麻疹(はしか) 症状・予防接種・抗体などについて

日本では世界保健機関西太平洋事務局から麻疹(はしか)の排除国とされましたが、その後に集団感染が起きていますので、引き続き注意し、予防接種などで予防する必要があります。また、麻疹の抗体の証明書が必要な場面もあり、麻疹の知識は非常に重要です。

  [感染症]

更新日:2016年12月13日

※この記事は看護師が監修をしています。

麻疹(はしか)とは

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麻疹(はしか)とは、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の感染症です。麻疹ウイルスの感染力は大変強いもので、抗体(免疫)を持っていない人が感染すると、発症する可能性が高いといわれています。

麻疹ウイルスに感染すると、風邪のような症状が現れ、少し発熱した後に39度以上の高熱と発疹が出てきます。

また、海外では麻疹(はしか)がないという宣言をしている国もあるようで、かつて、日本の高校生が修学旅行で海外へ行った際に、その国で麻疹(はしか)が発症してしまい、生徒達がホテルから一定期間、全員外に出れなくなってしまったという例もあります。

日本では、平成27年3月27日、世界保健機関西太平洋事務局から「日本が麻しんの排除状態にある」と認定されました。厚生労働省が中心となって、日本全体で取り組んできた成果のようです。

ただし、日本国内にいる限り、麻疹にならないということではなく、海外からウイルスが入ってくることや、海外に行った際に感染することも考えられます。2016年の8月には関西空港での集団感染もあり、引き続き、注意していく必要があります。

世界保健機関西太平洋事務局から「日本が麻しんの排除状態にある」と認定を受けた厚生労働省の通知。

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麻疹(はしか)の近年の状況

上記のとおり、日本は世界保健機関西太平洋事務局から「日本が麻しんの排除状態にある」と認定を受けたところですが、2016年の感染もあり、注意をしていく必要があります。

かつては、子どものころに一度は麻疹(はしか)に感染し、自然に抗体(免疫)を獲得していましたが、近年では、麻疹(はしか)のワクチンを接種する人が増えてきたことから、感染することによって抗体(免疫)を獲得する人が少なくなっています。

ワクチンによる免疫の効果はずっと継続するものではないため、年数がたつとその効果がなくなってしまいます。その結果、平成19年と平成20年に10代〜20代を中心に流行したとみられています。

そのことをうけて、厚生労働省が平成20年から5年間、中学1年の年代、高校3年の年代に2回目の麻疹ワクチン接種を受ける機会を与えたため、平成21年以降は10~20代の感染者は激減しました。

麻疹(はしか)の原因・感染

麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによるもので、その感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染となります。

飛沫感染とは、咳やくしゃみによって感染するもので、空気感染とは、咳やくしゃみによって出てきたウイルスが空気中を漂い、それを吸い込むことによって感染することをいいます。飛沫感染と空気感染はウイルスの流行を促進させるもので、特に麻疹ウイルスは感染力は非常に強く、インフルエンザウイルスの場合と比べても、数倍の感染力があると言われます。

また、麻疹ウイルスは一度感染すると、体内に抗体(免疫)ができるため、基本的には再度感染することはありません。

麻疹(はしか)の潜伏期間、症状

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麻疹ウイルスに感染すると10日〜12日程度の潜伏期間を経て、咳・鼻水・目の充血・涙が多く出る・発熱といった症状が現れます。

咳・鼻水・発熱などの症状が出るこの時期をカタル期といって、2~3日程度続きます。このカタル期にウイルスは全身に広がり、この時期の後半に、口の中の粘膜に小さな白い発疹が出てきます。この小さな白い発疹は、麻疹の特徴的な症状で「コプリック斑」といいます。

カタル期の終わり頃に、一時的に熱が下がりますが、その後、高熱と発疹が現れます。この時期を発疹期といいます。発疹期は4日〜5日程度続き、熱は38度を超える高熱となり、それと併せてウイルスによる皮膚の感染と炎症がおきます。発疹は顔、体、手足に広がります。

発疹期を終えると、熱が下がり回復期に入っていきます。発疹もしだいに治まり、発疹の色は赤から褐色になり、しばらくは褐色の色素が残ります。回復しても1か月程度は免疫力が弱くなりますので、他の感染症にかからないよう注意しなければなりません。

麻疹の潜伏期間と症状をまとめると次のようになります。

  • 潜伏期間(10日〜12日程度)
    発症するまでの間は特に身体に変化はありません。
  • カタル期(2日〜3日程度)
    咳・鼻水・発熱などの風邪のような症状があります。この時期の後半に口の中に白い発疹が現れます。
  • 発疹期(4日〜5日程度)
    38度以上の高熱と、発疹が全身に出てきます。
  • 回復期(3日程度)
    熱が下がり、発疹も治まっていきます。

なお、潜伏期間から回復期までの間は、人へ感染させてしまう可能性があります。特にカタル期の感染力は強力です。

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麻疹(はしか)の合併症

麻疹(はしか)は合併症を伴うことが多いといわれています。実に麻疹(はしか)に感染した人の約30%もの人が合併症を併発するようです。合併症の中でも中耳炎、肺炎は多く、脳炎を合併することもあります。特に肺炎と脳炎は死亡にも繋がる可能性があり、とても危険です。

肺炎

肺炎にはウイルス性肺炎、細菌性肺炎、巨細胞性肺炎があります。細胞性肺炎は発疹期を過ぎても熱が下がらない場合に、注意してください。インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌が原因になることが多くあります。また、巨細胞性肺炎は肺で麻疹ウイルスが持続感染した結果生じるもので、一部の成人などに発症することがあり、死亡例もあります。

中耳炎

麻疹(はしか)に感染した人の15%程度にみられるもので、最も多い合併症です。

クループ症候群

クループ症候群は小児(特に乳幼児)に多くみられる合併症です。

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心筋炎

心筋炎、心外膜炎を合併することがあります。重い合併症となることは稀なようです。

脳炎

麻疹(はしか)に感染した人の1,000人に1人程度の割合で脳炎を合併します。発生頻度は低いですが、死亡することもあるため注意が必要です。

多くは発疹が現れてから2~6日後頃に発症することが多く、20%から40%は後遺症を残すと言われています。

亜急性硬化性全脳炎

麻疹(はしか)に感染した後、7~10年を経てから発症する中枢神経の疾患です。知能障害、運動障害が徐々に進行し、発症してから平均6~9か月で死亡することがあります。麻疹(はしか)に感染した人の10万人に1人に発症するといわれています。

麻疹(はしか)の予防

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麻疹(はしか)には、ワクチンがあり、予防接種を受けることができます。このことで95%以上の人が麻疹ウイルスの抗体(免疫)を得ることができます。

また、一度は予防接種で抗体(免疫)を得た人であっても、年数の経過とともにその力が衰えてきますので、2回目の予防接種を受けることで免疫力を強くすることができます。

予防接種には麻疹ウイルス単独のものと、風疹と麻疹の混合のものがあります。どちらも麻疹に対する効果は同様です。二つの予防接種は生ワクチンのため、胎児への影響などから、妊娠している人は接種することができません。また、接種後の2か月程度は妊娠しないようにしなければなりません。

麻疹と風疹の予防接種は、現在では定期予防接種とされていますので、1歳になった時、小学校入学前の2回の予防接種を無料で受けることができます。

予防接種による副反応

1回目の麻疹ウイルスの予防接種をした後の反応として、発熱や発疹が出ることがあります。その他、アレルギー反応なども少数に見られます。2回目の予防接種においては副反応は少なくなりますが、きわめて少ない確率で(100万人〜150万人に1人程度)で脳炎や脳症が発症する可能性もあります。

予防接種を受ける際にはアレルギーなどについて、医師と相談してください。

麻疹(はしか)の抗体検査について

近年では、就職や進学などの際に、専門学校や大学、企業などから麻疹(はしか)の抗体(免疫)を持っていることの証明書の提出を求められることがあります。大学や企業では、海外に行くこともあると思います。自分が抗体を持っているかどうか。きちんと検査しておく必要があります。

抗体の検査は病院で行っていますので、病院もしくはお住まいの市町村などに確認するといいでしょう。

麻疹(はしか)の治療

麻疹(はしか)については、特別な治療法はありません。症状を軽減するための処理(対処療法)が行われることになります。

家にいるときには、とにかく安静にすることが大切です。発熱を伴いますので、寒気やふるえへの対策として暖かくしましょう。

また、発疹期には38度以上の高熱がでますので、熱を下げるために大量の汗をかいて、脱水状態になることがあります。特に赤ちゃんは喉が渇いたことを伝えられませんので、積極的に水分補給を行うことが必要になります。

その他、合併症がある場合は、その治療を行うことになります。

学校などへの登校について

麻疹(はしか)は、学校保健安全法で第二種伝染病に指定されています。このため、熱が下がってから3日を経過するまでは、学校などへの出席することはできません。具体的に登校する日については、医師と相談して決めてください。

学校安全保健法施行規則第19条(出席停止の期間の基準)

第2号 令第六条第二項 の出席停止の期間の基準は、前条の感染症の種類に従い、次のとおりとする。

ハ 麻疹にあつては、解熱した後三日を経過するまで。

大人の感染

近年、麻疹(はしか)の予防接種を受ける人が増えているのですが、中には過去に受けた予防接種の効果が薄れている人が出てきています。このため、子どもの頃に予防接種して、その後は予防接種を受けていない人が、成人に多く存在しています。そういった人が、麻疹(はしか)に感染しているようです。

大人の場合、子供よりも重症化することが多く、合併症などで肺炎や肝機能障害を起こしてしまい、入院治療が必要になる人もいます。

予防接種を受けてからだいぶ年数が経ってしまった人は、一度医療機関を受診して医師と相談してみるといいでしょう。

妊婦への影響

妊娠しているときに、麻疹(はしか)にかかってしまうと、流産や早産を起こす可能性があります。妊娠中は予防接種を受けることができないので、麻疹(はしか)が流行しているときや、流行しがちな春から初夏にかけては、感染予防を心がける必要があります。

また、妊娠していない人については、予防接種を受けることを検討した方がいいと思います。麻疹と風疹のワクチンがあり、別々に接種するよりも安くなります。自治体によってはこれから子どもを作ろうという夫婦に対して、抗体検査の補助を行っていることもあります。補助の内容や対象については、市町村の保健センターなどに問い合わせてください。なお、生ワクチンであるために妊娠の可能性がある人は接種できません。

その他

海外旅行中に麻疹(はしか)が発症してしまうと、滞在先の国で感染を拡大させないために、麻疹(はしか)になってしまった人や、同行者の行動が制限され、場合によってはホテルなどから出られなくなってしまうこともあるようです(滞在先の国によります。)。海外に行く際には、体調や時期などに注意が必要です。

看護師からひとこと

麻疹は強い感染力を持っていますが、初期症状はただの風邪と区別がつきません。また、麻疹の患者を小児科医でも診たことのない医師もいます。

カタル症状のあとで発疹が出た場合は、もう一度受診するようにしましょう。その際は直接医療機関の窓口に行かず、一度電話での問い合わせをしてからにした方がよいですね。

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まとめ

  • 麻疹(はしか)とは、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の感染症です。
  • 麻疹ウイルスの感染力は大変強く、抗体(免疫)を持っていない人が感染すると、多くの場合発症します。
  • 一度感染すると抗体(免疫)を獲得するので、その後は感染しません。
  • ただし、予防接種による抗体(免疫)の獲得は、その効果が薄れていきますので、再度予防接種をする必要があります。
  • 潜伏期間の後、2〜3日風邪のような症状が出て、その後、高熱と発疹が現れます。
  • 予防接種は定期予防接種になっているので、小さな子どもは無料で受けることができます。
  • 感染してしまった場合、法律により一定の期間は学校などへ出席することができません。
  • 大人も麻疹(はしか)に感染することがあります。子どもの感染に比べて、症状がひどくなることがあります。
  • 妊婦さんが感染すると、流産や早産を起こす可能性があります。

国立感染症研究所 感染症情報センターに麻疹(はしか)についての動画がありますので、参考にしてください。

国立感染症研究所 感染症情報センター 麻疹教育啓発ビデオ

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