食物繊維の効果や摂取量、多く含む食べ物、ダイエット法をご紹介します!
PR
食物繊維は欠かせない栄養素です。水溶性と不溶性のものがあり、それぞれ含有量や効果が異なります。また、摂取しすぎも摂取不足も体によくありません。食物繊維を含む食べ物や正しい摂取方法、ダイエット法などをご説明します。
目次
食物繊維とは
「健康のために食物繊維を摂りましょう」
「食物繊維は美容の味方です」
このような文言を雑誌やテレビ、またはスーパーの生鮮品コーナーのポップなどでよく見掛けます。現代に生きる私達とって食物繊維は体に良いもの、というイメージが定着しています。
しかし、一昔前まで、食物繊維は取るに足らないものとして軽視されていたことをご存知でしょうか。
食物繊維は、たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素に次ぐ6番目の栄養素として、現在は毎日適量を摂取することが推奨されています。
しかし、以前は、消化されにくいという特徴を持っていることから、胃や腸の消化器官に負担をかけると同時に、摂取した食べ物の栄養素の消化・吸収を阻害するものとして、その価値はとても低く見られていました。
それが、1960年代に入ったころから、欧米諸国と比べてアフリカの先住民族に大腸疾患が少ないことが医師の調査によって判明すると、その理由として食生活の違いが関わっており、とりわけアフリカの先住民族は繊維質の食物を多く摂っていることがわかったのです。
このことが発表されて以後、世界中で食物繊維の研究が行われるようになり、今では重要な成分として認識されるまでになったのです。
日本においても、文部科学省が調査・公表している「日本食品標準成分表」にて、1997年以降、これまでは炭水化物の一部として表記されるに留まっていたものを食物繊維として独立させ、食品ごとに明記をするようになりました。
食物繊維には2種類ある。
現在における食物繊維の定義は「消化酵素によって消化されない難消化性成分の総称」となっています。
また、食物繊維という名称から線維質のものと捉えられがちですが、表面に多数の穴を持つ多孔質のものも存在します。
さらに、食物繊維は大きく分けて不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類に分けることができます。
ここでは、その2種類の食物繊維について、もう少し詳しくご説明したいと思います。
不溶性食物繊維とは?
不溶性食物繊維とは、水に溶けない性質を持つ食物繊維のことを言います。
一般的に私達が食物繊維と聞いて想像するのは、こちらの不溶性食物繊維となっており、糸状の線維を持つ野菜などに多く含まれています。
不溶性食物繊維の効果・役割
不溶性食物繊維は、胃や小腸で消化・吸収されることなく大腸まで達し、水分を吸収して膨れるため、腸壁を刺激して便通を促し便秘を解消します。
また、便通がよくなると、体にとって有害な物質が体外へ排出されやすくなるため、ガンなどの発生を抑えることができます。
さらに、不溶性食物繊維を多く含む食品は、必然的に噛む回数が増えるため、満腹中枢が刺激され、早食いや大食いを防ぐことができます。
水溶性食物繊維とは?
水溶性食物繊維とは、水に溶けやすい性質を持つ食物繊維のことを言います。
水溶性食物繊維の効果・役割
水分を多く摂り込んでゲル化することで、消化器官の通過が遅くなることで満腹感が継続しやすくなる他、糖質を吸着する特徴があることから食後の血糖値の上昇を緩やかにしたり、コレステロールを始めたとした老廃物や有害物質を便として排出する働きを持っています。
このような働きから、便秘解消を始めとして、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の予防に役立ちます。
バランスよく摂取する
食物繊維を摂る場合は、その種類にも十分留意することが大切です。
なぜなら、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維はその役割が異なっているからで、どちらか一方だけを摂るよりも、両方をバランスよく摂ることが大切だと言われています。
食物繊維が入っている食品
食物繊維を摂りましょう、と言われたら、どのような食品を選ぶでしょうか。
一般的に野菜や果物は食物繊維を多く含むことで知られていますが、実はそれ以外にも食物繊維を含む食品は数多く存在します。
そこでここでは、不溶性食物繊維、水溶性食物繊維に分けて、含有量の多い食品をご紹介したいと思います。
不溶性食物繊維を多く含むもの
不溶性食物繊維は、食べると繊維を感じる野菜や果物に多く含まれており、食物繊維のイメージそのものと感じる方も多いと思いますが、実は野菜の中でもきのこ類や豆類に多くの不溶性食物繊維が含まれています。
- 干ししいたけ(乾)
- きくらげ(乾)
- えのき茸
- かんぴょう(乾)
- いんげん豆(ゆで)
- ひよこ豆(ゆで)
- あずき(乾)
- 大豆(乾)
- きなこ(乾)
- とうもろこし
- アーモンド
- ピスタチオ
- くり
- 切り干し大根
- マッシュポテト
- しそ
- 菜の花
- かぼちゃ
- モロヘイヤ
- パセリなど
なお、上記には記載しなかったトウガラシや茶葉なども、100gあたりの不溶性食物繊維の含有量は多くなっています。
しかし、これらは多く摂取できるものではありません。
このように、必ずしも含有量=摂取量ではないため、少量であっても毎日摂取できるものの方がよい場合もあります。
水溶性食物繊維を多く含むもの
水溶性食物繊維は、海藻や果物に多く含まれる食物繊維です。
不溶性食物繊維を多く含む食品は、噛むと繊維質を感じるのに対し、水溶性食物繊維を多く含む食品の場合は、ネバネバとした食感のものが多いことが特徴にあります。
では、水溶性食物繊維を多く含む食品には、一体どのようなものがあるのでしょうか。
- わかめ
- もずく
- めかぶ
- アボカド
- オクラ
- 大麦
- こんにゃく
- 山芋
- 里芋
- ゆりね
- 納豆
- きなこ
- ピュアココアなど
両方を含むものもある
食品の中には不溶性食物繊維・水溶性食物繊維の両方を含むものも多く、その場合は水溶性食物繊維を含んでいても線維質の方を強く感じることもあります。
例えば、線維の多いゴボウは不溶性食物繊維と思われがちですが、実は水溶性食物繊維も多く含まれています。
また、これとは逆にツルツルとした食感の寒天は、水溶性食物繊維のみを含むと思っている方も多いようですが、ゴボウと同様に両方の食物繊維が含まれている食品です。
そのため、この2つは食物繊維の代表格として、便秘に悩む方が意識的に摂取するものになっています。
しかし、どちらも毎日食べるとなると少し難しい食品ですよね。
その点、バナナは不溶性食物繊維、水溶性食物繊維の両方がバランスよく含まれている上、皮を剥くだけで手軽に食べることができるため、両方の食物繊維を摂りたい時には是非活用したい食品となっています。
食物繊維が不足するとどうなるのでしょうか。
厚生労働省が2015年に発表した「日本人の食事摂取基準」によると、食物繊維の一日の必要量は、18歳以上の男性は20g以上、同じく女性は18g以上となっています。
【参考】日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書(厚生労働省)
しかし、実際にはこの目標値を大きく下回る結果となっており、特に便秘に悩むことが多い若い女性に至っては10gを少し超える程度と、かなり低くなっています。
1940年頃の日本人は、玄米や野菜といった食物繊維の豊富な食品を中心に食事を摂っていたため、一日の食物繊維の摂取量が25gを超えていました。
ところが食の欧米化に伴い、現在はその半分程度しか摂取できていません。
便秘、肌トラブルだけでなく、病気にも
食物繊維は、たんぱく質や糖質などのように、体のエネルギーに変わるものではないため、不足したからといってそれがすぐに深刻な問題にはなりませんが、食物繊維が少ないと腸内環境が悪化して便秘になってしまいます。
便秘は誰にでも起こりうることから軽く思われる方も多いですが、吹き出物や皮膚のかさつきなど、女性にとって悩ましい肌トラブルの原因となるものです。
さらに、便秘が慢性化すると腸に便や有害物質が長く溜まることから、ガンやうつ病の原因になると言われています。
このようなことから、食物繊維を摂取して腸内環境を整えておくことはとても大切だと言えます。
また、食物繊維が不足した体内では、食事によって摂取した栄養の吸収が促進されるという面もあります。
これは一見よいことのようにも思えますが、飽食の時代と言われる現代においては、栄養を余分に摂り過ぎてしまう傾向にあるため、肥満の原因となってしまいます。
この他にも、コレステロールやナトリウムを排出する働きが鈍くなるため、動脈硬化や高血圧といった生活習慣病が発症しやすくなるなど、食物繊維の不足は様々な病気の原因となることがわかっています。
食物繊維を摂りすぎるとどうなるのでしょうか。
若い女性の多くが、便秘に悩んでいると言われています。
そのため、食物繊維を積極的に摂取している方もいらっしゃると思いますが、一方で食物繊維の摂り過ぎは、便秘を改善するどころか逆に症状を悪化させてしまうことをご存知でしょうか?
上記でもご説明した通り、食物繊維は主に2種類に分類されますが、その中の不溶性食物繊維は、水分を吸収するという特性から、摂り過ぎると便をカチカチに硬くしてしまいます。
このため、返って便秘を促してしまうことにもなりかねません。
また、芋類や豆類なども不溶性食物繊維を多く含む食品ですが、便秘解消に一役買う一方で、腸内でガスを発生させやすいことから、膨満感を伴う便秘の時に摂取すると症状を悪化させ、おならの回数が増えたり、においのキツイおならが出るようになります。
さらには、不溶性食物繊維の摂り過ぎは、腸壁を刺激してぜん動運動を活発にすることから、便秘の改善どころか下痢を引き起こすこともあります。
幼児や高齢者は体調不良を起こすことも
この他にも、食物繊維には他の栄養の吸収を阻害する働きもあり、摂り過ぎは主要な栄養の摂取を妨げることになります。
大人の場合、よほど極端に食物繊維を摂取しなければ特に心配はありませんが、幼児や高齢者は食事自体の量が少ないため、食物繊維を必要以上に摂ってしまうと、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、たんぱく質などの吸収が減り、体調不良を起こす可能性があります。
どれだけ体によいと言われているものも、過剰摂取すると意味がなくなるどころか、害になってしまう恐れがあります。
食物繊維も一時的にたくさん摂るのではなく、毎日適量を摂取するようにしましょう。
不溶性と水溶性を2:1の割合で摂取しましょう
日本人女性の便秘の原因の多くは、水溶性食物繊維の不足だと考えられています。
このため、食物繊維を摂る場合は、比較的複数の食品から摂取しやすい不溶性食物繊維に比べて、含まれる食品が限られている水溶性食物繊維を意識して摂取することが大切です。
食物繊維の摂取は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の割合が2:1になるのがよいと言われていますので、是非そちらも意識して摂取するようにしましょう。
食物繊維ダイエット
食物繊維ダイエットとは、食物繊維の特徴を生かしたダイエット方法です。
とは言え、食事の際に食物繊維のみを摂る、というようなダイエット方法ではありません。
やり方はとても簡単で、食事の前に食物繊維を多く含む食品と水を摂るだけ。
食事の前に食物繊維を摂ることで、その後の食事での血糖値の上昇を緩やかにして脂肪の吸収を抑える働きや、満腹感を早めに得ることで自然と食事の量を減らせる効果が期待できます。
また、食物繊維を摂って便秘が解消されると血流がよくなるため、新陳代謝が活発になることも、ダイエットにとって有効と言えるでしょう。
以前に流行した〝食べる順番ダイエット〟では、食事の始めにサラダや味噌汁の具に使われている野菜を食べますが、これも食物繊維を摂ることで得られる効果を狙ったものです。
過剰なダイエットに注意!
なお、食物繊維ダイエットを行う際には、食物繊維を多く含むものだけを大量に食べて、食事を制限し摂取カロリーを大幅に減らす、といったことは止めましょう。
このような無理なダイエットを行い、体内が極端なカロリー不足に陥ると、脳がそれを飢餓状態と察し、食欲を増進させてしまいます。
この時、脳から「食べなさい」と出される指令は、自分の意思でコントロールできるものではないため、結果として過食をしてしまい、返って摂取カロリーを増やしてしまうことになります。
また、食べ物によってエネルギーを産み出すことができなくなると、体内ではエネルギーを作り出すために、筋肉が分解されます。
食事制限によるダイエットは、体重がすぐに落ちると言われていますが、これは筋肉が減っているのです。
筋肉が減ると、基礎代謝が下がって太りやすくなることから、食物繊維ダイエットを行う時は、あくまでも食事の前に適量を摂り、その後の食事の量を7~8分目程度に減らすことを目的として下さい。
まとめ
食物繊維は私たちの体にとって、欠かせないものであることを理解していただけたと思います。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく摂取することが大切ですが、過剰な摂取は返って健康を害することがあります。
また、食物繊維ダイエットはとても手軽に行えるダイエットです。極端なダイエットには十分注意して、健康な体を保つようにしましょう。