイド外用剤(塗り薬)を使ってかゆみを抑えます。

ステロイドを使用することに抵抗がある方もいらっしゃいますが、早い段階でかゆみを抑えることで、使う量も少量で済みますし、症状が長引くことも防げます。

なお、ステロイド外用剤はドラッグストアでも購入できますが、子どもに使用する場合や、妊婦・授乳中の方が使用する時は、必ず医師や薬剤師に相談してから購入するようにしましょう。

かゆみが強い場合や、ドラッグストアで購入したステロイド外用剤を使用しても症状が改善しない時は、そのかゆみや炎症の原因があせも以外である可能性もあることから、早めに皮膚科を受診するようにして下さい。

皮膚科では、あせもによるかゆみを抑えるために抗ヒスタミン系の内服薬や、あせもが悪化して膿疱性汗疹や伝染性膿痂疹(とびひ)を発症している時は、抗生物質が処方されます。

赤ちゃんはあせもになりやすい

赤ちゃんのあせも

あせもは、大人よりも子ども、特に乳幼児が発症しやすいというイメージがありますが、これにはきちんとした理由があります。

汗は汗腺から分泌されますが、汗腺の数は大人も赤ちゃんも変わりません。そのため、体の表面積が少ない赤ちゃんは、おのずと汗腺が密集した状態になってしまいます。

さらに、赤ちゃんは大人よりも体温が高く、汗をかきやすい状態にあるので、汗管が詰まってあせもを発症しやすいのです。

赤ちゃん基準の対策を

こうしたことから、赤ちゃんのいるご家庭では、自分が暑いと感じるかではなく、赤ちゃんを基準としたあせもの対策が欠かせません。

赤ちゃんにはエアコンの風はよくない、という見方もありますが、あせもの対策する上で、必要であればエアコンを使用して室温を一定に保つことや、室内の空気がこもらないように空気を循環させることも大切です。

同様に、除湿器を用いて湿度を一定に保ち、衣服は大人よりも「一枚少なめ」を心掛けるのがよいでしょう。

赤ちゃんのあせもに効く市販薬など

赤ちゃんのあせもが気になる場合は、市販薬を使用する方法もあります。ただし、基本的には小児科や皮膚科を受診するようにしてください。

あせもにオロナインは効果なし!

また、赤ちゃんにあせもができてしまった時に、オロナインを使用する方がいらっしゃいますが、オロナインの公式ホームページには、「湿疹によるかぶれやただれには使用しないように」と明記されています。

これは、オロナインの主成分が殺菌・消毒薬として広く用いられているクロルヘキシジングルコン酸塩液であり、ひびやあかぎれ、切り傷、擦り傷、軽いやけどなどを改善するためのもので、あせもに効く成分ではないからです。

このため、あせもにオロナインを使用すると、症状が悪化したり副作用が起こりやすくなったりすると言われていますので、使用は避けるようにして下さい。

ポリベビー(佐藤製薬)

非ステロイド系の塗り薬です。あせもの他に、湿疹、皮膚炎、ただれ、かぶれなどにも効き目があります。抗ヒスタミン剤でかゆみを抑えて、殺菌剤により細菌感染を防ぎ、患部の修復を助けてくれます。ジュクジュクした部分にも使用できます。

アセモア(小林製薬)

こちらも、非ステロイド系のお薬ですので、ステロイドの使用に抵抗があるお母さんでも安心して使えますす。また、抗ヒスタミン成分の「ジフェンヒドラミン」と局所麻酔成分「リドカイン」がかゆみを素早く抑え、掻き壊しによる症状の悪化を防いでくれます。

なお、アセモアにはスプレータイプとジェルタイプがあり、スプレータイプは手を汚すことなくサッと吹きかけるだけで使えるため、外出先などで使用する時にも便利です。

ムヒ・ベビー(池田模範堂)

あせもだけでなく、子どもの虫刺され、かぶれなどにも利用することができます。こちらもステロイド成分は入っていません。かゆみを抑えるジフェンヒドラミン、炎症を抑えるグリチルレチン酸、その他、殺菌作用や血流をよくする成分により、肌の回復や組織の修復を助けます。

対策・予防法

予防法

あせもにならないためには、汗をかかないようにするのがいいのですが、だからと言ってエアコンの設定温度を低くして、寒いくらいの環境に身を置くことが健康的かと言われたら、決してそうではありません。

そこでここでは、汗をかいてしまうことを前提として、その場合の対策や予防法をご紹介したいと思います。

汗をかいたらこまめに拭き取る

最も簡単にできる対策と言えます。ただし、乾いたタオルやハンカチで強く擦ってしまうと、皮膚を傷付けてしまうため、水で濡らして湿らせてから優しく拭き取るようにしましょう。

また、汗拭きシートを利用するのもよいでしょう。

シャワーに入る

可能であれば汗をかいた時はすぐにシャワーに入って、汗を綺麗に洗い流してしまいましょう。

なお、その場合に熱いお湯を同じ個所に長く当ててしまうと、皮膚を傷めたり、体温が上がることでかゆみを感じやすくなったりすることから、ぬるま湯でさっと洗い流す程度で構いません。

汗をかいたら着替える

運動するなど、あらかじめ汗をかくことがわかっている場合は、必ず着替えを用意し、汗をかいたら着替えるようにしましょう。

吸湿性や通気性の高い衣服を着用する

綿や麻は、皮膚と衣服の間に溜まった湿気を吸い取る働きがあり、風通しがよいため湿気がこもりにくいなど、蒸れの防止に役立ちます。

また最近は、速乾性に優れた機能素材を使用したいTシャツなども販売されていることから、運動で汗をかく時にはそのようなものを選ぶのもよいでしょう。

スキンケアを行う

空気の乾燥しがちな冬は、保湿などのスキンケアを欠かさず行うという方も、湿度が高く皮脂量の増える夏は、つい肌へのケアを疎かにしがちです。

しかし、夏は紫外線による肌のダメージを始めとして、エアコンによる空気の乾燥など、以外と潤いが足りていないもの。

夏も冬と同様に、しっかりとスキンケアを行うことで、肌のバリア機能を低下させず、あせもの発症を防ぐことができます。

体の洗い過ぎに気を付ける

汗をかくと、お風呂でゴシゴシと体を擦ってしまいたくなりますが、皮膚表面に付着した汗や汚れは、固形石鹸を泡立て、その泡を手で軽く撫でてあげるだけで落ちると言われています。

ついやってしまいがちな、ボディソープをもこもこと泡だて、ナイロンタオルでゴシゴシ・・という洗い方は、皮膚を傷付けてしまいバリア機能の低下につながりますので、注意しましょう。

看護師からひとこと

子どもがあせもになってしまった場合は、小児科か皮膚科を受診するようにしましょう。

ただし、子どもの場合、あせもかそうでない発疹なのか判断が難しい場合があります。あせもかどうか迷った時には小児科を受診してください。

まとめ

あせもは汗をかく夏に発症しがちです。特に髪の毛で覆われている頭や額などに出てくることが多くなります。

また、汗をかいた後には清潔にすることが大切です。汗をかいた後に放ったらかしにしておくことや、通気性の悪い状態にしておくことは良くないので、こまめに汗を拭くことや、着替えること、シャワーを浴びることが大切です。

あせもについて多くの質問や回答が寄せられています。こちらも参考にしてください。

[カテゴリ:皮膚]

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