突発性発疹の原因や症状、登園の目安、家庭での留意点など
更新日:2017年07月18日
目次
突発性発疹とは
突発性発疹とは、乳児期に多く発症する急性のウイルス感染症です。2歳未満に感染することがほとんどで、特に生後6か月〜1歳くらいまでに感染することが多くなります。
生後早いうちに感染することが多いため、突発性発疹による発熱が生後初めての発熱という例も多くあります。季節を問わず感染しますが、麻疹(はしか)や水疱瘡のように幼稚園や保育園、学校などの集団生活を通して感染することが問題になることは多くはありません。
高熱を伴いますが、通常は自然軽度の症状で治まるため、過度に心配する病気ではありませんが、ときに合併症を引き起こすこともあるため注意が必要となります。
突発性発疹の原因・感染
突発性発疹の原因となるウイルスは「ヒトヘルペスウイルス6型」または「ヒトヘルペスウイルス7型」です。
感染経路は「ヒトヘルペスウイルス6型」または「ヒトヘルペスウイルス7型」の抗体を持った成人(主に父親や母親)の唾液中のウイルスから感染すると考えられています。
通常、生後6か月頃までは、母親から得た免疫によって、ウイルスに感染しにくい状態となりますが、それを過ぎると母親からの免疫による効果は消えていきます。
そのため、その後はウイルスに感染しやすくなっていきます。突発性発疹は両親の唾液から感染しやすいといわれていますので、この効果がなくなってから、すぐに感染することが多いようです。
また、突発性発疹は一度感染すれば、抗体を得ることができるため、その後は感染しなくなりますが、2つのタイプがありますので、2回かかるお子さんもいます。
突発性発疹の潜伏期間、症状
ウイルスに感染してから、10日〜14日程度は潜伏期間となり、その後、突然、39〜40度くらいの発熱があります。
高熱は3〜4日程度継続します。発熱している間は軽い咳や下痢、嘔吐、まぶたのむくみを伴うことがあります。
また、食欲はあまり減退しないのですが、場合によっては、夜泣きなど、泣き止まないことが多くなることがあります。高熱のわりに元気であるというのが特徴です。
高熱が続くと脱水状態になることがありますので、母乳やミルクなどで水分補給をするように意識しましょう。
高熱が続いたあと熱が下がり、それとともに全身に発疹が出てきます。発疹は手、足、体全体に広がり、2〜4日程度で消えます。発疹は痕を残さずにきれいに治癒します。
ウイルスは中枢神経に感染しやすいため、合併症として熱性痙攣を発症することがあります。また、脳炎などの合併症を伴うこともあります。
突発性発疹の症状の移りかわり
- 1日目 突然の発熱(39〜40度くらい)
高熱は通常3日〜4日程度続きます。熱以外には重い症状はないため、元気だったり不機嫌だったりするお子さんが多くなります。また、熱でぐったりするお子さんもいます。 - 3日〜4日目 熱が下がる
熱がストンと下がります。この時にはシャワーのみではなくお風呂などに入れるといいでしょう。また、発熱の間に食欲がなかった子も、この時期になると食べれるようになるでしょう。 - 4日~5日目 発疹が出る
発疹が出てきて、手足から全身へ広がります。 - 6日〜7日目 回復する
発疹が治まります。発疹の色もきれいに消えていきます。
突発性発疹の合併症
突発性発疹の主な合併症は次のものとなります。
熱性痙攣
熱性痙攣は、ほとんどの場合、数分で治まりますが、重症化することもあります。具体的な症状は、身体の震え、チアノーゼ症状、意識の低下などとなります。
熱成痙攣時の留意点
- 痙攣が起こったら顔を横にむけ、吐物で窒息しないようにします。
- 口にものを詰め込んではいけません。(割りばしなど)
- 初めてのけいれん発作の場合は、特に救急受診をする(けいれんが治まっていても)
- 救急車が来る頃には痙攣が止まっていることの方が多いのですが、気道を確保したら、痙攣がどの範囲に出ていて、何分間続いたかを見て欲しいです。
脳炎
発熱している間や、熱が下がって発疹が出現している間に、意識障害や繰り返しの痙攣、30分程度の長い痙攣などが生じるなどを生じることがあり、脳炎・脳症が発症している可能性があります。
痙攣がひどい場合でも後遺症を残さず回復することがありますが、重い後遺症や死亡する例もあるので、注意が必要です。
乳児の場合頭が痛いとは言えません。目の焦点が合わない、ぐったいしている、といったいつもと違う様子がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
その他
まれに劇症肝炎、血球貪食症候群、心筋炎など重篤な合併症が生じることがあります。
突発性発疹の治療
専用の薬はありませんので、対症療法(症状を和らげる治療法)を行うこととなります。
病院へ行く目安
突発性発疹は過度に心配する病気ではありませんが、家庭では発熱の原因などを判別できないので、発熱したら医療機関を受診して医師に診察してもらいましょう。
また、高熱により熱性痙攣をおこした場合は医療機関を受診してください。(前述の熱成痙攣の対応が必要となります。)
家で看病する際の留意点
水分補給について
高熱が続きますので、汗をかくことにより水分が失われてしまいます。突発性発疹は食欲がある場合がほとんどですので、急に脱水症状を起こすことは多くはありませんが、通常よりも多く水分を失われますので、水分補給を心がけてください。
ただし、水分の摂取状況やおしっこの量が通常どおりであれば、あまり神経質にならなくてもいいでしょう。
着るものについて
高熱だからといって、たくさん衣類を着せたり、布団を多くかけたりする必要はありません。
衣類、布団はいつもどおりくらいで、汗を多くかいている場合は、少し薄めの布団にしたり、汗を拭いてあげるなどに気を使うといいでしょう。
食べ物について
食欲があれば、通常どおりの授乳や離乳食をあげて良いです。ただし、離乳食は消化のいいものにして、水分を多く含むものするといいでしょう。
脂質やタンパク質を多く含むものは消化によくないこともありますので、調子が悪いようであれば控えるようにしましょう。
熱がある時には無理に離乳食を食べさせず、母乳、ミルクを与えます。
お風呂について
突発性発疹で発疹が出ているときには、基本的には病気がなおった時期です。そのため、発疹があっても入浴してかまいません。お子さんの体力などを考慮しながら入浴させてあげるといいでしょう。
また、入浴が無理な場合でも、汗をかくので皮膚を清潔にしてあげた方がいいでしょう。体を拭いてあげたり肌着の交換をマメにする必要があります。
外出について
熱が下がってきたら、外出もできますが、高熱を伴っていたことから、お子さんの体力が回復しきっていないことも考えられますので、少しずつ外出時間を増やしていきましょう。
突発性発疹の予防、予防接種
突発性発疹にはワクチンがなく、予防接種はありません。病気を発症した場合は、保育園などで他人へ感染させないよう注意することとなります。病気を発症した後の保育園などへの登園の時期については、次の項目を参照してください。
保育園などへの登園について
突発性発疹を発症した場合の保育園などへの登園停止期間については、法令上は具体的に定められていません。
ただし、厚生労働省のガイドラインでは、登園のめやすとして「解熱後1日以上経過し、全身状態が良いこと」としています。感染した場合は、具体的な登園日などについて、医師や保育園と相談して決めるといいでしょう。
大人の感染
突発性発疹は一度ウイルスに感染すると抗体を得ることができるので、その後は発症しません。したがって、特殊な状況を除き大人が病気を発症することはほとんどありません。
看護師からひとこと
急な高熱でぐったりしてる!!どうしよう??
最初のお子さんの場合、お母さんはこの突発性発疹が最初に体験する子どもの病気です。慌てずに様子をよく観察して早めの受診をしましょう。
夜中の場合は、痙攣発作が出たり全く水分が摂れない、目の焦点が合わないなどがなければ、翌日の朝一番で受診すれば大丈夫。心配であれば、医療機関に一度電話で問い合わせてから受診しましょう。
また、突発性発疹を引き起こす原因ウイルスには2種類のタイプがあるので、2回かかるお子さんもいます。
まとめ
- 突発性発疹とは、乳児期に多く発症する急性のウイルス感染症です。
- ほとんどが2歳未満で感染し、特に生後6か月〜1歳くらいまでに感染することが多くなります。
- 主に父親や母親の唾液中のウイルスから感染すると考えられています。
- ウイルスに感染してから10日〜14日程度の潜伏期間を経て、突然、39〜40度くらいの高熱を発します。
- 高熱は3〜4日程度継続しますが、高熱のわりに元気なのが、突発性発疹の特徴です。
- 熱性痙攣や脳炎などの合併症があり注意が必要です。
- 家で看病するときは高熱を伴うため、脱水に注意して水分補給に気を配る必要があります。
- 突発性発疹については、ワクチンはありません。
- 感染した後の、保育園等への登園の時期については、法令上の定めはありませんので、厚生労働省のガイドラインに従い、医師や保育園と相談して決めることとなります。