夜に咳が止まらない、咳止めが効かないといったことに悩んでいる人は多くいます。咳と痰の色によっては重い病気の可能性があります。原因を突き止めて対処することが大切です。咳の原因と咳を止める方法を解説します。

咳とは?咳の必要性

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咳とは、呼吸によって口や鼻から体内に侵入したウイルスや異物などが、気道を通じて肺に入るのを防ぐため、気管や咽頭、横隔膜が一連になって収縮運動を繰り返す反射反応のことを言います。

医療分野においては「咳嗽(がいそう)」と呼ばれており、通常は上記のような理由から、咳は必要なものですので、止める治療は行われないのが一般的です。

また、唾液や食べ物などを誤って気管に入れてしまい、咳込んだ経験(誤嚥と言います)というのは誰もが一度くらいはあると思いますが、これも咳の一種になります。

このような場合、咳は一時的に起こる場合が殆どで、異物が取り除かれるとやがて咳も治まりますが、咳が長期に渡って続いている時は、誤嚥ではなく何かしらの病気の可能性が示唆されます。

咳が止まらない原因・病気

では、咳がなかなか止まらない場合には、一体どのような病気が考えられるのでしょうか。また、その病気は何が原因で発症するのでしょうか。

風邪

咳が出る病気として、最も認知されているのが風邪ではないでしょうか。

風邪は、風邪を引き起こすウイルス(風邪ウイルス)が、鼻や口の粘膜に付着し、増殖することで発症し、主に上気道(鼻や喉)に炎症が起こるものの総称を指します。

風邪ウイルスは、細かく数えると200種類を超えると言われています。

代表的なものとしては、大人の風邪の原因の約半数と言われる「ライノウイルス」や、夏に多く発症し下痢や腹痛などお腹の症状と同時に現れる「エンテロウイルス」、高熱や喉の腫れ・痛みが出る「アデノウイルス」、子どもが罹ると重症化する恐れのある「RSウイルス」などがあります。

なお、冬場に大流行するインフルエンザも、インフルエンザウイルスによる気道の感染症ということで、風邪の一種と位置付けられています。

風邪による咳は発症から一週間程度で治まると言われていますが、ウイルスの種類によっては3週間ほど続く場合もあります。


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気管支炎

気管支炎とは、気道の中で左右の肺に分かれるY字部分に起こる炎症のことを言います。

炎症の反応として細胞がむくんで気道が狭くなり、免疫反応の結果として痰が増えます。痰は微生物の死骸の塊ですので、それを外に出すために咳が出ます。

気管支炎には、急性と慢性があり、急性の場合は風邪などのウイルスや細菌による感染症や、ほこりなどを吸い込んだ際の刺激によって起こるものが殆どで、数週間程度症状が続きます。

一方の慢性の場合は、1~2年と症状が非常に長く続くのが特徴で、喫煙やアレルギーなど生活習慣や体質などが原因で発症します。

咳喘息

咳喘息は、喘息と同様に空気の通り道である気道が炎症を起こすことで、その道幅が狭くなり、少しの刺激に対しても過敏に反応して咳が出てしまうという疾患です。

とは言え、喘息の大きな特徴である喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒューといった呼吸音)はなく、また痰も殆ど出ずに代わりに乾いた咳や空咳が出ます。

寒暖差やストレス、喫煙、飲酒などによって発症すると言われていますが、特にアレルギー体質の方が風邪を引いた時に、併発して起こることが多いと言われています。

風邪を引いた後、熱や鼻水、喉の痛みなどは治まったのに、咳だけがなかなか抜けない場合は、咳喘息の可能性があります。

また、日中は咳が治まっているにも関わらず、夜になると眠れないほどひどい咳が出るというのも咳喘息の特徴です。

これには自律神経が関係しており、睡眠時に副交感神経が優位になることで、気管支が収縮して発作が起こりやすくなってしまいます。

なお、咳喘息を放置しておくと、気管支喘息に移行するケースもあるため、このような症状がある時は早めに病院へ行って適切な治療を受けるようにしましょう。

アトピー咳嗽

咳は通常、体内にウイルスなどの異物が侵入した際に、防衛反応として起こるものですが、アトピー体質の方の場合、この防衛反応が過剰に働きやすいため、ちょっとした刺激でもすぐに咳込んでしまうことがあります。

これをアトピー咳嗽というのですが、必ずしもアトピー素因のある方だけが発症するのではなく、中年以降の、主に閉経を迎えた女性はホルモンバランスの関係から発症しやすくなると言われています。

アレルギー疾患

アトピー咳嗽と同様に、元からアレルギー体質を持っている方は、体の防御反応が過剰に働き過ぎるため、風邪を引いた後に咳だけが長引くことがあります。

なお、アトピー咳嗽も含めたアレルギーが原因と言える咳を、アレルギー性咳嗽と言い、アトピー咳嗽と区分けするために花粉症やPM2.5や黄砂、ハウスダストなども原因で起こる咳を咽頭アレルギーと呼ぶことがあります。

逆流性食道炎

逆流性食道炎と言うと、胃酸が多く出て胸やけや食欲不振といった症状が認知されていますが、実は慢性的に咳が出るといった症状もあります。

胃から食道へ胃酸が逆流する際、気管の方まで胃酸が流れ込むことで咳が発生し、特に寝ている時に突然激しい咳が起こることから、喘息と思う方も多いようですが、喘息特有の喘鳴はなく、えずくような空咳になるのが特徴です。

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ菌に感染することで起こります。

喉の痛みや鼻水、咳、発熱など、一見すると風邪とよく似た症状で、場合によっては3~4日で治まってしまうこともあるのですが、風邪様症状が治まっても体調の回復が芳しくなく、咳も抜けない状態が続く時はマイコプラズマの感染が疑われ、注意が必要です。

特に乳幼児がマイコプラズマ菌に感染したまま放置すると、重症化し肺炎を始め心筋炎や髄膜炎などの合併症を引き起こす恐れがあります。

百日咳

百日咳菌という細菌に感染することで起こる疾患で、その名の通り長い期間咳が出るものです。

子どもと大人では症状が異なり、大人の場合は単に風邪が少し長引いているだけかな?と思う程度で終わることが多いようですが、乳幼児に感染すると重症化しやすいと言われています。

子どもが百日咳に罹ると、風邪によく似た症状が2週間程度続いた後、百日咳の特徴と言える「痙咳発作」が起こります。

これは、短い咳を連続してした後に、息を吸う時にヒューと呼吸音がするもので、息が苦しいため顔がむくんだり、乳児の場合は無呼吸になって痙攣が起こることもあります。

副鼻腔炎

風邪による咳と鼻づまり、鼻水がなかなか治まらない場合は、副鼻腔炎を発症している可能性があります。

副鼻腔とは鼻の周囲にある空洞で、鼻と口は副鼻腔を通じて繋がっているため、風邪を引いて副鼻腔に炎症が起こると、通常はサラサラとしている鼻水が粘り気を帯びた鼻水に変化し、それが鼻から口へと落ちることで喉に粘着質の鼻水が絡まり、それが肺の方へと入ってきて、咳が出ます。

慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患とは、主に喫煙による長期間の有害物質の吸入が原因による、肺及び気道に炎症が起こる病気です。

慢性の咳や痰、体を動かした時の息切れなどが初期症状として現れますが、加齢に伴う衰えと感じる方が殆どで、この段階で病院を受診する方は決して多いとは言えません。

しかし、病状が進むと呼吸不全などの重篤な状態に陥るケースもあることから、喫煙歴の長い方は一度、肺機能検査を受けてみるのがよいでしょう。

慢性閉塞性肺疾患の罹患者は世界中で増えており、2020年には死亡原因の3位になると予測されています。

薬剤性咳嗽

心臓病及び高血圧の治療でACE阻害薬を服用した場合、副作用として咳が出るものです。

肺がん

日本人の死因のトップであるがんの中でも、死亡者数が最も多いのが肺がんとなっています。

肺がんは症状がある程度進行しないと、体の異常を感じることはなかなか難しいと言われていますが、初期症状として長く続く咳があります。

痰が絡む激しい咳や喘鳴など、明らかに体に異変が起きていると感じる場合もありますが、乾いた咳が続くことも多いため、風邪だと見過ごされるケースもあります。

しかし、風邪の場合、3週間以上咳が続くことは稀のため、咳がなかなか抜けない時は一度検査に行ってみるのがよいでしょう。

特に白い痰の中に少しだけ血が混ざっている場合は、肺がんの可能性が出てきますので注意してください。


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咳の対処法

咳が止まらない病気には、数多くの種類があることがわかったところで、ここでは病気別の対処法をご紹介したいと思います。

風邪

風邪によって咳が長く続くと、睡眠不足に陥り、体力の回復が遅くなることから風邪の治癒にも時間が掛かってしまいます。

では、咳がひどくて十分な睡眠がとれない場合は、どのような方法を行うとよいのでしょうか。一般的な咳の場合の対処は次のような方法があります。

ハチミツを摂る

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風邪などの一般的な咳については、ハチミツを摂取するのが一番です。

近年の研究で咳には薬よりも、ハチミツが効果的であるということがわかっているそうです。

ハチミツの摂取の仕方は、子どもの場合は次のとおりです。

ただし、1歳未満の赤ちゃんにハチミツを与えてはいけませんので、注意してください。

  • 1回につき、ハチミツ小さじ2杯分
  • そのハチミツをお湯で半分に薄める。
  • 寝る前に飲む。

大人の場合は、コーヒーに小さじ2杯のハチミツを入れて飲みます。

ハチミツとカフェインの効果でより咳に効果があります。

横向きに寝る

横向きに寝ると、仰向けやうつ伏せで寝るよりも気道が広くなり、咳が出にくいと言われています。

加湿器を使う

部屋が乾燥していると、咳が出やすくなってしまうことから、加湿器を使って湿度を高く保つとよいでしょう。

背中を温める

背中を温めることで肺も温まるため、咳の症状を鎮めることができます。

気管支炎

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気管支炎の場合は、対処法として風邪と同様に、乾燥に気を付け、体を温めることで症状をやわらげることができます。

ただし、気管の上側で菌が繁殖する風邪などに対し、気管支炎は下側(奥)で起こることから、特に子どもは呼吸が困難になるなど重症化しやすいと言えます。

そのため、風邪のように自然治癒を待つのではなく、早めに病院へ行き適切な治療を受けることが大切です。

なお、気管支炎の治療としては、抗生物質や去痰剤、鎮咳剤などの服用がありますが、慢性化している方の場合は、漢方薬にて体質改善を図ることもあります。

咳喘息

咳喘息は、風邪を引いた時に併発して発症するケースが多いことから、風邪やインフルエンザを始めとした感染症に罹らないようにすることが最も大切です。

その上で、急な気温の変化に気を付け、外出時は服装によって温度調節をしっかり行いましょう。

また、就寝時に咳がひどくて眠れない時は、水分を摂るのが有効です。

この時、コップ一杯の飲み物を一気に飲むのではなく、口や喉を湿らせる程度の量を少量ずつ、こまめに飲む方が有効です。

また、寝具(布団)やカーペットの掃除も大切です。寝具が原因で夜間に咳が出ることがあります。

なお、咳喘息は放置していると気管支喘息に移行してしまう恐れがあることから、症状が治まらない場合は早めに病院へ行きましょう。

治療法としては、気管支拡張剤を用いて気管を広げ、咳の症状を鎮めます。

アトピー咳嗽

アトピー咳嗽が疑われる場合、対処法としては抗アレルギー薬を用います。

アトピー咳嗽は咳喘息とよく似た病気とされていますが、気管支拡張剤を使っても症状が改善することがありません。

アレルギーを抑えるために使用される抗ヒスタミン薬が、治療の中心となります。

また、家庭では咳喘息と同様に寝具(布団)やカーペットの掃除をするようにしましょう。

アレルギー疾患

アトピー咳嗽と同様、抗ヒスタミン薬によってアレルギーそのものを抑える治療が有効になります。

ただし、アトピー咳嗽以外の咽頭アレルギー疾患では、抗ヒスタミン薬が効かないケースもあり、その場合は漢方薬を用いることもあります。

外出時はマスクや眼鏡など、粘膜を守るよう心掛け、外出から戻ったらうがい・手洗いをして、アレルゲンを体内に侵入させないように対処しましょう。

逆流性食道炎

逆流性食道炎による咳を抑えるためには、食後2時間程度は体を横にしないことが大切です。

これは、体を横にすることで胃酸が胃から食道へ逆流しやすくなるためです。また、ベルトでお腹を締め付けるのも、胃酸が逆流しやすくなるため注意が必要です。

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ菌は、咳や唾液などを介して人に移る感染症です。

3~4年に一度小流行すると言われていますが、近年はこの傾向が変わりつつあり毎年集団感染が発生しています。

対処法としては、風邪と同じようにマスクや、うがい・手洗いなどが有効です。

また、軽症の場合は病院へ行っても特に治療せず、自然治癒によって回復を図るのが基本となります。

百日咳

百日咳に感染したら、抗生物質による治療が有効とされていますが、咳がひどい時期に服用してもあまり効果はないとされています。

また、一度百日咳に罹ると、その後半年程度は風邪を引いた際に咳がひどくなる傾向にあることから、感染症にならないよう注意をして下さい。

なお、百日咳は重症化しやすい乳幼児期に、四種混合の予防接種によって感染を防いでいます。

※生後3か月から四種混合ワクチンが定期接種(無償)として受けられるようになっています。(四種混合ワクチン=ジフテリア(D)、百日せき(P)、破傷風(T)、ポリオ(IPV))

副鼻腔炎

副鼻腔炎による咳は、咳き止めを飲んでも治まりません。

この場合は、黄色や緑色がかった痰が出てきますので、病院へ行って薬を処方してもらうことが大切です。

副鼻腔に溜まった膿を排出し、抗生物質によって菌を死滅させる治療が有効となります。

処方された薬を飲むことで、すぐに咳が治まる場合もあります。

なお就寝時は、仰向けで寝ると副鼻腔に溜まった膿が喉に落ち、咳き込みやすくなるため、横向きになって寝るのがよいでしょう。

慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患の発症原因の多くは喫煙によるものです。そのため、タバコを止めるのがもっともよい対処法となります。

また、受動喫煙や大気汚染、粉じんなどにも十分に気を付けましょう。

その上で、風邪などの感染症に罹ることで、症状が一気に悪化することが多いことから、インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種を受けておくことが大切になります。

薬剤性咳嗽

薬剤性咳嗽は、発症の原因となるACE阻害薬の服用を止めることで治まりますが、元々病気を改善するために飲んでいるもののため、咳の程度によっては医師の判断で服用を続けるケースもあるようです。

咳がひどく、睡眠不足などの二次症状がある場合には、同じ作用が期待できる別の薬に変更されます。

肺がん

8週間以上咳が続いており、さらに胸が痛む、血の混じった痰が出る、息が切れやすいなどの症状がある場合には、呼吸器の病気が強く疑われます。

中でも、初期症状では病気に気付きにくい肺がんは、レントゲン検査だけでは発見することが難しいことから、身内や親戚に肺がんに罹った方がいる場合には、一度、喀痰細胞診や腫瘍マーカー(血液検査)などを受けるようにしましょう。

痰からわかる病気の疑い

NHKのためしてガッテンでも放送していたことがありますが、咳が続く場合、出てくる痰から病気が判明することがあります。

病気の疑いがある場合にはすぐに、医療機関を受診するようにしてください。

痰の色が透明

正常な状態で特に心配はありません。正常時でも人はある程度の痰が出てきます。

痰が泡状(白やピンク色)

心不全の疑いがあります。肺に水が溜まっている状態で、少しでもその水を外に出そうと咳と痰が出てきます。夜中に咳が続いたり、起き上がると楽になったりするような場合に要注意です。

痰の色が黄白色・緑色

副鼻腔炎の疑いがあり、鼻水が喉にたれる後鼻漏という症状がでることがあります。この場合は耳鼻科を受診することになります。

痰の色が緑色

重い気管支炎などが疑われます。気管支肺炎、気管支拡張症に感染が伴うものになってきます。

痰の色が錆色

肺炎球菌性肺炎が疑われます。

白に少しだけ血が混じる

気管支拡張症、肺がんや結核が疑われます。

最後に

咳や咳に伴う痰について説明してきましたが、いずれにしても咳が気になる場合は、早期に病院へ行くことが大切です。

その場合、何科へ行けばよいのか悩む方も多いと思いますが、ご紹介した通り、様々な原因があるので症状だけで受診する科を決めることは難しいと思います。

そのような時は、内科、もしくは総合診療科を受診しましょう。問診や検査によって、おおよその原因が突きとめられると、その原因に応じて呼吸器科、耳鼻咽頭科、消化器科、アレルギー科など専門の科を受診するように勧められます。

なお、ここで説明した病気については、以下のページでも説明していますので、参考にしてください。

→ 逆流性食道炎についてはこちらで詳しく説明しています。

→ マイコプラズマ肺炎についてはこちらで詳しく説明しています。

→ 百日咳についてはこちらで詳しく説明しています。

→ 副鼻腔炎についてはこちらで詳しく説明しています。

→ 慢性閉塞性肺疾患・肺気腫についてはこちらで詳しく説明しています。

[カテゴリ:気管・心臓・肺, 食道]

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