口内炎は大きく4つの種類があり、原因や治し方もそれぞれです。多くは食生活や生活習慣などが原因となっているものですが、大きな病気が潜んでいることもあります。ここでは、口内炎の種類ごとに原因や治し方、予防法について解説します。

更新日:2017年08月23日

この記事について

監修:大見貴秀医師

執筆:当サイト編集部

口内炎とは

口内炎とは

口の中が痛い、飲み物や食べ物が沁みる、出血や腫れがあるなど、お口のトラブルで悩んだことがある、という方は多いのではないかと思います。

口内炎は、口腔内(口の中)及び口の周辺の粘膜に起こる炎症の総称です。

ただし、一口に口内炎と言ってもいくつかの種類があり、発症原因や症状によって主に以下の4つに分けられています。

  1. アフタ性口内炎
  2. ウイルス性口内炎
  3. カタル性口内炎
  4. アレルギー性口内炎

口腔内には、多くの細菌が存在しています。

細菌の多くは常在菌として、体調の有無に関わらず口腔内及び体内に常時あり、それ自体が病原体を示すものでありませんが、体の抵抗力や免疫力が落ちている時などに増殖をすると、口内炎を発症させることがあります。

つまり、口内炎ができるということは、疲労が溜まっていたり体力が落ちたりしている状態と考えられるため、ゆっくりと休息を取ることが大切です。

喉にできるものは治りが遅い

喉で口内炎と同じ症状が起こっているケースもあります。

原因などは通常の口内炎と同じですが、喉という場所なので、飲食時に痛みがでるといったツライ症状になることもあります。

ここに口内炎ができると(それぞれ上咽頭炎、中咽頭炎と言います)口腔内のようにセルフケアをすることが難しいため、症状の回復までに時間を要することがあります。この場合は早めに病院へ行って対処した方がいいでしょう。


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口内炎ができる原因

原因は種類によって異なります。それぞれ以下のようになります。

アフタ性口内炎

アフタ性口内炎は、口内炎の中で最も多く発症するものです。

発症原因は、現段階では詳しくわかっていませんが、口の中(頬の内側が多い)を噛んでしまった時や、ストレスによる免疫力の低下や、不規則な生活習慣、口の乾燥、栄養バランスの乱れ(ビタミンB2の不足)、暴飲暴食、体調不良時やその前後に発症しやすいと言われています。
 

ウイルス性口内炎・真菌性口内炎

ウイルス性口内炎はウイルスが原因、真菌性口内炎は真菌(カビ)が原因になります。

ウイルス性については、主に単純ヘルペスウイルスが原因の「ヘルペス性口内炎」、そして、カビを原因とするものについては、カンジタ菌の増殖によって起こる「カンジタ性口内炎」があります。

カンジタ菌は、健康な人の口の中にも常在する菌のため、通常は増殖をすることはありませんが、基礎疾患や妊娠などで免疫力が低下している時や、抗生物質などの投与によって増殖し、発症するケースがあります。

カタル性口内炎

カタル性口内炎は、入れ歯や矯正器具の接触、歯周病や虫歯など口腔内の衛生状態が低下している、疲労による体調不良、熱いものを飲んだり食べたりして火傷をしたことなどが原因で発症します。

なお、これらを放置して炎症が悪化すると、深い潰瘍になったり、皮膚がただれたり、出血するなど、症状が重症化するケースもあり、このような症状が出るものを「びらん性口内炎」と呼びます。

アレルギー性口内炎

アレルギーの原因となるものは、食べ物や金属、薬などが考えられるのですが、比較的多いのが食べ物や金属によるものです。

金属アレルギーは、歯の治療で使用した金属がアレルギーのもととなっていることが多くあります。

なお、金属アレルギーは口の中の金属が原因であっても、他の場所でアレルギー反応がでることがあります。最近では、金属を使用しない歯医者さんが増えていますので、心配な方はセラミックなどを使用した治療をお勧めします。

薬物による口内炎については、抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬、抗てんかん薬などでみられるようですが、この場合、すべてがアレルギー反応を原因とするものではないようです。

【参考】重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性口内炎(厚生労働省)

口内炎の症状

口内炎の症状

口内炎は、種類によって発症原因が異なるだけではなく、症状も違います。ここでは、種類別の症状についてご紹介します。

アフタ性口内炎

アフタ性口内炎のアフタとは、粘膜の表面が白く変色した膜に覆われた小さな潰瘍ができる病状を指す言葉として使われています。

そのため、主に口腔内の前側に円型、もしくは楕円形の2~10mm程度の潰瘍ができるものを言います。

潰瘍の色や形は様々ですが、灰色や黄白色、白色をしており、潰瘍の中心部分がくぼみ、周辺は他と比べて赤くなっているのが特徴です。

発症すると、特に何もしていなくても痛みがあるだけではなく、舌などが触れると強い接触痛が生じます。

単体で発症するだけではなく複数が同時にできることもあり、そうなると食事をするのも激痛となることがあります。

ウイルス性口内炎・真菌性口内炎

ウイルスやカビを原因とするものは、いくつかありますが、ここでは罹患率が多いと言われているヘルペス性口内炎カンジタ性口内炎の2つの症状をご紹介します。

ヘルペス性口内炎の症状

発症直後は、口の中に違和感がある程度なのですが、やがて水泡ができてそれが破裂するとその部分が潰瘍になり、潰瘍が現れた箇所が赤く腫れ上がります。

また、高熱を伴うことが多いのですが、口内炎ができる前に高熱が出て、3日ほど経過してから腫れや痛みを伴う潰瘍が現れることもあります。

ヘルペス性口内炎は、中でも痛みが強いと言われています。

カンジタ性口内炎の症状

カンジタ性口内炎は、白い苔のようなものが頬の内側や舌、口の上の部分である口蓋などに、点状または地図のように広がるのが特徴です。

食事の時などに痛みを生じ、白い苔が剥がれ落ちるとその部分が赤く腫れたり出血を起こしたりします。

症状が悪化すると、白い苔が剥がれにくくなり、皮膚がただれて強い痛みが起こります。

カタル性口内炎

カタル性口内炎は、紅斑性口内炎とも呼ばれています。

紅斑の名の通り、炎症が起きて赤くなったり、赤い斑点ができたりするのが特徴ですが、中には白くただれることもあります。

一ヶ所で炎症が起こるよりも、口腔内全体に腫れが広がることが多く、痛みもそれほど強くないことから、発症していることがわかりにくいのですが、唾液の分泌が増えて口臭が強くなったり、口の中に熱を感じたり、味覚が鈍くなったりするなどの症状が出ることがあります。

アレルギー性口内炎

アレルギー性のものについても、帯状にただれたりすることがあったり、広範囲に広がったりすることから、重い症状となることがあります。

また、アフタ性口内炎と同様の症状となることもあります。

できる場所による注意点など

できる場所による注意点

口内炎は、唇、歯ぐき、舌、口角など、症状の発症が特定の箇所に限定される場合は、それぞれを口唇炎、歯肉炎、舌炎、口角炎と呼んでいます。

また、できる場所によって、体調をある程度見極めることができると言われていますので、以下の内容を是非参考にしてみて下さい。

唇や口角にできるものはストレスが原因

口唇炎や口角炎は、主にストレス、ビタミンB群不足などが原因で起こると言われており、胃腸の働きが乱れていることが考えられます。

食生活を見直し、暴飲暴食を止めるのは勿論のこと、消化によいものを食べるように心掛けましょう。

舌にできて治らないものは癌の可能性も

舌炎の中でも、舌の上に、しかも同じ場所に何度も口内炎ができてしまう時には、噛み合わせや歯並びが原因となっていることが考えられるため、歯列矯正を考える必要があります。

また、舌の側面や裏側にできた場合には、舌癌の初期症状の可能性があります。

舌癌は、尖った歯や虫歯などで、長い期間同じ場所を刺激されることで発症するケースが多いのが特徴です。

舌癌の場合は、潰瘍の外側がギザギザに波を打っているのが特徴です。このような場合や、舌にできたものが治りにくい時はすぐに病院を受診するようにしましょう。

歯周病との併発も

歯周病は成人の8割以上が罹患していると言われています。口内炎はこの歯周病と深い関係があり併発するケースが多くなります。

歯周病の人が体調を崩し、口腔内の細菌の増殖が起こると、「壊死性潰瘍性口内炎」が起こる場合があります。

壊死性潰瘍性口内炎になると歯茎に潰瘍ができて、口臭も強くなってしまいます。

口内炎の治療法・セルフケア

歯ブラシ

種類別に、治療法やセルフケアをご紹介します。

アフタ性口内炎

症状が比較的軽い場合は、特に治療をしなくても、1~2週間ほどで跡形なく綺麗に治ります。

ただし、始めは少し気になる程度の痛みだったのが、次第に歯や舌が触れるだけでも激痛が走るようになることもあり、こうなると食べ物や飲み物を摂るのをためらったり、話すことがつらくなったりするなど、日常生活において様々な支障が生じてきます。

アフタ性口内炎であっても、セルフケアを行ってできるだけ早く治すようにすることが大切です。

清潔にして乾燥を防ぐ

早く治すためには、口の中を清潔を保ち、乾燥を防ぐことが最も大切です。

歯みがきは患部を傷付けないように注意しながら、歯や口腔内の汚れを取り除くようにしましょう。

口内炎が複数できていたり、患部が広範囲に渡ったりしている場合は、うがい薬で1日3回程度うがいをするのが効果的です。

また、市販の塗り薬を塗るのもよいでしょう。

はちみつも効果的

はちみつ

お子さんの場合、薬の味を苦手とすることが多いですが、そのような時は患部を清潔にした後、はちみつを少量塗るのも効果があります。

はちみつには優れた殺菌・抗炎症作用があるため、治りを早めてくれます。

※なお、1才以下のお子さんには、はちみつは与えないようにして下さい。1才未満の乳児は、ボツリヌス菌の増殖による乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあります。

症状がつらい場合は耳鼻咽頭科へ

口内炎が複数できている場合や、症状が長引く時は耳鼻咽頭科を受診しましょう。

近くに耳鼻咽頭科がない場合は、口腔外科を併設している歯科(電話やホームページなどで口内炎の治療をしているか問い合わせてみましょう)、内科、皮膚科などでも診てもらうことができます。

病院では、主にステロイドを含む軟膏や貼り薬、スプレー薬、内服薬などが処方されます。

なお、アフタ性口内炎は繰り返して発症する方も多いと言われていますが、その頻度が多かったり、口の中のどこかに常に口内炎ができているといった場合は、ベーチェット病を始めとした病気のサインである可能性もあります。

たかが口内炎とは思わずに、早めに病院へ掛かるようにしましょう。

ウイルス性口内炎・真菌性口内炎

薬

ウイルス性口内炎の場合は、ウイルスや真菌(カビ)が発症原因であることから、病院へ行って適切な治療を受けることが必要になります。

治療では、ヘルペス性口内炎であれば抗ヘルペスウイルス薬を、カンジタ性口内炎であれば抗真菌薬が処方されます。

特にヘルペスウイルスは、他人にも感染させてしまうものなので、ヘルペス性口内炎が疑われる時はタオルなどの共有などは避けるなど、感染予防に配慮しましょう。

カタル性口内炎

主な原因は歯科矯正器具や銀歯、入れ歯などの不具合です。入れ歯や矯正器具などが常に接触している時や、虫歯、歯周病が原因の場合は、その原因を改善しなければいけません。

口の中を清潔に保つよう、ぬるま湯でうがいをするなどセルフケアを行いながら、病院にて器具の調整や虫歯などの治療を行うことが大切です。

アレルギー性口内炎

アレルギー性のものについては、症状がでてしまうと、自身で対処することが難しくなります。症状が重くなることがありますので、医師のもとで治療を受けるようにしてください。

また、薬物によるものは高熱を伴うことがあり、こちらも早めに医師の診断を受けることが大切です。


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口内炎の予防法

周囲を見渡すと、口内炎になりやすい人もいれば、なったことがないという人もいると思います。

口内炎には発症原因がよくわかっていないものもあるため、一概には言えませんが、なりにくい人の生活習慣を真似ることが、予防になると考えられます。

予防にはいくつか方法があります。以下の内容を参考にしてください。

栄養バランスのよい食事を行う

サラダ

コンビニやファストフードなどでの外食が多い方は、ビタミンやミネラルといった栄養の摂取が不足しがちです。

特にビタミンB群やビタミンC、鉄分が不足すると口内炎を発症しやすいと言われていることから、これらの栄養素を摂るように意識した食事を行いましょう。

口の中を清潔に保つ

毎食後の歯みがきは勿論のこと、うがい薬を併用するのも効果的です。

なお、汚れをしっかりと取ろうとするあまり、必要以上に歯ブラシでと擦ると、口腔内に細かい傷がつき、そこから雑菌が繁殖してしまうことがあるのでブラッシングや優しくするようにしましょう。

口の中を乾燥させない

口の中が乾燥すると、雑菌が繁殖しやすくなってしまうため、適度な水分補給を心掛け、食事の際にはよく噛んで唾液の分泌を促すようにしましょう。

なお、顎の骨の内側にあるくぼみには唾液腺があるので、そこを指で刺激して唾液の分泌を促すことも、口腔内の乾燥を防ぐ効果があります。

生活習慣の改善

喫煙やアルコールの摂取、ストレスなどは、体内でのビタミンの使用量が増えるため口内炎を発症しやすくなります。

また、睡眠不足が続くと、寝ている間に活発になる成長ホルモンの分泌が減り、粘膜の保護や修正が行われにくくなるため口内炎になりやすいと言われていますので、しっかりと睡眠をとるように心掛けましょう。

アレルギー性口内炎の予防について

アレルギーのもととなる食べ物や金属を見つけることが大切です。

食べ物であれば、食べないようにすること。金属アレルギーで歯の治療をした際の金属が原因であれば、他の素材に取り替える必要が出てきます。

まとめ

口内炎の原因の多くはアフタ性口内炎であり、食生活や生活習慣の改善が大切になってきます。また、口の中を清潔に保つことや、菌の繁殖を防ぐために乾燥させないことも重要です。

セルフケアで改善するものも多いのですが、ウイルス性のものや、症状がひどい場合、いつまでも治らない場合は、病院を受診する必要があります。

口内炎に関する質問や回答が寄せられていますので、こちらも参考にしてください。

[カテゴリ:免疫, 生活習慣, 皮膚]

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