子どもの目の病気は多い!原因や症状、治療法をまとめました。
更新日:2017年10月19日
代表的な子どもの目の病気
目の病気は子ども自身も異変に気付きにくく、何も訴えないことも多くあります。何か異変を感じたら早めに小児科や眼科に受診することが大切です。
子どもに比較的多くみられる以下の病気についてそれぞれ説明していきます。
- ものもらい(麦粒腫)
- 逆さまつげ(内反症)
- 結膜炎(プール熱(咽頭結膜熱)、はやり目(流行性角結膜炎))
- 鼻涙管閉塞
- ストレス
- けが
ものもらい(麦粒腫)
ものもらいは正式名を麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と言います。まぶたに出来る細菌性の化膿性の炎症です。
症状
ものもらいの症状は、まぶたの一部が赤くなり(発赤)・腫れ(腫脹)がみられます。腫れと一緒に痛みを伴うことも多いです。
原因
ほとんどが細菌感染で、ブドウ球菌によるものが多いです。まぶたにある汗や皮脂が分泌される毛穴に細菌が付着して感染を起こします。
治療
抗生物質を点眼します。同時に抗生物質を内服する場合もあります。痛みが強い場合は清潔なタオルなどで冷やして痛みを和らげます。
膿が多く抗生剤だけでは改善しない場合は、ものもらいが出来ている部分を切開し膿を出します。
ものもらいは他人に移ることはないので、他人への感染は気にしなくて大丈夫です。ただし症状を悪化させないためにも、目の周りは清潔に保つようにしましょう。汚れた手で触ったり、目を擦ったりすることは避けるようにして下さい。コンタクトは使用せず、眼鏡で過ごす方が良いでしょう。
逆さまつ毛(内反症)
逆さまつ毛も子どもに多くみられます。逆さまつげは正式名称を「内反症」と言い、乳幼児に特に多いです。まつ毛が逆さであること自体が問題ではなく、そのまつ毛が目に中に入り目(角膜・結膜など)を傷付けたり、細菌感染を起こしたりします。こうして、目に対して症状がでてしまうのものを「眼瞼内反」(がんけんないはん)といいます。
症状
まつ毛が目に中に入ることにより、充血、眼脂(めやに)、流涙、異物感などの症状がみられます。また、痒がって目をこすってしまい悪化する場合もあります。
まつ毛により角膜(眼球)に傷が付くと、視力が低下したり、光を眩しく感じたりすると言った症状が出ることもあります。
原因
乳幼児は、まぶたに脂肪が多いことや目の周りの筋力が弱いことが理由で逆さまつ毛になりやすいです。赤ちゃんの場合は更にまぶたも柔らかいため余計に逆さまつ毛になりやすいと言われています。
治療
乳幼児の場合、自然に治ることもあるので6歳くらいまでは様子をみることも多いです。その後成長しても改善がみられず、生活に支障をきたしている場合は手術が必要になります。
手術は形成外科で行います。手術の内容は様々ありますが、子どもの場合は二重手術と同じような手術を行うことが多いです。手術は局所麻酔が使える6歳頃からが適応の目安ですが、炎症を頻回に起こす場合など症状が重症の場合は幼児でも全身麻酔で手術することがあります。
結膜炎(プール熱(咽頭結膜熱)、はやり目(流行性角結膜炎))
結膜とは、まぶたの内面と白目の前面を覆っている薄い透明な膜のことです。結膜炎とは名前のとおり結膜で炎症を起こったものを言います。
結膜炎には細菌やウイルスによる感染や、アレルギーなどによって起こるものがあります。代表的なもの夏に流行しやすいプール熱(咽頭結膜熱)や、はやり目(流行性角結膜炎)などがあります。
症状
結膜炎は、充血やまぶたの腫れが起きてきます。また、眼脂(めやに)、充血、流涙(なみだが出る)も見られ、目に何か入っているような異物感を感じます。また、リンパが腫れたり、感染性のものだと熱が出たりすることもあります。
ウイルス性の場合、悪化すると細菌感染を起こすことがあり、場合によっては視力障害を生じることもありますので、早めの医療機関への受診が必要です。
また、咽頭結膜熱(プール熱)では上記の症状に加え、発熱や喉の炎症(咽頭炎)が起こり、咳、眼の痛み、頭痛、食欲不振、下痢など全身症状を一緒に伴うことが多くなります。
はやり目(流行性角結膜炎)では、熱はそれ程出ませんが、目が開けないほどまでに、真っ赤に腫れあがります。初期症状として、さらさらした目やにがでたり、
目がまぶしくて見えにくいです。目以外に耳前リンパ節が腫れてきたりします。プール熱よりも感染力が強いです。
原因
ウイルス性のものは「アデノウイルス」などのウイルスが原因で起こります。細菌性のものであれば、常在菌といって身の回りにある細菌によって炎症が生じます。
ウイルス性のものは、他人にうつることがあります。感染は接触感染が主なもので、特に咽頭結膜熱は「プール熱」とも呼ばれるようにプールの水を介して感染することが多くなります。プール以外では飛沫感染(咳やくしゃみなどによって感染)が主な感染の原因になります。
ウイルス性のものは感染力が強いため、感染してしまった場合はうつさないようにすること、周囲の人が感染している場合は予防することが非常に重要です。
細菌性のものは常在菌が原因となるものであり、基本的に他人への感染はしません(高齢者や乳児など免疫や体力の弱いひとには感染することもあります。)。アレルギー性の場合は、花粉やダニなどに対するアレルギーとなり、目が充血したり、かゆみが出たりします。アレルギーについても、その元となるものに近づかないようにすることが重要です。
治療
細菌性の場合は抗生物質などによって治療を行なっていきます。ウイルス性のものについても、さらなる細菌感染が発生しないよう、抗生物質などを使用して、炎症を抑えたり、二次感染を予防したりします。また、発熱がある場合は解熱剤を一緒に服用します。
アレルギー性のものについては、抗アレルギー薬やステロイドなどの目薬によって、かゆみや炎症を取り除いていきます。
合併症
結膜炎や咽頭結膜熱の治療をして症状が落ち着いて来た頃に、黒目の表面の部分に小さな点状の濁りが出ることがあります。この段階で治療を中止してしまうと視力が低下する場合があります。
また結膜炎の症状が強かった場合は、ドライアイや結膜に炎症の痕が残ることがあり治療が必要になります。いずれにしても合併症を最小限に防ぐため、点眼は自己判断で中止せず医師の指示に従うようにします。
プール熱(咽頭結膜熱)
鼻涙管閉塞(びるいかんへいそく)
鼻涙管閉塞とは、鼻涙管(びるいかん)と呼ばれる目から鼻にかけて涙が通る道があるのですが、ここが狭くなりことにより、涙が排出・吸収されず、涙や目やにが出ている状態を言います。子どもの場合赤ちゃんに多くみられる病気の1つです。赤ちゃんの場合はほとんどが先天的なものが原因です。
症状
流涙(涙が流れる)と眼脂(めやに)が主な症状となります。特に冬などの寒い日や風の強い日は症状が著しくなります。眼脂が多く、目が開きにくいこともあります。また、赤ちゃんは普段泣いていることも多いため、症状に気付くことが遅くなりがちです。
原因
後天的なものの原因として畜膿などの鼻の病気や鼻の手術、クラミジアによる結膜炎の悪化などがあげられます。しかし、赤ちゃんの場合は先天的な原因がほとんどで、鼻涙管の形成に異常があることが原因となります。
治療
治療では、鼻涙管に管を通して拡張し、涙の通り道を作ってあげます。これをブジ―と言いますが、1回のブジ―では治癒しない場合もあり何度かブジ―を繰り返す場合もあります。治療により病状が改善すると流涙や眼脂は著しく改善します。
鼻涙管閉塞の治療は1歳を過ぎると本人の精神的ストレスも大きくなり、治療に抵抗することも増え手技が困難になる場合があります。そのため出来る限り1歳未満で治療することが勧められています。治療効果も1歳未満で行う方が、治癒が早いとされています。
合併症
鼻涙管閉塞では眼脂(めやに)が多くみられるため、そこから細菌が感染して結膜炎を伴うことがあります。結膜炎を起こすと抗生剤の点眼などで治療しなければいけません。鼻涙管閉塞が治らないと結膜炎も繰り返して起こしてしまうため、視力低下などの原因にも繋がります。
ストレス
ストレスで目に症状が出現することがあります。視力障害を訴える場合が多いです。しかしストレスが原因の場合、検査では異常がみられなかったり、様々な検査結果に矛盾を生じたりすることが多くあります。(学校の健診では視力が悪いが、病院では視力に問題がみられないなど)
原因
原因として子どもを取り巻く環境の中で何らかのストレスが掛かっていることがあり、そのストレスに対して上手く対応出来なくなると視力など目の機能に影響を及ぼしてきます。そのストレスの原因は追究して分かる場合もありますが、はっきりと分からない場合もあり、さらには複数のストレスが要因となっている場合もあります。
症状
8歳~11歳くらいの子どもに多くみられ、男児よりも女児に多くみられる傾向があります。また、本人が視力低下などの症状を自覚していることもありますが、本人も気付かず学校の健診などで指摘されることが多くあります。
治療
治療としては子どもの話にしっかり耳を傾け、一緒にストレスの対処法を見つけることが重要になります。必要な場合は精神科医や心理カウンセラーと連携することも必要です。ただし、本当に原因がストレスであることを決めつけるのは非常に難しいため身体的なものなのか、精神的なものなのか治療中も常に症状に注意することが大切です。
けが
子どもは目に外傷を負う場合も多くみられます。しかし外傷の発症状況がハッキリしない場合も多く、発見が遅れて視力障害など目の機能障害を残してしまうこともあります。外傷の種類としては、眼底出血、網膜剥離、角膜損傷、網膜出血などがあります。
原因
原因としては、乳児の場合は出産時の損傷や虐待などがあげられ、幼児になるとおもちゃやはさみ、フォークなどによる損傷、転倒なども理由として考えられてきます。小学生以降になるとスポーツによる外傷も増えてきます。子どもの発達と共に原因も多種多様となります。
また転倒や打撲などで一見外傷がみられない場合でも、視力の急激な低下が認められる場合は視神経を損傷している可能性があり、ものが二重に見える(複視)などの症状がある場合は眼窩底骨折も疑われます。外傷がない場合でも転倒して目を強く打った場合は注意して観察し、目の見え方がおかしくないかを確認することが必要になります。
治療
外傷の治療は保存的に様子をみる場合もありますが、必要な場合は手術が必要になる場合もあり、外傷の状況によって治療方針を決めていきます。
これらの他にも子どもの目の病気には、様々なものがあります。目はデリケートな器官であり、処置が遅れると重篤な後遺症を残す場合があり、さらに視力を失うと日常生活に大きく支障をきたします。何か異変を感じたり、子どもが訴えてきたりした場合は早めに病院に受診するようにして下さい。
看護師からのアドバイス
子どもは症状を正しく伝えることができません。子どもに症状を確認するということではなく、お子さんの状態を見てあげることが大切です。
もしお子さんが目を擦る・充血している・涙が出る・眼脂(めやに)が出るといった症状が出たら、早めに眼科を受診しましょう。