男性用尿漏れパンツや男性用尿漏れパッドの売れ行きが良くなってきているそうです。尿漏れに悩む女性は多いですが、実は50歳をすぎた男性の2割は軽い尿漏れの経験があるといいます。その原因の1つは前立腺肥大症。残尿感や尿のキレが悪いといった症状で悩んでいる人も多いようです。前立腺肥大症による排尿障害、対策法などについて説明します。

更新日:2017年07月07日

※この記事は看護師が監修をしています。

前立腺肥大症とは?

男性

前立腺肥大症とは、尿道を取り巻く前立腺が大きくなってしまい、残尿感、尿の出が悪いといった排尿障害や、頻尿や尿漏れといった蓄尿障害を起こす病気です。

前立腺肥大症の原因は、加齢、男性ホルモンの減少によるホルモンバランスの崩れ、喫煙、肥満などが挙げられますが、実際のところははっきりしたことはわかっていません。

日本人男性の80%の人が80歳までには前立腺肥大症になると言われている一般的な病気です。

前立腺肥大症は前立腺がんとは異なり良性疾患であり、日常生活に支障がない程度の症状であれば治療介入を要しないことが多いです。

病院でも、治療を始めるかどうかは、よっぽど検査所見がひどくなければ、前立腺肥大の程度よりも本人の生活への影響度合いによって変わってきます。

しかし、男性の尿漏れ、残尿感、尿の出が悪いといった排尿障害は、前立腺肥大症以外の前立腺がんなどの重篤な病気でも出てくる症状です。

排尿障害がひどくなると、膀胱が変形し、腎臓に尿が逆流するようになり気づかぬうちに腎機能に悪影響を及ぼすことがあります。

高齢の人は時折、前立腺肥大の検査を受けるようにしましょう。


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前立腺肥大症の症状

前立腺肥大症の主な症状には次のようなものがあります。

1 排尿障害

排尿障害とは、尿が出にくくなる症状です。前立腺肥大症では、次のような症状が出てきます。

  • 尿意を感じてから尿が出るまでの時間が長くなる
  • 尿が細くなり、チョロチョロとしか出ない
  • 尿が散ってしまう
  • 尿の最後のキレが悪くなる

2 蓄尿障害

蓄尿障害とは、尿をためられなくなる症状で、次のような症状が現れてきます。

  • 急にがまんできないほどの尿意がおそってくる
  • 昔よりも頻尿になった
  • 夜中に何度もトイレにいく

3 排尿後症状

排尿後症状とは、尿をし終わったのに残尿感がある、排尿後に尿道に残っていた尿が少量漏れるといった症状です。

4 その他の症状

トイレ

男性の場合は、女性の尿漏れのように「くしゃみをしたときに尿漏れが気になる」「急に立ち上がろうとすると多少尿が漏れる」「子どもや孫を抱きあげるときに尿漏れすることがある」といった腹圧性尿失禁の症状に悩むというよりは、頻尿で突如として襲ってくる尿意によってトイレに間に合わず漏れてしまうという切迫性尿失禁のタイプが多いです。

不意の尿漏れは準備ができないので不安ですよね。かといって、「病院に行くまででも・・・」という人が多いのではないでしょうか。

最近は、男性用の尿漏れパッドや尿漏れパンツも売っています。

「お酒を飲みすぎて酔った時はいつも以上に尿漏れしやすい」と言う人もいます。毎日ではなくても、「今日は飲み会」といったときには、これらを利用して対策をしておくと安心です。

自分の症状はどの程度?症状スコアでチェック!

チェック

自分の前立腺肥大症の症状がどの程度日常生活に支障を及ぼすものなのかを調べるチェック項目があります。、これはWHO(世界保健機構)が定めたもので、前立腺肥大症の自覚症状を点数化し、客観的にどの程度に位置するのかを把握するためのものです。

国際前立腺症状スコア(IPSS)

各項目で、自分にもっとも近い程度の点数をつけます。全項目の合計点(総計35点)によって、「0〜7点:軽症」「8〜19点:中程度」「20〜35点:重症」に分類します。

  • 「全くない:0点」
  • 「5回に1回の割合より少ない:1点」
  • 「2回に1回の割合より少ない:2点」
  • 「2回に1回の割合くらい:3点」
  • 「2回に1回の割合よりも多い:4点」
  • 「ほとんどいつも:5点」

この1ケ月間に、どのくらいの割合で次の症状がありましたか?

  1. 尿をした後にまだ尿が残っている残尿感があった
  2. 尿をしてから2時間以内にもう1度しなければならないことがあったか
  3. 尿をしている間に尿が何度も途切れることがあったか
  4. 尿意を我慢するのが難しいことがあったか
  5. 尿の勢いが弱いことがあったか
  6. 尿をし始めるためにおなかに力を入れなければならないことがあったか
  7. 夜寝てから朝起きるまでに、何回トイレに行ったか(回数=点数。5点(5回以上)まで)

QOLスコア

QOLスコアは、現在の排尿状態に対する満足度の指針を調べるものです。

現在の尿の状態がこのまま変わらずに続くとしたら、どう思いますか

  • 「とても満足、満足:軽症」
  • 「ほぼ満足、なんともいえない、やや不満:中程度」
  • 「嫌だ、とても嫌だ:重症」

前立腺肥大症の治療法

薬物療法

前立腺肥大症は、薬物療法が中心です。

α1ブロッカー

交感神経に作用して前立腺の緊張をとき、尿道を広げることで排尿障害を改善するものです。このα1ブロッカーは、前立腺自体を小さくするものではありません。

抗男性ホルモン剤

抗男性ホルモン剤は、前立腺そのものを小さくする薬です。

PDE5阻害薬

前立腺と膀胱の血流を改善することで、症状を改善する薬です。

いずれの薬も、前立腺肥大症の症状緩和を目的とした治療法ですので、基本的には、血圧の薬と同様、終生飲み続ける必要があります。

手術による治療

前立腺肥大症の症状がひどい場合や、膀胱や腎臓などに機能低下がみられる場合には、手術による治療が行われます。

前立腺肥大症の一般的な手術方法は、尿道から内視鏡を挿入して電気メスで前立腺の肥大部分を除去する「経尿道的前立腺切除術」です。

また、前立腺の内腺側のみをくりぬいて膀胱内で細切りにして体外に取り出す「ホルミウムレーザー前立腺核出術」や、経尿道的にレーザーを挿入して前立腺の肥大部分を蒸散する「光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)」といった新しい手術法も保険適用で受けることができるようになりました。

尿勢低下や残尿感といった症状はかなり改善されると言われています。ただ、術後は逆に尿漏れがひどくなる人もいますので、適応についてはよく医師と相談しましょう。

どのような治療法を選んでいくのかは、それぞれの症状の度合いと生活環境などによって医師と話し合いながら検討していくことになります。

必ずしも「すぐに手術!」となるわけではありませんので、気になる症状がある場合は早めに病院に行きましょう!


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前立腺肥大症の予防・対策

前立腺肥大症の原因はまだわかっていない部分が多いので、確立された予防策はありません。

前立腺がんの検査

前立腺肥大症の症状で病院に行くと、念のため前立腺がんの検査が行われます。前立腺がんの検査では、前立腺から分泌されるPSA(前立腺特異抗原)を腫瘍マーカーとして利用するPSA検査が行われます。

PSA検査

PSAは4ng/mL以下が基準値で、それを超えると前立腺がんの疑いありとしてさらなる検査が行われます。

F/T比

PSAには、タンパク質と結合したものと、結合していない遊離PSAがあります。

F/T比とは、PSAの総数に対する遊離PSAの割合を示すものです。

F/T比が低いほど前立腺がんの可能性が高いと考えます。

PSA速度

PSA値を計測した後、さらに時間を空けて再度計測したときの値の上昇の速さを示しています。検査値が高い(PSA値が速く上昇している)場合は、前立腺がんの疑いがあります。

まとめ

前立腺肥大症は中高年の男性に多くみられる病気です。

良性の疾患であり、日常生活に支障がなければ治療を行わないこともあります。

ただし、同様の症状が前立腺がんをはじめとした他の病気で見られることもありますので、しっかりと診断を受けておくことは大切です。

前立腺肥大症に関する質問や回答が寄せられていますので、こちらも参考にしてください。

[カテゴリ:下半身, 中年以降に多い, 尿, 男性に多い]

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