葉酸 妊娠初期や授乳期にとても大切な栄養素です。
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葉酸はビタミンの一種で、妊娠初期や授乳期にはとても大切な栄養素です。特に妊娠初期に葉酸が足りないと胎児に影響がでる可能性もあります。また、美容効果、血管の若返り効果、発ガンを防ぐ効果など、様々な効果があります。葉酸のことを知って、しっかりと摂取して健康な生活を送りましょう。
目次
葉酸とは
葉酸は水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群に含まれます。
別名はビタミンB9で、赤血球の生産を助ける働きがあることから、ビタミンB12と共に「造血ビタミン」とも称されますが、DNAやRNAといった遺伝物質を構成している「核酸」の合成に不可欠な成分であり、特に妊娠初期や授乳期に母体の葉酸が不足すると胎児に様々な影響があるとして、2002年より母子手帳にも葉酸の摂取に関する記述が記載されるようになりました。
葉酸は元々、イギリスの産科医師ルーシー・ウィルスという女性が、妊婦に多く出現する巨赤芽球性貧血の改善に酵母が効果的であることを突き止めたのが始まりです。
この酵母は元々サルの貧血を改善する働きがあることがわかっていたことから、Monkeyの頭文字をとって「ビタミンM」と呼ばれていました。
その後、1941年にほうれん草の葉にビタミンMと同じ成分が含まれていることがわかり、ラテン語で「葉」を意味するfoliumから「folic acid(葉酸)」と名付けられました。
葉酸はどうして不足してしまうのでしょうか。
葉酸が不足する一番の原因は、葉酸を含む食品の摂取量が足りないことです。
葉酸は、体内に蓄積できる量が微量であるため、継続的に摂取を行わないとすぐに不足が起きてしまいます。
また、妊娠期間中や授乳期は葉酸の利用率が高くなるため、おのずと葉酸が不足してしまいます。
さらに、アルコールの過剰摂取も葉酸不足を招く原因と言われています。
これはアルコールに含まれる成分に葉酸が体内に吸収されるのを阻害する働きがあるからで、この他にも避妊薬のピルや、アスピリン、スルファサラジンなどの薬を服用している場合も、葉酸の吸収が妨げられることにより葉酸不足が起こる場合があります。
葉酸が不足するとどうなるのでしょうか。
妊婦さんへの影響
2000年(平成12年)厚生労働省は、妊娠の可能性がある女性に対し、葉酸の摂取に関する通知を行いました。
これによると、特に妊娠初期に葉酸の摂取量が足りないと胎児に「神経管閉鎖障害」の発症リスクが高まるとされています。
神経管閉鎖障害とは先天的に脳と脊椎が結合していない状態を指すのですが、日本においては脊椎の一部が形成されない「二分脊椎」が多く見られます。
では、神経管閉鎖障害を防ぐために妊婦はどれくらいの葉酸を摂取すればよいのかと言うと、妊娠していない場合の摂取量の目安が1日240㎍(マイクログラム)なのに対し妊娠時は2倍の480㎍と言われています。
なお、妊娠に気付いた時はすでに胎児の神経形成が始まっているため、妊娠を希望する女性は妊娠前から葉酸を意識して摂取する必要があります。
厚生労働省では「妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月まではしっかりと摂取するのが望ましい」としています。
ただし、過剰摂取は胎児に悪影響を与えかねないとして、1日の葉酸摂取量は1mgを上限としていますので注意しましょう。
ちなみに、葉酸を摂取するとダウン症の発症リスクが下げるという情報もありますが、現時点でこの情報については信憑性があるとは言えず、厚生労働省も葉酸とダウン症を関連づけた発表は行っていません。
貧血・美容などへの影響
葉酸不足は、妊婦に限って深刻な事態を与えるわけではありません。葉酸不足の代表的な疾患である「葉酸欠乏性貧血」は、妊娠に関わらず男女どちらにも起こり得ますし、美容と深い関わりがあるビタミンB群の一つである葉酸が不足することで、肌荒れや便秘と言った女性に多い悩みも増加してしまいます。
葉酸の効果・効能
血管の若返り効果
葉酸の効果・効能の中で近年注目されているのが、血管の若返りです。血管は、加齢と共に肌にたるみやしわができるように、柔軟性を失い傷付きやすくなってしまいます。
これを動脈硬化と言うのですが、動脈硬化が悪化すると脳卒中や心筋梗塞を引き起こしてしまうため、血管に柔軟性を持たせることは健康維持に欠かせません。
動脈硬化を誘発する原因の一つに「ホモシステイン」という物質があるのですが、葉酸はこのホモシステインをアミノ酸に変える働きがあるため、動脈硬化予防に効果があると言われています。
発ガンに対する効果
葉酸にはガン発症のリスクを低下させる効果があるとも言われています。これは、葉酸に間違った遺伝子情報(ガンの元となるもの)をコピーしたDNAを修復する働きがあるからと考えられています。
うつ病に対する効果
ビタミンB群とうつ病には関連性があると言われており、ビタミンB群が不足すると精神的に不安定になり、神経伝達システムに異常が起こると考えられています。
中でもビタミンB9の葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12が不足するとうつ病になりやすいとされ、うつ病患者の方に抗鬱薬と一緒に葉酸を摂取させると、葉酸を摂取しなかった場合に比べて薬の効果が3割ほど高まった、という研究結果もあるようです。
葉酸の副作用、摂取に関する注意事項など
過剰摂取による葉酸の副作用に関しては、専門家の中でも意見が分かれているのが現状です。
葉酸は水に溶けやすい性質のため、必要のない分は尿として体外に排出されるので多く摂取をしても問題がないという意見がある一方、厚生労働省では1日の摂取量の目安を記載しています。
どちらにしても、葉酸に限らず体によいからといって一度にたくさん摂ることは控えた方がよいでしょう。
また、葉酸は食べ物から摂取しにくい成分であるので、葉酸の含まれる食べ物を食べても過剰摂取となることはまずありません。
注意したいのは葉酸サプリメントなどの補助食品です。これらは葉酸の吸収率がよいため、過剰摂取となる恐れがあります。
葉酸を過剰摂取すると副作用として、不眠や食欲不振・吐き気などの消化器系の症状、じんましん・紅斑・かゆみといった皮膚の症状の他、高齢者の場合はビタミンB12の欠乏の発見が遅れてしまい認知症の原因となるケースもあります。
また、妊娠後期に葉酸サプリメントを過剰摂取した母親から生まれた赤ちゃんは、ぜんそくになる確率が高くなるという報告もあります。
葉酸を摂取できる食品など
葉酸はほうれん草の葉などの葉物野菜に多く含まれていますが、中でも特に最近は「つるむらさき」が注目されています。その理由は、葉酸が水に溶けやすく加熱調理に弱いという性質が関係しています。
葉酸の含有量が多いほうれん草やブロッコリー・アスパラガスなどは、加熱調理が必要なため摂取できる葉酸の量が少なくなってしまいますが、生のまま食べられるつるむらさきは、含まれている葉酸を効率よく摂ることができるからです。
また、豆腐や納豆などの大豆製品、焼き海苔や味付け海苔、牛・豚・鶏のレバーにも葉酸は多く含まれていますが、毎日手軽に葉酸を摂取するならキウイやパパイヤなどの果物や、果物を乾燥させたドライフルーツなどが便利でしょう。
さらに、緑茶にも葉酸が含まれており、特に「玉露」は葉酸が豊富に含まれている食品です。ただし、緑茶や玉露にはカフェインも多く含まれているため、妊婦の方や授乳中の方が飲むのは控えた方がよいでしょう。
サプリメントなどからの摂取
葉酸を簡単に摂る方法として、葉酸サプリメントや葉酸米、葉酸キャンディー、葉酸クッキー、葉酸茶などがあります。
ただし、これらの商品は1日に必要な葉酸が手軽に摂取できる反面、原材料などをよく見てから購入する必要があります。
特に「無添加」と表記されていると内容をよく確認せずに購入してしまう方がいらっしゃいますが、中には「防腐剤や香料、着色料は使っていません」という記述に留まっている場合も多く、このような場合は防カビ剤や人工甘味料などが含まれている可能性があります。
天然、自然、無添加という言葉の響きに騙されず、どのような材料が使われているかをしっかりと見極めることが大切です。
なお、単純に価格だけで良し悪しを判断することは難しいのですが、他と比べて明らかに安価で販売しているものは、添加物が多く含まれている上に粗雑な作りが多いと言われていますので注意して下さい。
また、葉酸サプリメントを摂取する時は、食事の前に摂ると吸収がよく効果的ですが、胃を荒すこともありますので胃腸の弱い方は無理をせず食後に服用するのがよいでしょう。
葉酸サプリメントの口コミ
- 葉酸サプリメントなら、葉酸だけではなく不足しがちなミネラルやその他のビタミンなども一緒に摂れるので便利だと思いました。
- 葉酸サプリメントは価格にかなりのばらつきがありましたが、高い値段のものは材料や製造工程にかなり気を遣っているように感じ、赤ちゃんのためならと思い私もそちらを選びました。
- 葉酸サプリメントを買う時には、飲みやすさもしっかり見ることが大切だと思います。粒が大き過ぎるものは飲み込みことができず、結局別の物に買い替えた経験があります。
- 間食で気軽に葉酸を摂取できたらと思い、葉酸クッキーを購入しました。味も美味しかったので苦にならずよかったです。
葉酸のまとめ
- 葉酸はビタミンB群の一種で、「ビタミンB9」「ビタミンM」「造血ビタミン」などの呼び名があります。
- 葉酸不足の原因は、摂取量が足りないことと妊娠による利用量の増加が主と言われています。
- 2000年に厚生労働省から妊娠時の葉酸摂取に関するガイドラインが発表されています。
- 特に妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児に神経管閉鎖障害が現れる可能性が高まることがわかっています。
- 妊娠の有無に関わらず、葉酸不足は貧血や動脈硬化のリスクを高めます。
- 葉酸を摂取することによって、動脈硬化を予防し心筋梗塞や脳梗塞、ガンなどのリスクを減らし、さらにうつ病や認知症の発症を防ぐ効果があると考えられています。
- 葉酸にはダウン症の発症を抑える効果は今のところ認められていません。
- 葉酸の過剰摂取による副作用も報告されているため、1日の摂取量の上限を超えないように注意しましょう。
- 葉酸サプリメントや葉酸クッキーなどは手軽に葉酸を摂取できる反面、過剰摂取になりやすく、また葉酸以外にも添加物が含まれることもあるため、原材料をよく見て選ぶようにしましょう。
- 妊娠後期に葉酸サプリメントを過剰摂取すると、赤ちゃんのぜんそく発症の確率が上がると言われています。