熱中症とは?そのサインや症状、原因をきちんと把握しておきましょう。

熱中症は毎年大勢の人が発症しています。症状を自覚しづらいので、特に子どもさんについては、親御さんが積極的に気を配ってあげる必要があります。高齢者や幼児だけでなく、気温が高い日や激しい運動をした時には誰でも発症する可能性があります。熱中症の原因や症状についてまとめていますので、参考にしてください。

  [その他, 熱中症]

更新日:2017年07月12日

この記事について

監修:大見貴秀医師

執筆:当サイト編集部

熱中症とは

熱中症とは、暑い環境の中で身体が適応できないことで起こる症状の総称です。屋内・屋外を問わずに、高温・多湿等が原因となって起こります。日射病とは違い、室内でも発症するケースが多く、毎年大勢の方が発症します。

人間は環境によって体温が変化するカエルなどの変温動物と異なり、36度〜37度程度の体温を保つように体温を調節している恒温動物です。

暑い時には、自律神経を介して末梢血管が拡張して、熱を外に放出することにより体温を低下させることができます。また、汗を多くかけば「汗の蒸発」に伴って熱が奪われ体温が低下します。

このように、体温調節においては血液の分布が変化したり、汗によって身体から水分や塩分が失われたりするなど、さまざまな変化が体におこりますが、この状態に対して身体が対応できないと、嘔吐や痙攣、場合によっては意識レベルの低下をきたし命に危険が及びます。

熱中症の怖さや予防法などを認識されている方もいると思いますが、様々な情報がある中で、何が正しい予防法なのか戸惑う人もいらっしゃいます。

熱中症の症状は一様ではなく、症状が重くなると生命へ危険が及びます。しかし、原因を知っていれば、熱中症を防ぐこともできます。ここでは、熱中症の原因や症状を中心に説明していきます。

スポンサードリンク

熱中症の原因

体内で熱が発生すると血液の温度も上がります。熱くなった血液が身体の表面の皮膚を通ることによって、その熱が対外に放出され、血液の温度が下がり、体内は徐々に冷えていくことになります。

熱を持っている人の皮膚が赤く見えるのは、皮膚直下の血管が拡張してたくさんの血液をそこで冷やしているからです。

また、汗をかくことで体内の熱を下げることになりますが、同時に体内の水分量が減少します。これらの作用が続くことによって、しだいに熱を運び出す血液そのものが減少し、効率よく熱を体外へ捨てられなくなってしまいます。

熱いままの血液が体内へ戻ると体がうまく冷えなくなり、体から水分が減少して筋肉や脳、肝臓、腎臓などに十分血液が行き渡らなくなると、筋肉がこむら返りを起こしたり、意識が薄れてきたり、肝臓や腎臓の機能が低下したりします。

こういった症状が生じる要因として、次のようなことがあげられます。

環境による要因

熱中症とは

  • 気温が高い日
  • 湿度が高い日(温度がそれほど高くなくても多湿であれば起こりやすい。汗による蒸散ができず、体内の熱を発散できなくなるため)。
  • 風が弱い
  • 日差しが強い
  • 閉め切った室内
  • エアコンがない
  • 前日より急に気温が高くなった日
  • 熱波の襲来

身体的な要因

  • 高齢者、5歳以下の幼児
  • 肥満の人
  • 糖尿病、心臓病、精神疾患などがある人
  • 低栄養状態の人
  • 脱水状態(下痢など)などの人
  • 発熱のある人
  • 体調不良(二日酔い、寝不足など)の人

行動による要因

サッカー

  • 激しい運動
  • 涼しい室内で作業をしている人が、急に外に出て作業した場合(暑さに慣れていないため)
  • 水分補給がしにくい
  • 長時間にわたる屋外でのスポーツや行動、屋内でも防具や厚手の衣服を着けた行動

統計的に熱中症にかかりやすい時間帯は、午前中では10時頃、午後では1時から2時頃であり、梅雨明け後の時期に多くの発症がみられます。学校の部活動では野球、サッカー、テニスが多いとされています。

急に暑くなったり、いつもは冷房のある部屋にいるのに急に長時間外出したりという場合にも、熱中症は起こりやすくなります。

また、汗をかく能力が低下していると熱中症を起こしやすくなりますので、汗をかく能力を高めることや、暑さに慣れることが必要です。

激しい運動をする場合には、それだけ熱が多く発生するので注意が必要です。急に暑くなった日はいつもより運動量を減らしたり、暑い日には短時間の軽い運動をしたりするなどの配慮をしてください。暑さへの慣れは、人それぞれですので、次の人は特に注意してください。

  • 体力の低い人
  • 持久力のない人(循環機能が低い)
  • 肥満の人(熱の発生が大きくなる)

スポンサードリンク

熱中症の症状・サイン

熱中症の症状・サインとして、次のようなものがあります。

  • 口や鼻の中が乾いている
  • 舌が白くおおわれている
  • おしっこが出ていない
  • 目が落ちくぼんでいる
  • 皮膚に弾力性がなくカサカサしている
  • 舌が赤黒くデコボコしている
  • 手などの末端が冷たい
  • 汗をかかなくなる
  • 元気がなくなる
  • ふらふらしている
  • 顔色が赤く(青く)なる

乳幼児の場合、おしっこが出ていないとオムツを替える回数が極端に減るので、そうした徴候に気づくように注意しましょう。

症状と分類

熱中症の症状を分類した場合、次のようになります。(分類は環境省の分類によります。Ⅰ度からⅢ度にかけて重症度が上がっていきます。)

分類 Ⅰ度(軽度)

  • めまい・失神・立ちくらみの状態
    皮膚血管の拡張で血圧が低下し、脳への血流が瞬間的に不充分になる状態で、「熱失神」と呼ぶこともあります。顔色も悪くなり、脈拍が速くなったり、弱くなったりすることもあります。
  • 筋肉痛・筋肉の硬直(熱けいれんなどの状態も含む)
    筋肉の「こむら返り」のことで、痛みを伴います。発汗による塩分(ナトリウムなど)の欠乏により生じます。
  • 手足のしびれ・気分の不快

分類 Ⅱ度(中度)

  • 頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
    体がぐったりする、力が入らないなどがあり、「いつもと様子が違う」といったごく軽い意識障害を生じることがあります。

分類 Ⅲ度(重度)

Ⅱ度(中度)の症状に加え、以下のものがあります。

  • 意識障害・けいれん・手足の運動障害
    呼びかけや刺激への反応がおかしい、体にガクガクとひきつけがある(全身のけいれん)、真直ぐ走れない・歩けないなど。
  • 高体温
    体に触ると熱いという感触です。
  • 肝機能異常、腎機能障害、血液凝固障害
    これらは、医療機関での採血により判明します。

看護師からひとこと

熱中症は起こしてからの対策も大切ですが、それ以前に熱中症に至らないようにすることです。正しい知識を持って、正しい熱中症対策をとりましょう。

参考リンク

  • 環境省熱中症予防情報サイト … その日の熱中症のかかりやすさ、暑さの指数を表示してくれていますので、出かける前にチェックするといいでしょう。
熱中症に関するQ&Aが寄せられていますので、こちらも参考にしてください。

スポンサードリンク

このページの先頭へ