アスペルガー症候群 症状・診断・接し方など

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群とは社会的な言動に支障をきたす脳機能障害の1つで、自閉症(自閉症スペクトラム)のタイプの1つになります。

自閉症の中でも自閉度が高くIQが高いことなどが多く、一見して自閉症とは見えにくいことが特徴でもあります。

アスペルガー症候群の定義

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アスペルガー症候群の定義には、アメリカ精神医学会の『精神疾患の分類と診断の手引き』DSM-4、世界保健機関(WHO)ICD-10、ローナウイングによる定義などがあります。

それぞれの定義はまったく同じものではありませんが、概ね自閉症と同様に、3つの特徴的な症状があり、その上で「知的障害がない」ということになります。

特徴的な3つの症状は次のものになります。

1. 社会的相互関係における質的な問題(社会性の問題)

自分と他人との関係をうまく理解できず、いわゆる空気が読めないなどの状態になり、友人関係を作ることが難しかったりします。

2. コミュニケーションの問題

言葉の意味を理解できても、冗談やだじゃれ、例えなどを理解することが苦手になります。また、言葉によらないコミュニケーション(挨拶、アイコンタクトなど)がうまくいかないこともあります。

3. 想像力、創造性の欠落

相手の立場を考えたり、相手の気持ちを理解することが苦手になります。また、不確定な状況を想像することが難しいため、いつも通りのことなどに対して強いこだわりが出てきます。

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アスペルガー症候群の具体的な症状

上記の3つの特徴的な症状に伴って、次のような症状が具体的にみえてきます。

1. 思い通りにことを進める

アスペルガー症候群の人は、自分の思い通りに事を進めようとします。「他人からどう思われるか」ではなく、自分の思うように事を進めることが1番大事だからです。

したがって、あまり「恥をかく」ことに抵抗がありません。子どもの場合は、協調性が必要な同級生より、目下や目上との付き合いを好みます。

2. 行間を読むのが苦手

言葉の裏や行間を読むことが苦手です。思ったことは正直に口に出し、相手の言葉も字面通りに受け止めるため、冗談が通じません。

また、言葉に対して自分のこだわりや世界を持っているため、必要以上に話が細かくなったり、言葉の使い方に不要に固執する傾向があります。言葉の誤用が多く、TPOに合わないことも多くなります。

3. ごっこ遊び、集団遊びが苦手

集団遊びは、自分の意に合わないことが多くなるため「じゃあやめた」となりがちです。自分の決めたパターン行動を守る気持ちがとても強く、それを乱されるとパニックを起こすこともあります。

自分の決めたルールで行動することが、本人の安心感になっているのです。

4. こだわりの世界を持つ

人に合わせることより、自分の世界を大事に守る方に価値を置きます。コレクションに凝る子どもも多くなります。

5. 運動が苦手、不器用、字がうまくない

思考の偏りが強いためか、バランスを必要とする運動が苦手な子どもが多くなります。

同じ理由で、手先が不器用なことも多いですが、「自分のこだわり」に対する執着は相当強いため、工作や絵画に興味を持つ子どもの場合は、逆に得意なこともあります。

6. 五感が敏感

こだわりの強さが、音や視覚、嗅覚、触覚に現れることがあり、五感に対して敏感になります。

音程のずれた音楽をひどく不快に感じる人、また自分で心地いいと思った衣類などを手放さず他のものを使わない、など、色々な形で現れます。

その反面、自分が気にしないことに鈍感な面もあり、けがや病気の痛みに気付かないこともあります。

7. 注意が欠落する、計画を立てるのが苦手

「自分のこだわり」が価値基準の中心となるため、そうでないことには、あまり注意が向きません。また、1つのことにのめりこむ性質があるため、その逆となる「複数のことに優先順位をつけながら同時進行する」ことが苦手となってきます。

8. 成績が良い、もしくはその逆

学校の勉強に興味を持てれば、人1倍の関心と努力を発揮します。

また、記憶力の良い人が多く、一流大学の天才肌タイプにはアスペルガー症候群が多いと言われています。

逆に勉強に関心が持てない場合は、登校自体が難しくなることもあります。

9. 感情抑制が苦手

普通の人がアスペルガー症候群の人の感情を理解しづらいのと同じで、アスペルガー症候群の人から見れば、普通の人が当たり前に過ごす環境を不快に感じたりします。

また、「人と自分が違う」ことの自覚はあることが多く、自己肯定感が持てず自傷行為に走ったり、外に向けて発散(暴力、犯罪行為)に行くこともあります。

衝動的に行動することも多いのですが、これはアスペルガー症候群の症状ではなく、アスペルガー症候群にはよくADHD(注意欠陥・多動症)を併発する場合が多く、ADHDの特性として衝動性があるためです。

10. 勝ち負けにこだわる

スポーツなどをするときに、他人と協調することにあまり意味を見いだせず、「勝つ」という目標にこだわることが多いです。

あまりチームプレーには向いていない代わりに、個人競技には得意です。

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アスペルガー症候群の原因

遺伝や、出生直後のトラブル(風疹、フェニルケトン尿症、染色体異常など)で、脳に障害が出るためと言われています。環境や育て方は関係ありません。

アスペルガー症候群の診断

医師

冒頭に記述した「アスペルガー症候群の定義」に基づいて、医師が診断を行いますが、診断基準の解釈が明確でない部分もあり、医師によって診断が異なることもあるようです。

また、アスペルガー症候群の人は、ADHD(注意欠陥・多動症)やLD(限局性学習症)を持っていることも多く、アスペルガー症候群による生きづらさが元で、強迫性障害や、うつ病など精神疾患を伴うこともあるため、それらの可能性も含めての診断になります。

子どもがアスペルガー症候群では?と思うときは、児童精神科医など、児童を専門に診ている医師に相談することや、市町村保健センター、子育て支援センター、児童相談所、発達障害支援センターなどの公的機関に相談することをお勧めします。また、学校の保健の先生と話をしてみるのもいいでしょう。

診断は医師が行いますが、自己診断テストというのもありますので、参考までにリンクを付けておきます。

ケンブリッジ大学の自己診断テスト

アスペルガー症候群の治療方法

元々病気ではないので、治療方法はありませんが、社会生活に適応できるよう、抗不安薬を用いたり、感情をコントロールできるように抗うつ剤を服用したりすることはあります。

2次的に、精神疾患や不眠、自律神経失調症などを発症した場合は、その病気の治療が必要になります。

子どもの発達障害で問題視されるのは、社会適応を優先するあまり、投薬が多くなったり、副作用が出たりすることです。

特に子どもの場合、薬の影響は大きいので、服薬治療を受ける場合の理由や疑問はしっかり確認しましょう。セカンドオピニオンについても考慮しておくといいでしょう。

アスペルガー症候群の二次障害

子ども

アスペルガー症候群には、次のような二次障害があります。

精神疾患の発症

本人が理由を解らないまま、社会から疎外されることがあるため、うつ病、強迫性障害、不安障害を発症したり、また、そのことに気付かれず放置されてしまうこともあります。

ひきこもり

各種精神疾患を発症することで、ひきこもりになるケースもあります。

そのため社会人として組織にきちんと適応しなければ、という思いが強すぎ、完ぺきにできない自分が嫌になり、ひきこもってしまいます。

フラッシュバック

いわゆる「トラウマ」というものですが、アスペルガー症候群の場合、記憶力が優れているため、嫌な記憶が鮮明に残ることで、フラッシュバックなどが起こることがあります。

ストレスなどによる体調不良

五感が敏感なため、ちょっとしたことが人並み以上のストレスとなり、自律神経の不調、頭痛や低血圧、睡眠障害などを訴えることもあります。

アスペルガー症候群との付き合い方

適切な環境が必要

アスペルガー症候群は、社会との価値観が一致していないため、社会生活を送るのに支障をきたす状態です。

したがって、アスペルガー症候群の特性を理解して、周囲が肯定的に受け入れることで、多くの問題は解決し、二次的な症状を防ぐことができます。

刺激の少ない環境で過ごす

アスペルガー症候群の場合、自分の価値観以外のことに遭遇した場合、混乱を起こしやすく、刺激全般を苦手とすることが多いため、静かでペースを乱されない環境にいるのがベストです。

ルールや指示を具体的にすること

アスペルガー症候群の場合、言葉を額面通りに受け取ります。「言わなくても解るでしょ」は通用しません。「何時までに、何をやる」という具体的な指示であれば理解できます。

指示が解れば、間違いなくこなすので、「言われたのにサボる」ということもありません。逆に言うと体調が悪くても、言われた通りにやろうとします。

ほめてあげること

子供の場合は特に空気を読むことが難しいため、自分の言動が良いのか悪いのか、理解することが困難です。

知らない人にあいさつをしたときに「知らない人に、こんにちはを言って偉かったね」というふうに褒めると、「知らない人にあいさつすることはいいこと」だと学べますし、自分の行動が認められたことで自信がつきます。

こだわりや特性をいかす

自分の価値観を追求することは、臨機応変に人と接することには向いていませんが、学者のように、自分の世界を追求することには向いているといえます。

他人と全く違う視点で物を見ることが多いので、モノづくりにも適正があると言われます。

本人の興味のある方向を尊重すると、自己肯定感が生まれ、自信が持てるようになり、人と関わることでコミュニケーションを身に付けることにも繋がります。

アスペルガー症候群の人の職業について

アスペルガー症候群の人が向いている職業

プログラマー、エンジニア、学者、カメラマン、製図技術者、ジャーナリスト、会計士など、専門的なものや、自身で追求していくような仕事になります。

あるペルガー症候群の人に向いていない職業

向いていない職業は、営業職や接客業になってきます。

アスペルガー症候群と言われる有名人

ビルゲイツ、スピルバーグ、アインシュタイン、エジソン、スーザンボイルなど

看護師からひとこと

アスペルガー症候群は知的や言葉に問題がないため、気づかないままに成長し、生きにくさを抱えながら社会生活をしている方が多くいます。

家族や自分自身に当てはまるような特徴があるようでしたら、一人で抱え込まず、医療機関や専門の相談機関へまずは相談してください。

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まとめ

  • アスペルガー症候群の人の特徴は、社会性に乏しいこと、コミュニケーションがうまく取れないこと、想像力が欠如していることがあげられます。
  • 原因は遺伝や出生直後のトラブルが理由と言われ、環境や育て方は関係ありません。
  • アスペルガー症候群は「治す」のではなく、社会生活に適応できるようにしていくことが大切です。
  • 二次障害として、うつ病、強迫性障害、不安障害などを発症することがあります。
  • アスペルガー症候群の人は、ストレスへの耐性が弱いことが多く、自律神経のバランスを崩しやすい人が多くなります。
  • 特性を理解して、周囲が肯定的に受け入れることで症状が緩和されます。
  • アスペルガー症候群の人は、静かで、ペースを乱されない環境にいるのがいいとされます。
  • アスペルガー症候群の人と接するときは、ルールや指示を明確にすること、ほめるようにすることが大切です。
  • 学者や職人のように、とことん自分の世界を追求する仕事に向いています。
アスペルガー症候群について多くの質問や回答が寄せられていますので、こちらも参考にしてください。


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