更新日:2017年06月05日
目次
ガングリオンとは?
足や手の指・甲などに気づかないうちに軟骨のようなコブができていることがありませんか?別に痛いわけでもないし、ほっとくと治ったりするのであまり気にすることもないのですが・・・。それはガングリオン(Ganglion Cyst、結節腫)かもしれません。
ガングリオンとは、ゼリー状の物質が詰まったこぶのことです。通常は良性のもので健康上の問題はありません。欧米では聖書ダコと呼ばれることもあります。
私もなぜか同じところにガングリオンができますが、痛みもかゆみも全くありません。
ガングリオンを針でつぶしてみると、中からちょっと黄色がかかった透明な液がでてきて、その液がまわりにつくと少しかゆいかな?といった感じです。(この後説明しますが、大抵は自然に治るので、自分でつぶすようなことはやめましょう。)
ガングリオンができやすい場所
ガングリオンは、ほとんどが手の関節のまわりに発生します。
- 手首の周辺
- 手首の関節を覆っている関節包の周辺
- 手の指の付け根(手のひら側の腱鞘のあるあたり)周辺
その他にも次のような場所にできることがあります。
- 手以外の関節の周囲
- 腱けん(筋肉と骨をつなぐすじ)のまわり
- 膝の半月板(はんげつばん)や脊椎の椎間板(ついかんばん)などの軟骨組織のそば
- 表皮から数ミリ下の粘液嚢胞
- 骨や筋肉、神経など
ガングリオンができやすい人
ガングリオンは、若い女性の発症率が高く(男性の約3倍程度)、20〜50歳で発症することが多いと言われています。
手にできやすいことから、手をよく使う人に多いと言われることもありますが、足にできる人も多く、必ずしも手だけに関係しているとはいえず、年齢も小児から老人まで、幅広く発症しています。
ガングリオンの大きさは人それぞれですが、手関節の背側にできると、かなり大きくなることがあります。
ガングリオンの原因
原因ははっきりしていない
ガングリオンが発症する原因は、実ははっきりとは解明されていないのです。
メカニズムとしては関節のそばにできたガングリオンは、関節液や、腱と腱鞘の潤滑油である滑液が袋状の組織に送られて、濃縮・蓄積してゼリー状にたまってくることで発生します。
骨や筋肉や神経に出来るガングリオンは、粘液が変性したによって生じると考えられています。軟骨ができたと誤解されることもあります。
使いすぎや、ぶつけるとできやすい
ガングリオンは手などを使いすぎたり、ぶつけたりしたときにもできやすいと言われています。
これは、衝撃などからその部分を守ろうとする防衛機能によって、クッション材としてガングリオンを形成するためと考えられています。
この場合、ガングリオンの中の液を抜いても、ぶつけた衝撃などによってできた関節のズレなどが治っていないと、再発する可能性があります。
ガングリオンの症状
ガングリオンは、軟らかいものから硬いものまであり、突然発生することもあれば、徐々に進行する場合もあります。数ミリ程度の小さなものから、大きなものではピンポン玉程度にまで大きくなることもあります。
ガングリオンは、関節の周辺や腱鞘付近にできる場合には痛みなどもなく無症状のことが多いのですが、神経のそばにできると、神経を圧迫してしびれや痛み、運動麻痺などを起こすことがあります。
また、手の関節周辺などに原因不明の痛みがあったときに、MRI検査などで詳しく調べてみると、深い部分にガングリオンが見つかることがあります。
痛みがあるときの対処、病院は何科を受診すればいいか?
自分でつぶしてはダメ!
関節付近の「できもの」は、自己判断で針を刺してはいけません。感染を起こすと大変なことになります。
ガングリオンかどうかの確定診断も含め、まずは整形外科で相談しましょう。
痛みがある場合
ガングリオンそれ自体は炎症などを伴わないため痛みはありませんが、神経を圧迫しているときなどには痛みがあります。
ガングリオンがある場所が目にみえて分かるのであれば、消毒した針などで刺して液体を抜くと、神経への圧迫が軽減して痛みが取れることがあります。
医師に相談して液体を抜いてもらうことや、除去してもらうことが大切です。
病院は何科を受診すればいいの?
私は別の症状で皮膚科に行ったときに、ついでに診ていただいてガングリオンだと診断されました。一般の人が見た目だけで、ガングリオンであるかどうかを判別することは難しいと思います。
皮膚科、整形外科、形成外科などでどこを受診すればいいのか迷ってしまうと思いますが、関節に近い場所では、穿刺によってそこから感染を起こしたりすることがありますので、整形外科を受診するのが最良でしょう。
また、皮膚の奥が膨らんでいる状態の場合も、ガングリオンではなく腫瘍など他の病気の可能性もあります。
この場合は外科的な処置(手術など)も考えて整形外科へ行くことがいいでしょう。整形外科であれば、様々な検査の環境が整っていますので安心です。
ガングリオンの検査
ガングリオンは、こぶが小さくて痛みなどがなければ、自然と治癒するため放置しても心配はありません。
ただし、ガングリオンと似ている瘤のなかには、ごく少数ながら悪性の腫瘍(肉腫)が紛れている可能性があります。
この場合、自分で針などを用いてつぶすと、がん細胞を拡散させてしまう恐れがあります。
また、不用意に刺すことで細菌感染の恐れもあります。ガングリオンかなと思っても、自己流で治療したり放置したりせず医師に相談して検査してもらうことが重要です。
病院では、発生した場所や触った感じ、超音波エコー検査、時にはMRIなどで診断を行います。また、針で中身を吸引して、病気を特定する場合もあります。
ガングリオンの治療
基本は中の液体を抜く
ガングリオンはたいていの場合は自然治癒します。(36カ月後には83%が消失するという話があります。)このため、ほとんどの場合、手術は必要なく、病院で穿刺(注射器などで中身を抜く)して中の液体を抜く程度です。
圧し潰す治療法も
ガングリオンに力を加えて押し潰す治療法もあります。(かなりの圧力が必要で神経を圧迫することもあるので、個人では行ってはいけません)
症状がひどい場合などは手術も
大きくなるもの、痛みが強いもの、神経が圧迫されて運動障害などが生じているもの、液体を抜いても繰り返しできてしまう場合などには、手術を行います。
ガングリオンの摘出手術は、再発や神経損傷などの合併症が起こりやすいので、必ず手の外科専門の整形外科医を受診することが推奨されます。
また、ガングリオンを手術で摘出しても、約5%の人は再発するという報告があります。
ジャパンプロレスが全日本プロレスから撤退するときに、長州力が長期欠場した理由は右手首ガングリオンの手術だったらしいです。
ガングリオンの手術の動画
ガングリオンの切除手術の様子を撮影した動画がありましたので掲載しておきます。手術の動画ですので、切開などの場面が出てきます。閲覧にはご注意ください。
手術する場合の費用、保険の適用、入院期間について
手術する場合の保険適用について
ガングリオンの手術には、国民健康保険や高額医療費助成制度などといった健康保険が適用されます。
しかし、一般の生命保険の給付に関しては、ガングリオンができた場所や手術内容により異なります。
手の指などの皮膚近くにできたものは、注射で中の液体を抜いたり、皮膚を切り開いたりして切除する手術になりますが、この場合は生命保険の適用にはならないことが多いです。
手首などにできたガングリオンを骨から剥がす手術などでは、生命保険適用の対象となってきます。
ただし、加入している生命保険の手術などにもよるため、生命保険会社に問い合わせてみてください。
手術には入院が必要?
ガングリオンの除去手術のうち、5cm程度のものであれば、通常は局部麻酔で15分程度で終わるものなので、日帰りでの手術が可能です。
ただし、骨に沿っていて切開が必要な場合や、10cm以上の大きなものでは、入院を要することもあります。
手術費用はいくらくらいかかる?
ガングリオンの大きさが小さく日帰り手術の場合は、健康保険適用後(3割負担)で2万円~3万円程度です。(生命保険は適用外であることが多いです。)
こぶが大きい場合などには入院が必要となりますが、多くは2泊3日程度、健康保険適用後で6万円程度です。(手術内容や保険内容によって生命保険の適用かどうかは異なります。)
まとめ
原因
ガングリオンが発症する詳しいメカニズムは不明です。
対処法
関節付近のできものは、感染の可能性もあるため絶対に自分でつぶしてはいけません。
ほとんどのガングリオンは自然に消滅するので、特別な治療は不要です。
大きい場合や痛みがある場合には、病院で中の液体を抜いてもらいましょう。ガングリオンが神経を圧迫しているときや骨などにできたときには、手術を要することもあります。この場合、整形外科の医師に相談しましょう。