腸重積の原因や症状、入院治療などについてポイントを解説します。

腸重積とは

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腸重積とは、腸閉塞(イレウス)の1種で、腸が重なり合って、腸が塞がれてしまうケースを指します。

子どもの場合は、小腸の終わりの部分にある回腸が大腸の間に滑り込むケースが殆どです。完全に血流が止まるほど腸が圧迫された場合、腸が壊死して、そこから細菌感染を起こして死に至ることもあります。

新生児から乳幼児、特に1歳までに多く、男子の患者数が女子の2倍程度多く見られます。

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腸重積の症状

症状の進み方

猛烈な腹痛から始まり、しばらく痛みで泣いたり不機嫌になったりします。

また、発症した当初は痛みが強いため、訴えることに疲れ、ぐったりすることもあります。

これら不機嫌さや腹痛、ダルそうな感じが波のように繰り返された後、嘔吐(黄色い胆汁が混ざることもある)が起き、更に病状が進むと血便が出ます(ジャムのような、ゼリー状の便が多く見られます。腸から出血するためです)。

対処法

緊急性の高い病気なので、このような症状が出た場合は救急で病院に行きましょう。

24時間以内に行くのが鉄則とされ、それ以上の時間が経つと手術をする確率が高くなります。

嘔吐がひどい場合は、家で水分補給をするのはやめましょう。

腸重積の原因

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特定できないことが多いですが、ウイルス感染が引き金になっていると言われるものもあります。

子どもはウイルスに感染するとリンパ節の腫れを起こしやすく、腫れた腸管膜や腸壁のリンパ節に押されて、腸重積を起こすのです。

ウイルス感染の場合

原因となるウイルスは、アデノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルスなどが主なものです。

従って胃腸炎の多い冬、夏風邪の流行る夏に多く見られます。

いわゆる「おなかの風邪(胃腸炎)」を起こした場合は、より注意が必要です。

腸に元々異常がある場合

腸内にポリープが出来ていたり、先天的に腸に憩室を持っている場合もあります。

胎児のときに小腸とへその緒をつないでいた場所にメッケル憩室というくぼみができ、これが原因で腸重積が起きる場合があります。4、5歳などやや大きめの年齢の子どもが多いです。

治療法

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手術をしない場合

肛門から空気や炭酸ガス、バリウム、またガストログラフィンという消化器専用の造影剤や生理食塩水を圧力をかけながら入れます(浣腸)。これは放射線で造影しながら透視下で行います。

なお、重症の場合は、バリウムが腸から漏れ出し、合併症(腹膜炎)を起こす可能性もあるため、ガストログラフィンや生理食塩水を使うケースが増えています。麻酔はしません。

1回でうまくいかない場合、数回繰り返し、この治療法を行うことがあります。

いずれにせよ、経過観察のため1泊は入院するケースが多いです。

8割程度はこの方法で治りますが、2割程度は手術が必要になります。

手術が必要な場合

手術が必要なケースは、腸がかなり入り組んでおり、いくら空気を通しても腸が元に戻りづらい場合や、腸から出血している場合、また腸が壊死している場合です。新生児でも行います。

腸を引っ張り出すか、切除するなどの処置を行い、入院期間は一般的に10日から2〜3週間程度です。

手術を行わない場合の再発は1割程度、手術を行った場合はやや低くなります。

最近では腹腔鏡手術が多く行われ、手術を怖がる子どもには効果があり、体への負担も少なく入院期間も(1週間〜10日程度)やや短くて済みます。手術時間は開腹手術に比べ、やや長めになります。

また手術時間や入院日数も、病状により異なります。
   

合併症について

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腸が破れたり、壊死した場合は、そこから腸の内容物が出て、腹膜(おなかの空きスペース)にまき散らされ、細菌が感染して腹膜炎を起こし、死に至る危険性がとても高くなります。

症状が出てから1日で腸が壊死することもありますので、早目の診断が大切です。
    
再発が1割程度と多く見られますが、幼児期を過ぎると殆ど起きなくなります。

4歳以上の患者はまれと言われています。 

診断方法

触診

塊があったり、患部を押すとより痛がったりします。

エコー

エコーは、現在最も確かな診断法とされ、ほぼ100%エコーで診断がつきます。

レントゲン

肛門から空気を入れながら行うことが多く、診断=治療となることも多いです。

採血検査

腸重積が悪化している場合や、何か別の病気が引き金になっている可能性を調べるため、採血検査をすることもあります。

腸重積の予防法

積極的にできる方法の一つとして、ロタウイルス感染を防ぐための予防接種を受けることがあります。

ただし、この予防接種自体が腸重積の原因になるとも言われ、接種後1週間は特に注意、1か月は意識しておくようにしましょう。

異常が見られたとき(腸重積と似たような症状が見られたとき)は、12時間以内に病院に行くのが望ましいです。
   
予防接種には、ロタリックスとロタテックの2種類あります。

ロタリックスはロタウイルスの中の1つの型にのみ対応、ロタテックは5つの型に対応しますが、実際の効果は、どちらを選んでも殆ど差はありません。

大抵、一つの医療機関では片一方のみを採用していますので、医師と相談してみるといいでしょう。

ロタリックス(2回接種)

開始時期〜生後6週〜14週から開始、4週は間をあけること、24週までに済ませるのが望ましい。

1回につき概ね15,000円程度

ロタテック(3回接種)

開始時期〜生後6週〜14週から開始、4週間は間をあけること、32週までに済ませるのが望ましい。

1回につき、10,000円程度。

またアデノウイルスは夏に多く見られるプール熱と呼ばれるもので、咽頭炎、結膜炎、胃腸炎と多彩な症状が出ます。

プール熱やノロウイルス、ロタウイルスにかかったあとは、腸重積の可能性も頭に入れておきましょう。

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大人・成人の症状について

3歳以上の人が腸重積にかかる割合は1割以下とかなり稀なケースです。

症状は、子どもと同じく、腹痛、嘔吐、血便です。また腸の動きに合わせて痛みが来るため、やはりやや波があります。ただし個人によりかなりばらつきがあります。

他の病気が元で腸重積が起きていることも多く、他の病気の症状も同時に出てしまうことがあります。

やはり24時間以内に医療機関にかかることが大事です。

症状の特徴

子どものように特定のかかりやすい場所がありません。また原因がポリープや腫瘍であることが多く、ガンの危険性もあります。

ただし、子ども同様に、ウイルス感染というケースもあります。

診断

触診、エコー診断、レントゲンなどによって検査します。

レントゲンによる画像診断は、前述のとおり肛門から空気や造影剤を注入して腸の様子を見ながら行います。

また、大人の場合、何か別の病気(ポリープやガンなど)が原因で起きる可能性もあるため、血液検査なども行うことがあります。

治療

大人の腸重積は、多くの場合、腸にポリープが出来ているなど、器質性の異常が原因であることが多く、原因になっているポリープの切除などをするため、手術になることが多いです。

入院期間は、原因となる病気により異なりますが、腸重積だけの場合1時間程度のケースが多いようです。

子ども同様、肛門から空気などを入れる浣腸方式だけで治る場合もあります。

備考

腸重積はしばしば絞扼性イレウスと呼ばれることもあります。

イレウスとは腸閉塞ともいい、腸が詰まってしまうことで、絞扼性イレウスは、腸がねじれたことで起こるイレウスという意味です。

ねじれた状態が、腸に挟まれた状態であるときには、絞扼性イレウスといって、これが腸重積となります。

以上、かみ砕いて説明をしましたが、腸重積は診断から治療方法まで、詳細な事項が記載されたガイドラインなども出ています。

このガイドラインには、代表的な症状や、また重症と診断する基準、望ましい治療法などが細く記述されています。

エビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン 監修:日本小児救急医学会

看護師からひとこと

腸重積は、まだ言葉を発することのできない月齢のお子さんで起こることが多い病気です。ですから、周囲の大人が早期に気づき、医療機関にかけこめるかで予後が変わります。

ただ機嫌が悪い、ミルクを飲まないくらいではわからないと思いますが、嘔吐と血便が出たら緊急事態です。

また、受診の際には、その血便のついたオムツを持って行くとよいでしょう。中には排便時の出血がそのように見えただけのこともありますので。

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まとめ

  1. 腸重積とは絞扼性イレウスと同じもので、主に1歳未満に多く見られ、4歳以上には稀な病気です。男子の方がやや数が多いです。
  2. ポリープやメッケル憩室が原因の場合は、4,5歳児にも見られます。
  3. 症状は波のある不機嫌さと腹痛、嘔吐、ゼリー状の血便の3つが大きな特徴です。
  4. 3大症状が見られたら、早目に病院に行くこと、命に関わる病気です。
  5. 診断方法はエコーでほぼ確実に解ります。
  6. 治療方法は肛門から空気や造影剤を入れて腸の重なりを改善する方法と、手術で改善する方法があります。
  7. 症状が進んでいる場合には、腸を摘出する可能性もあります。
  8. 再発が1割程度に見られます。手術をした場合はやや再発率が下がります。
  9. 原因の1つとして、ロタウイルス、アデノウイルスがあります。予防接種を受けるなど、これらの病気予防やかかった後の経過観察が大事です。
  10. 大人にもわずかですがみられる病気です。子どもと違い原因がポリープやガンであることがあります。

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