寝言に返事しちゃダメ!?睡眠と寝言の疑問を解決

暑くて寝苦しい日や少し疲れているときなど、起きてもすっきりしない日は、家族から「寝言で呼ばれたから返事しといたよ。で、何の用?」なんて言われたりします。寝言は聞き取りにくいモニョモニョとしたものから、夢の内容までわかるはっきりとしたものまでありますが、昔から「寝言に返事をしてはいけない」といいますよね。最近はその科学的な根拠もわかってきました。寝言のメカニズムや疑問点についてまとめています。

睡眠についての豆知識

まずは睡眠についての豆知識。よく言われていることですが、睡眠には脳が活動していて浅い眠りである「レム睡眠」と、脳が深く休んでいて意識がない「ノンレム睡眠」とがあります。

ノンレム睡眠

睡眠イメージノンレム睡眠は、私たちが一般的に考える「睡眠」のイメージに最も近いイメージの睡眠です。エネルギー消費を抑えるために脳まで深く休んでいる状態で、ほとんど意識はありません。

でも、弱肉強食の野生動物の世界では、意識がなくなるほどぐっすりと眠ってしまっては、寝ている間に他の動物に食べられてしまいますよね。

実は、ノンレム睡眠は、食物連鎖でもかなり上位にいて敵が少ない動物、特に大きな脳を持ち、脳を十分に休ませる必要がある霊長類など高等な生物にのみみられる睡眠です。

ノンレム睡眠は脳を休ませるのが目的ですが、体の方は何か危険があった場合に、脳からの指令によっていつでも動けるように体の筋肉はアイドリング状態となっているのです。

ノンレム睡眠中は寝返りなども多く、聞き取りやすいはっきりとした寝言が多くなります。

レム睡眠

レム睡眠は、爬虫類や両生類などの下等動物にも見られる睡眠で、脳よりも体を休めることが目的となっています。

レム睡眠中は目を閉じていても眼球がキョロキョロと急速に動くことがあり、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の頭文字を取ってREM sleep(レム睡眠)と名付けられました。

レム睡眠は脳が起きたままで体を休めるのが目的なため、筋肉の緊張が完全に緩んでおり、体がほとんど動かなくなります。金縛りが多いのはレム睡眠中です。

また、レム睡眠中は脳が覚醒して敏感に周りを警戒しているため、レム睡眠中に起こすと80%の人が夢を見ていたと回答するそうです。

また、筋肉が完全に緩んでいて口を動かしにくいため、寝言はモニョモニョとして聞き取りにくいものが多くなります。

睡眠単位

睡眠中はエネルギー消費が抑えられているので通常時よりも体温は低いのですが、脳が覚醒しているレム睡眠中は相対的には体温が高く、脳まで休んでいるノンレム睡眠中は体温が低くなります。

深い睡眠は体温が下がる過程で得られるため、「ノンレム睡眠で下がった体温を、レム睡眠で上げる」ということを繰り返します。

眠りが浅いレム睡眠から目覚めると、脳が覚醒し体温がすでに上昇していて、すぐに動く準備ができているため、目覚めがよくなります。

ノンレム睡眠からレム睡眠までを「睡眠単位」といいます。睡眠単位は約90分のため、レム睡眠中に起きられるように睡眠時間を90分の倍数にしておくと目覚めやすくなると言われています。

必要な睡眠時間

一般的には、睡眠時間が6時間以下の人を短眠者、9時間以上の人を長眠者として分類します。

しかし、睡眠時間と睡眠の質とは関係がありませんし、必要な睡眠時間はそれぞれの昼間の活動状況や体質などによります。

「何時間眠るのが必要」とあまり厳しく考えず、ノンレム睡眠をしっかりと取り、十分に脳まで休めることが重要です。

子供は寝言が多い

子ども睡眠イメージ寝言はレム睡眠中もノンレム睡眠中もどちらでもありますが、頻度でいうと眠りの浅いレム睡眠中の方が多くなります。

また、レム睡眠中は、脳は起きているものの筋肉は完全に緩んでいるため、ストーリー性が強くてむにゃむにゃ型の寝言が多く、ノンレム睡眠中は、脳は休んでいるのですが体はアイドリング中でいつでも動ける状態のため、あまり意味はないもののはっきり型の寝言が多くなります。

子供のうちは、日常的に寝言を言うこともあるようです。レム睡眠中は脳が覚醒していて、日中に体験した記憶を整理しています。

子供は日々新しい体験にあふれているため、脳でたくさんの情報を整理している間に口が動いて寝言を話してしまいます。

子供の寝言には返事をしないでゆっくりと眠らせてあげてください。20歳を過ぎるあたりから日常的な寝言がなくなってくる人が多いようです。

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寝言は悪いこと?寝言の原因について

寝言が多くて悩んでいる方もいるようです。一緒に寝ている家族に「うるさい」と指摘されたり、友人との旅行に行くときなどには少しはずかしいですよね。

たまに寝言を言ってしまうのは、特に悪いことではありません。寝言を言う理由はわかっていないことが多いのですが、次のような原因があります。

高熱などでうなされるとき

高熱などでうなされて寝言を言うことがありますが、自然なことですので特に問題はありません。

アルコール

アルコールを飲みすぎると寝言が多くなります。寝言で悩んでいる方の多くがこのパターンです。

寝言は自分では気づかないことが多いものです。家族に指摘される前に、アルコールの量を控えましょう。

肉体疲労・睡眠不足

連日の残業や睡眠不足などで過度に疲労しているときには、寝言が多くなります。

これは、筋肉を休めて疲労を回復させるため、通常よりもレム睡眠時間が長くなるためです。

まさに体を休めている休息中ですので、寝言に返事をして起こしてしまわないように!

ストレス

目覚時計イメージレム睡眠中は、日中に体験した記憶から感情的な記憶をそぎ落としています。

強いストレスを受けているときなどには、それを発散させようとして通常よりもレム睡眠の時間が長くなり、寝言の回数や程度が増える傾向があります。

週に何度かの寝言であれば特に気にする必要はありません。毎晩のように寝言に悩まされるようであれば、「寝言を治す」のではなく「ストレスを解消する」ことが必要です。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群では、うめき声やあえぎ声のようなはっきりとしない寝言が増えます。

特に、寝言にいびきや呼吸停止を伴う場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性がありますので、医師に相談しましょう。

レム睡眠行動障害

レム睡眠中は脳が覚醒しているので夢を見ることが多いのですが、夢のままに体を動かしてしまっては危険です。

このため、レム睡眠中は完全に筋肉が緩んで体が動かないようになっていますが、筋肉が緩まずに夢の内容のままに行動してしまう障害があります。

これがレム睡眠行動障害です。レム睡眠行動障害は、50歳以上の男性に多く現れ、その裏にパーキンソン病などの神経疾患が隠れていることがあります。

レム睡眠行動障害では、夢に関連したストーリー性があり、はっきりとした寝言が多くなります。寝言と一緒に体も動くことが多く、暴力的な寝言や行動が現れることもあります。

寝言と一緒に手足も動いていたり、はっきりとした寝言を毎日のように話す場合はレム睡眠行動障害を疑い、医師に相談しましょう。

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寝言に返事をしてはダメ!

昔から「寝言に返事をすると魂が戻れなくなる」といいますが、最近、寝言に返事をしてはいけない科学的根拠が明らかになってきました。

特にレム睡眠中のモニョモニョ寝言には注意です。

レム睡眠中は筋肉が完全に緩んでいますが、脳が覚醒して外部の音を聞いています。外敵に襲われそうになったときにすぐに反応できるように、常に警戒しているのです。

このため、寝言に返事をしたり、話しかけたりすると、音に反応して起きてしまったり、寝言に対する返事を理解しようとして脳の働きが活発になり、眠りが浅くなってしまいます。

その結果、次のようなことになってしまいます。

  1. レム睡眠が阻害されてストレスを十分に解消できなくなる
  2. レム睡眠の後のノンレム睡眠が十分に取れず、脳や身体の疲労が取れなくなる

ノンレム睡眠が脳や身体の疲労回復を担っているのに対し、レム睡眠中は脳が覚醒して情報整理を行っており、いわば心のメンテナンスを担っています。

レム睡眠が継続的に阻害されることによって、心のメンテナンスが十分にできなくなり、うつ病の原因となることがわかってきました。

レム睡眠中の寝言は夢の内容に関連したストーリー性のあるものが多く、寝言に返事をするとさらに返事が返ってくることもあって楽しいのですが、寝ている人にとっては睡眠を阻害されてかなりのダメージを与えられています。レム睡眠中の寝言には返事をしてはいけません。

一方、ノンレム睡眠中は、はっきりとした寝言が多いので返事をしてしまいたくなりますが、ノンレム睡眠中はぐっすりと脳まで休んでいるため、本人にはほとんど意識がない状態です。

また、ノンレム睡眠中の寝言は見ている夢にあまり関係がなく、「単に発してしまった言葉」です。寝言に返事をしてもその反応はほとんどありませんし、目が覚めても本人は覚えていません。

いずれにしても、寝ている人には話しかけたりせずに、ゆっくり寝かせてあげましょう。


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