子どもの嘔吐や下痢の対処法。夜中の対応や水分補給など看護師が教えます!

子どもの急な嘔吐や下痢で対処に困ったことがるというお母さんも多いでしょう。中でもその原因の多くを占める感染性胃腸炎は症状もひどく感染しやすいものです。夜間や休日に症状が出た場合にどのように対応したらよいか。看護師が丁寧に解説します。

  [看護師コラム, 胃腸の病気]

更新日:2017年01月22日

※この記事は看護師が監修をしています。

子どもの嘔吐や下痢、まずは症状を確認!

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子どもの嘔吐や下痢は、突然始まります。噴水のように吐き出すかと思えば、「おなか痛い」と言いながら吐くこともあります。

そんなとき、どうしたらいいでしょう?

子どもの嘔吐や下痢について、その原因と対処方法についてお伝えします。

まずは症状を確認

嘔吐や下痢を引き起こす病気として一番多いのは、感染性胃腸炎です。胃腸炎は年間を通じて流行します。

原因はウイルス性・細菌性とありますが、冬場のノロウイルス・ロタウイルスによる感染性胃腸炎は、感染力が極めて強く症状も重くなる傾向があります。

ただし、嘔吐や下痢を引き起こす病気は胃腸炎だけではありません。

O-157 に代表されるような食中毒や、腸重積・イレウスといった腸管の通過障害、髄膜炎による嘔吐などもあるため、まずは症状を確認しましょう。

出ている症状・出ていない症状は?
  • 嘔吐(回数)
  • 下痢(便の性状、色、回数)
  • 発熱
  • 意識レベル(問いかけに対する反応、乳児なら視線を合わせるかどうか)
  • 腹痛(程度、場所)

上にあげた症状を確認してから、医療機関を受診しましょう。

日中なら、かかりつけ医を受診

急に嘔吐や下痢が始まったら、本当に感染性胃腸炎なのでしょうか?別の病気の症状として、嘔吐が出ているのでしょうか?症状を見てもどうしていいか分からず心配な時もあるでしょう。

症状が出たのが平日の日中ならば、その日のうちにかかりつけ医を受診しましょう。

夜間なら電話「#8000」で確認しよう!

スマホガッツ

では、夜間や休日はどうしたらよういでしょうか。場合によっては翌日の朝を待てない、待ってはいけない緊急の場合があります。

そんな判断、自分ではできない・・・というお母さんのための、強い味方があるんです!

「小児救急電話相談」という制度があるのを知っていますか?

これは、医師や看護師が電話で相談を受けてくれる制度です。全国一律、短縮番号#8000をプッシュすることで、都道府県の窓口に自動転送されます。

詳しくはこちらをご覧ください。

夜間・休日に救急に受診するべきか判断に迷ったら、#8000で相談しましょう!

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受診するタイミングとマナー

受診のタイミングは?

平日の日中に発症した場合は、その日のうちに受診し、診断をつけてもらうのと同時に、このあと起こり得る症状・状態、自宅での生活についての説明を受けることができます。

夜間・休日に発症した場合は、基本的には下でお伝えする初期対応をしっかりとっておけば、翌日受診でかまいません。

ただし、中には救急受診が必要となる場合もあります。

こんなときは救急受診を!

嘔吐だけではなく、下の症状もある場合には救急受診が必要です。

  • 嘔吐と下痢により、全く水分が摂れない → 脱水の可能性
  • イチゴジャムのような便が出るとき   → 腸重積の可能性
  • 血便(下血)が出るとき        → 食中毒による腸管出血の可能性
  • 腹痛がひどい             → イレウスの可能性
  • 激しい頭痛              → 髄膜炎の可能性

嘔吐だけでなくこれらの症状もある場合には、緊急性の高い病気のことがあります。時間をおくことで病気を悪化させる・後遺症が出る、命に関わる場合もあります。

あてはまる症状があるときは、「#8000」への電話相談、救急搬送、もしくは夜間・休日の救急外来の受診をするようにします。

救急外来を受診する場合には、一度連絡をした上で受診した方がいいでしょう。(救急外来受診については、以下の関連記事を参照してください)

朝になって元気でも受診は必要

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感染性胃腸炎の場合、嘔吐がなく下痢だけのこともあります。夜間の症状が翌朝になって良くなり、元気にみえることもありますが、それでも病院を診察するようにします。

まず感染性胃腸炎であるという診断を受けることが必要です。

上でお伝えした通り、嘔吐や下痢というのは胃腸炎以外の病気の症状としても現れることがあるので、根本的な病気が他にないかどうかを診断してもらわなければいけません。そして、感染性胃腸炎という診断を受けた場合も、脱水状態でないかどうか診てもらう必要があります。

また、感染性胃腸炎は保育園・幼稚園では治癒証明書がなければ登園できないこともあります。最初に受診して診断を受けていないと、治癒証明書が書けなくなることがあります。(この間まで下痢していました・・・では、治癒証明は書けません)

症状が出た初期の頃にきちんと受診をして感染性胃腸炎という診断を受け、もう一度受診をして治癒証明を発行してもらうのが、嘔吐・下痢のときの正しい対応です。

受診時に守っておきたいマナ―

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病院を受診したときに嘔吐や下痢をすると、他の病気やワクチン接種のために受診していたよその子どもさんに、細菌やウイルスをまき散らすことになります。

同じ子どもを持つお母さんのマナーとして、受診時には気を付けて欲しいことがあります。

病院を受診するときのマナー

  • 窓口で症状を伝える。(車中で待機ということもあります)
  • 待合では、できるだけ他の子どもから離れる。
  • 嘔吐したときにすぐ対応できるよう、洗面器・ビニール袋・ティッシュを持参する。
  • 乳幼児は、オムツ交換セット(おしりふき・ゴミ袋も)を持参する。
  • 乳幼児の場合、着替え一式も用意しておく。
  • できるだけ患児のみを連れて行く(嘔吐や下痢を起こしたとき、兄弟の世話ができない)。

病院が感染拡大の場になってしまうことは、避けたいものです。

また、「病院にいけば看護師さんがなんとかしてくれるだろう」と病院まかせにするのではなく、考えられるだけの対処は各家庭でできるよう準備をしてから受診しましょう。

大切なのは初期対応。脱水を起こさないように!

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重要なのは、脱水を起こさないこと!

胃腸炎の場合、早く治るかどうかは適切な水分補給にかかっていると言っても過言ではありません。水分摂取をうまくできないと、脱水症状をきたして入院になることもあります。

嘔吐がある場合の胃腸炎では、最初は全く水分が摂れないこともあります。脱水予防には、ある程度吐くものを吐いて落ち着いたら、早いうちから少しずつ水分を摂り始めることが大切です。

ポイントは、脱水症状を起こしてからではなく、初期の頃から少しずつ・正しい水分摂取を行うことです。

水分摂取はゆっくりでOK

水分摂取が大事!と言われても、嘔吐や下痢のときにはごくごくと飲んではいけません。むしろ、ごくごくと一度にたくさん飲むことで、また嘔吐を誘発してしまうこともあります。

最初は15分・30分間隔で、ティースプーン数口から始めましょう。

比較的大きな子どもさんや元気がある場合は、コップに少しずつ入れて渡しましょう。多くても50ml以内(乳幼児なら30ml以内)にしておきましょう。

一度にたくさんではなくて、回数で摂取量を稼ぐことを意識してください。嘔吐・下痢の時に一番大切なことは、脱水にならないことなのです。

嘔吐・下痢のときの水分補給には「水+塩分」が必要

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嘔吐・下痢のときは、「水分=水+塩」

早く治るかどうかは適切な水分補給にかかっているとお伝えしましたが、嘔吐・下痢を発症したときには、どういうものを飲ませてあげたらよいのでしょうか?

脱水には二種類の意味があります。

  • 単純に「水」が少ない場合
  • 「塩分(ナトリウム)」が少ない場合

スポーツの時にも、汗で水分と塩分が身体から出ていってしまい、脱水症を起こします。真夏には、熱中症によって脱水症を起こしてしまいます。

胃腸炎では、嘔吐や下痢によって大量の水分とともに、塩分が身体から出ていってしまいます。軽い運動よりも、1回の嘔吐で出ていく水分・塩分の方が多いのです。

塩分が足りなくなると、だるくなって動けなくなってしまいます。そうなると余計に水分を摂ったり、起き上がったりすることができなくなり、悪循環になります。

脱水症状がひどくなると、意識障害を起こしたり、腎機能を悪化させて命に関わることもあります。

脱水を予防するためには、次の飲み物は飲ませてはいけません。

  • 麦茶
  • お茶
  • お白湯

塩分が全く含まれていないので、余計に身体の中の塩分濃度が下がってしまうのです。これを低張性脱水といい、水分を摂っているのにどんどん脱水はひどくなります。

塩分を摂らないと脱水の症状として嘔吐がひどくなり、余計に体内の塩分を失ってしまうという悪循環に陥ります。つまり、嘔吐・下痢のときの水分は、単純に水分ではなくて、塩分も摂らなくてはいけないのです。

嘔吐下痢のときの水分=「水+塩」であることを、よく覚えておいてください。

脱水対策に万能なのは「経口補水液」

嘔吐・下痢のときの水分摂取は、塩分がポイントとお伝えしてきました。

こんなときにいい飲み物があります!それは、OS-1などの経口補水液です。

経口補水液は夏場の熱中症対策のイメージがあるかもしれませんが、感染性胃腸炎による嘔吐・下痢のときにも、理想的な飲み物です。

胃腸炎はいつ起こるかわかりません。嘔吐と下痢でトイレから出られない子どもを置いて、買いに行くこともできません。ですから、特に小さな子どもさんのいるご家庭では、1本でもストックしておくことをオススメします。

とはいっても、買い置きがない場合もあるでしょう。もし経口補水液が自宅にない場合は、家庭にあるもので代用できます。

経口補水液の代わりになるもの
  • 味噌汁、コンソメスープなどのスープ類
  • ポカリスウェットなどのスポーツドリンクに、塩を(ひとつまみ程度)足す
  • アクアライトなどのイオン飲料に、塩をひとつまみ足す

これらで対応できます。

スポーツドリンクやイオン飲料は、基本的には運動したときのための飲み物と思ってください。これらは主に水分の喪失を想定していますので、塩分は入っているものの、嘔吐・下痢のときの飲み物としては塩分が不足しています。

スポーツドリンクやイオン飲料で対応する場合には、塩を足すわけですが、加減が難しいです。

経口補水液の代用は具なしの味噌汁やスープが手軽

経口補水液を調達するまでの間に合わせとしては、スープ類で代用するのが一番手軽で間違いありません。

味噌汁やコンソメスープなら、いつもの味付けの通りでOKです。

おなかが空いていて食べたがったとしても、具材は消化できませんので、具がないものにします。

固形物の開始のタイミングは医師に相談しましょう。それまでは汁(スープ)だけにしておくほうが安心です。

赤ちゃんには母乳かミルクで

赤ちゃんの場合は、どうしたらよいでしょうか?

いつも通りの母乳かミルクで十分です。ただし、母乳の場合は少しずつ飲むということが難しいので、搾乳して哺乳瓶で少しずつあげるようにしましょう。
 

経口補水液は「飲む点滴」!しっかり飲ませよう

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経口補水液は、非常に優れた飲み物です。

ただね、全然おいしくないんですよ・・・。

これは身体に必要だから!と言って聞かせても、なかなか飲んでくれないこともあります。でも、「飲みたがらないから諦めました」はダメですよ。根気よく、少しずつ、ティースプーン1杯ずつでいいからトライしましょう。

それでもダメ、という場合にはゼリータイプがオススメです。経口補水液には、ペットボトルに入ったものとゼリータイプのものがあります。同じ値段で内容量が違うので、ゼリータイプの方が割高です。

でも、なぜかゼリーの方が小さい子どもさんでも飲んでくれることが多いですね。味は付いていないのに不思議です。

しかし、脱水のときは「身体が欲しがる」ことが多いのです。

経口補水液は果汁も甘味も入っていないので、おいしくありません。子どもなのにおいしくないものがなんとか飲めるのは、身体が塩分を欲しがっているから。下痢や嘔吐で水分が必要なときには、経口補水液が身体にとっての自然な飲み物なんですね。

最初は苦もなく飲んでいのにまずいと言うようになったら、それは調子がよくなった証拠ともいえるのです。

中には嘔吐も下痢もしていて脱水の危険性が高いのに、ゼリータイプすら飲んでくれないお子さんもいます。そんなときには、前述のとおり味噌汁やスープ類で代用しましょう。ここで正しく水分摂取ができないと、脱水で点滴が必要になってしまいます。経口補水液が飲めると、自宅での対応が可能です。

経口補水液は飲む点滴と思って、根気よく飲ませてあげましょう!

しょっぱいものでも「せんべい」はダメ!

嘔吐・下痢の時には塩分を摂って欲しいし、できることなら経口補水液で水分を摂取して欲しいところです。

でも、ゼリータイプも飲まないし、スープ類も飽きてしまった・・・。そんなときに、あるお母さんが子どもに食べさせたものは、なんと「おせんべい」!

嘔吐下痢の初期は、消化できないので固形物はNGです。でも、考えようによってはおせんべいを「しゃぶらせる」のはアリですね。

どうしても嫌がる子どもには、たまに好きなものをあげて、基本的には経口補水液を飲ませるように使いわけるとよいでしょう。

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胃腸炎の基本は「全て出しきること」!

感染性胃腸炎は出しきらなければよくならない

感染性胃腸炎による嘔吐・下痢の場合、治すための一番の近道は「出しきること」です。

身体に入ってしまったものが細菌であろうとウイルスであろうと、外に出しきらなければ良くなりません。

「水分を飲ませると吐くから飲ませなかった。」
「水分を摂るとすぐに下痢するから飲ませなかった。」

というお母さんがいらっしゃいます。

でも、早く治したかったら、出しきるしかないのです。これは、大人も子どもも一緒です。

経験的に、最初に噴水のように嘔吐して発症した子どものほうが、少しずつちびちびと下痢便が出る子どもよりも、治りが早いようです。

腸に到達するより胃内にあるうちに出してしまう方が、たくさんの細菌やウイルスを排出できるのかもしれませんね。

下痢止めは逆効果

早く治すためには、悪いものを身体から出しきることが鉄則ですから、早く下痢を止めたいからと言って下痢止めはダメですよ。

病院でも、感染性胃腸炎に対して下痢止めを出すことはまずありません。

下痢止めというのは、お腹の動きを鈍らせるのです。そうすると、本来身体の外に下痢便として出るはずの細菌やウイルスが、いつまでたっても出しきれずに残ってしまい、逆効果になります。

早く治すためには、早く出さなくてはいけません。そのためには、下痢を止めてはいけないということです。

医療機関によっては、感染性胃腸炎のときに整腸剤を処方することがあります。これは、下痢止めとは違い、腸内細菌のバランスを整えるものですから安心です。

これが出たら救急受診!キケンな脱水症状

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それでも脱水を起こしてしまう

嘔吐や下痢が始まった当初から水分摂取に気をつけていても、子どもの体力不足などによって、脱水症を起こしてしまうことはあります。

また、下痢と嘔吐の回数がそれほど多くないのに、脱水症を起こすこともあります。

「ウチの子は、そんなにひどくない」

と安心せず、症状が治まるまでは状態をよく観察しましょう。

脱水時のキケンな症状とは?

脱水になってしまったときは、どのような症状が出るのでしょうか?以下の症状が出た場合には、早めにかかりつけ医(夜間なら救急外来)を受診してください。

注意して欲しい、キケンな脱水症状
  • 声をかけたときの反応が乏しい
  • あやしても笑わない
  • 全く起き上がれない
  • 全く水分が摂れない
  • おしっこが出ない
  • 唇や口の中が乾燥している

まとめ

感染性胃腸炎による嘔吐・下痢の対処は、「しっかり出してしっかり摂る」ことに尽きます。
正しい水分摂取と、危険な脱水症状に注意しましょう。

くれぐれも、お世話をしているお母さんがうつらないよう、気を付けてください。

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