嘔吐・下痢の対応、家族への感染予防法を看護師がアドバイスします!
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更新日:2017年11月21日
目次
感染性胃腸炎の家族感染を予防するには?
子どもの嘔吐や下痢、急に始まります。
大人と違ってトイレに行って吐いてくれるのではなく、突然噴水のように吐いて発症することが多いので、びっくりするお母さんも多いですね。
嘔吐や下痢の多くは感染性胃腸炎によるもので、1人がかかると家族中がうつってしまうことがあります。
今回は、子どもが感染胃腸炎による嘔吐や下痢を発症した場合、家庭でどのように感染対策をとったらよいのかご紹介します。
感染性胃腸炎の基本対応は「脱水予防」と「感染予防」
感染性胃腸炎の対応は、次の二つが基本です。
- 発症した子どもの対策は「脱水対策」
- 家族のためには「感染対策」
細菌やウイルスを出すとともに「脱水対策」をしっかりと!
感染性胃腸炎にかかると、嘔吐や下痢を起こします。(どちらかだけのこともあります。)
これは、身体から細菌やウイルスを出すための自然な反応です。
ひどい時には、トイレで下痢便を出しながら嘔吐することもあります。嘔吐も下痢も、たくさん出したらその分回復に向かうので、どんどん出しましょう。
ただし、ここで大切なことは、「出した分だけ水分を摂ること」です。
下痢や嘔吐の際には、身体から大量の水分、ナトリウムを始めとした電解質が失われます。水分と電解質を補充することなく出し続けてしまったら、身体から原因となる細菌やウイルスは減りますが、今度は脱水を起こしてしまいます。
下痢・嘔吐の関することや、脱水対策については以下の関連記事をご覧ください。
家族に感染しないように、しっかりと対策をとること
お世話をするお母さんを始め、兄弟や家族が二次感染を起こさないための感染予防も必要です。
子どもの中でしか流行らない感染性の熱は、両親にうつらないものもありますが、感染性胃腸炎は老若男女問わず、簡単にうつります。
子どもが保育園や幼稚園からもらってきて発症し、その後、家族全員が順番に発症することもあります。特に乳幼児は嘔吐と下痢による脱水に弱いので、重症化して入院となってしまうこともあります。
お母さんやお父さんが感染して、ひどい脱水症状を起こしてしまうと、子どもの世話をできなくなってしまいます。
家族が感染しないよう、自宅での感染対策が重要なのです。
「うがい」と「手洗い」が最も重要な感染対策
感染性胃腸炎を予防するための一番の感染対策は、細菌やウイルスを家の中に持ち込まないことです。
その方法は、うがいと手洗いに尽きます。
仮に保育園や幼稚園、学校で感染性胃腸炎が流行っていても、帰宅後のうがいと手洗いをしっかり行えば、自宅内でまん延する可能性を減らすことができます。
うがいと手洗いで「口」と「鼻」から入った細菌やウイルスを外へ出す
胃腸炎の原因となる細菌やウイルスは、「口」から感染することが最も多いのです。
手についた目に見えない細菌やウイルスが、食事の際などに食べ物に付着して、身体の中に入ってしまうのです。
次に多いのが鼻です。鼻からも細菌やウイルスは入ります。鼻水や鼻から入った空気はのどに流れ、体内に入ってきます。
口の中に微量の細菌やウイルスが入り込んでも、うがいで外に出すことができるのです。
手洗いやうがいは一番簡単で一番効果のある感染対策なのです。
兄弟はできるだけ隔離、少なくともトイレの前後は近寄らない
手洗い・うがいは、最も効果のある感染対策ですが、子どもに徹底させることはとても難しいことです。また、手洗い・うがいをしていても、感染を完全に止めることも難しいと言えます。
結局、子どものうち1人が胃腸炎を発症することで、共有スペースに細菌やウイルスが付着してしまい、家族中が感染するといったことも起こりえます。
この場合、感染していない元気な子どもを隔離することが大切です。同じ家の中で隔離というのは難しいので、祖父母宅に預けられるといいですね。
預けられる親が近くにいないという人は、できる限りの隔離をするようにしましょう。
もし一戸建ての家庭でトイレが1階と2階にあるなら、どちらかを感染した子ども用、どちらかをその他の元気な家族用と分けるのも有効です。
また、嘔吐した直後は、その室内は空気中にウイルスが浮遊していますので、その場にいるだけで感染する可能性があります。こういったときには兄弟は別の部屋に行くこと、その部屋の掃除と換気が終わるまでは、近づけないことが大切です。
感染した子どもには多くの場所を触らせない
感染した子どもが触る場所を減らすことも重要です。
例えば、トイレではお母さんがドアを開けて、トイレットペーパーを取り、洗浄ボタンやレバーを触るようにするといいでしょう。
手を洗うときも、お母さんが蛇口をひねって、石鹸を出してあげましょう。石鹸はポンプから出てくるタイプのものが望ましいですね。
子どもが家中を触ってしまう前に、まず子どもの手をしっかり洗いましょう。そして、タオルは他の家族が使わないよう、別にします。
その後で、お母さんはトイレや洗面所などの掃除をします。
食器の共有にも注意する
気をつけたいのが食器です。飲みかけのコップに入ったお茶を他の子どもが使うことで、コップを介して感染することがあります。嘔吐・下痢した子どもの食器は、他の子ども・家族では共有しないことです。
もちろん、同じお皿やコップであっても、しっかり洗浄したあとなら問題ありません。
家族で一番気をつけて欲しいのはお母さんです!
子どもが体調を崩した場合、近くで一番お世話をしてあげるのは、たいていお母さんですね。
子どもが嘔吐をするときには、トイレまで待てずにその場で噴水のように吐き出すことがあります。急に吐き出すとついつい手で受けてしまうし、素手でお世話してしまいます。
ですから、二次感染を一番起こしやすいのは、兄弟よりもお世話をするお母さんです。
お母さんが家事全般を行っていることが多いですから、感染すると他の家族への影響が大きいといえます。
特に食事の用意をしていると、食べものや食器に細菌やウイルスが付着しやすくなりますので、それを食べた家族全員が同時に感染してしまう・・・。そんなこともあります。
調理するときには念入りに手洗いをしたり、素手で子どものお世話をしてしまったら、手を洗うまでは首から上を触らないようにするなど、二次感染に気をつけなければいけません。
消毒はキッチン泡ハイターが便利!
トイレや洗面所を使った後や、室内で嘔吐してしまった場合には、どのように消毒したらよいでしょうか?
胃腸炎の原因となる細菌・ウイルスは数えきれないほどあるのですが、その中でノロウイルスやロタウイルスは強力でアルコール消毒が効きません。これらに合わせた対策をしておけば万全です。
ノロウイルスやロタウイルスには次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。
次亜塩素酸ナトリウム・・・って、何?と思うかもしれませんね。でも、キッチンハイターといえば、聞いたことがあるのではないでしょうか。
キッチンハイターは次亜塩素酸ナトリウムを含んでいます。嘔吐下痢の時には、家庭にもあるキッチンハイターが一番です。
ただし、液体のキッチンハイターは濃度が濃いため、そのまま使うことができません。トイレを使うたびに希釈して・・・なんてしている間に感染してしまいます。
そこで便利なのが、キッチン泡ハイターなどの泡状になった次亜塩素酸ナトリウムです。
注意して欲しいのは、次亜塩素酸は金属部分に使用すると腐食(錆びる)することです。一度拭き取ったあとで、水拭きをしましょう。
トイレの消毒方法
トイレで嘔吐や下痢をしたときに消毒するのは、トイレに入ってから出るまでに触った場所です。
- トイレのドアノブ
- トイレットペーパーのホルダー
- 水を流すボタン・レバー
- トイレの便座
- 洗面所の水道の蛇口
また、トイレの都度拭きとりが必要になりますので、便座カバーやペーパーホルダーは取り外しておくことをお勧めします。
具体的な消毒方法・注意点
トイレの中にキッチン泡ハイターなどを置いておきます。(洗面所などに置いておくと、取りに行く過程でいろいろなところに触ってしまいますので、触る場所は最低限にします。)
そして、消毒する際にはマスクと使い捨て手袋を使用します。
トイレの後には、便座やドアノブ・ペーパーホルダー・洗浄レバーなど、拭けるところは全てトイレットペーパーで拭いていきます。
拭き取ったペーパーはトイレに流しきってしまいます。(ペーパーからウイルスが巻き上がらないように気をつけます。)
消毒後は換気扇を回し、窓があれば窓を開けて換気します。最後にうがいと手洗いをしっかりします。
手袋とマスクの予防効果は高いのですが、充分とは言えません。これらのアイテムを使っていた場合も、最後には必ず基本のうがいと手洗いをしましょう。洗いすぎかな、と思うくらいがちょうどいいと思ってください。
吐物で汚れてしまった服やカーペットの処理方法
布製品はバケツで次亜塩素酸ナトリウムに付け置きをして、それから洗濯しましょう。これはトイレの消毒に使う泡状のものよりも、液体のキッチンハイターの方が便利です。
色柄ものでどうしてもハイターしたくない衣類は、手洗いのあと煮沸するとよいのですが、煮沸をするには鍋やコンロといった食事に関するものを使用しますので、注意してください。
トイレ以外で嘔吐した場合にやっかいなのが、カーペットです。カーペットを拭き取る際、空気中にウイルスが舞い上がります。お母さんが感染しやすいのは、掃除のときに舞い上がる空気中のウイルスによります。
もしカーペットが汚れてしまったら、一番よいのは捨てることです。それが難しい場合は、下洗いの後で次亜塩素酸に付け置きをして洗濯しましょう。洗濯までの間は、ごみ袋に入れて密閉しておきましょう。
できればカーペットを汚さないようにエチケットボックスを!
カーペットや布団で嘔吐されると後が大変ですね。
吐き気を催したときにすぐに使える、エチケット袋ならぬエチケットボックスを用意しておくと便利です。
小さ目の洗面器やゴミ箱や空の牛乳パックがあれば、これらにスーパーのビニール袋をかぶせて、中にティッシュペーパーやトイレットペーパーを敷いておきます。
嘔吐した後は、口を拭いたぺーパーも含め、その中に入れます。そして、ビニールの口をしっかり閉めて、そのまま捨てましょう。こうすることで、空気中にウイルスを巻き散らすことなく、処理することができます。
消毒に関する詳しいことは、下記の厚労省ホームページを参照してください。
いざという時のために用意しておきたいアイテム
感染性胃腸炎は冬場のイメージがありますが、様々なウイルスがあり年中流行します。
嘔吐・下痢している子どもを抱えてドラッグストアに買いに走るということは、いざとなると難しいですね。対処に必要な物が用意してあれば、夜間でも安心です。
特に幼稚園や保育園などに通う小さい子どもさんのいる家庭では、以下のアイテムをそろえておくことをお勧めします。
ドラッグストアでそろうもの
- 経口補水液・経口補水ゼリー(脱水予防に)
- キッチンハイター(付け置き用)
キッチンハイター キッチン用漂白剤 大 ボトル(1500ml)【ハイター】posted with カエレバ
- キッチン泡ハイター(拭き消毒用)
100均でそろうもの
- 使い捨てグローブ
- 使い捨てマスク
- 蓋つきのバケツ(付け置き用)
- 小さいバケツ、もしくは小さい洗面器(嘔吐時に受ける用)
急に嘔吐した場合には、マスクや手袋をする余裕なんてありませんが、一度手を洗った後でこれらのアイテムを使って掃除をすると、感染のリスクを抑えることができます。
まとめ
感染性胃腸炎は、発熱時よりも子どものお世話に掃除(消毒)が加わるので大変です。
お母さんは、家族の生活の柱です。お母さんは誰よりも、うがい・手洗いを始め二次感染予防に注意しましょう。
そして、1人が胃腸炎にかかっても家族内でうつすことのないように、感染対策をしっかりとりましょう。