芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) こむら返りに効く。マラソンや不妊治療にも効果!?
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芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、古くからある漢方薬で、こむら返り(足がつる)に効果があることで知られています。そのほか、マラソン前の服用や不妊治療にも使用されることがあり、様々な効能があると言われています。今回は芍薬甘草湯についてまとめました。
目次
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)とは
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、中国の医学書で漢方のもとを作ったといわれる「傷寒論(しょうかんろん)」に記載されている漢方薬で、足などに起こる痙攣や、こむら返り(足がつる)、胃腸など痛みに対して、その痛みを和らげるために使われています。
芍薬甘草湯の効果・効能
芍薬甘草湯は、芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)という2つの生薬を組み合わせることによって、効果が生じる薬です。
特にこむら返り(足がつる)に効くと言われていますが、そもそも、なぜこむら返りが起こるのかといえば、神経伝達に必要な水分やミネラルが不足していることや、疲労、血行不良などが原因と言われています。
芍薬甘草湯に含まれる成分が神経伝達物質に働きかけることで、筋肉の緊張がほぐれ、こむら返りや、その他の痛みなどがほぐれるのです。
芍薬甘草湯は、主に次のような、症状に効果があります。
- こむら返り(足がつる)
- 筋肉のけいれん、胃けいれん
- 腹痛(胃腸の痛みなど)
- 腰、関節の痛み
- 坐骨神経痛
- 脚気(かっけ)など
そのほかに、胆石や尿路結石の痛み、生理痛、生理不順の痛み、子宮の筋肉の緊張をやわらげるなど筋肉疲労にも効き目があるとされます。
さらには「しゃっくり」にも効果があります。
しゃっくりに対する芍薬甘草湯の効果について
しゃっくりは横隔膜の痙攣によって起こるものですが、大抵の人は薬など使わずに、短時間で治ると思います。
しかし、中には数時間、2日間、30日間などと長期に渡って続いてしまう人もいると言います。
たかが、しゃっくりと思ってしまいますが、長期に渡ると体力も消耗するし、ストレスもかかってきます。
西洋医学の薬にも痙攣を抑える薬はありますが、芍薬甘草湯はかなり効果的なようです。
ただし、しゃっくりがあまり長期間続く場合は、他の病気が関連していることがありますので、病院で医師の診断を受けることをお勧めします。
マラソンやランニングに対する芍薬甘草湯の効果について
芍薬甘草湯の効能として、こむら返りや筋肉疲労に効果があることについて記載しましたが、マラソンやランニングをすると、筋肉疲労があるのはもちろん、足がつったりする人もいると思います。
マラソンやトライアスロンは当然、筋肉疲労や足がつったりすることがありますので、足がつったときに服用したり、予防的にレースの前に服用したり、さらには、マラソン中にも補給する人もいるようです。
運動を開始する30分程度前くらいに服用すると良いと言われます。ただし、服用する際には医師と相談した上で決めるようにしてください。
芍薬甘草湯の服用の方法(用法や用量などについて)
いつ飲むの?
基本的に、症状が出ているときに飲みます。
また、漢方ですので、飲むのは空腹時が良いとされます。胃が空っぽの状態で飲むと十分に吸収されます。
もともと胃が悪い人の場合は食後に飲むよう、医師から指導されることもあります。
飲む時は、水やぬるま湯で飲んでください。
どのくらいの量を飲むの?
体の大きさ、体重、年齢などによって異なってきますが、通常、大人の場合で、7.5グラム程度を1日に3回に分けて飲むようにします。
ただし、症状などによっても服用する量が変わりますので、医師の指示に従って服用するようにしてください。
使用する前に医師に相談する必要のある人
アルドステロン症、ミオパシー、低カリウム血症のある人については、病気が悪化する可能性があることから、使用においては注意が必要となります。
また、妊娠中の人、授乳中の人、高齢者についても医師の指示のもとで使用することが必要です。
一緒に飲んではいけない薬など
次の薬剤と一緒に使用することで、偽アルドステロン症、ミオパシーが現れやすくなります。
- 他の漢方で甘草を含んでいるもの
- グリチルリチン酸、グリチロンなどを含んでいる薬
- ループ系やチアジド系の利尿剤
飲む際には、必ず医師と相談してください。
副作用について
主な副作用については、下痢、嘔吐、発疹などがあります。このような症状以外にも体調に変化が現れてあ場合には、必ず医師に相談してください。
甘草を含む漢方については、特に長い期間の使用によって、高血圧や脱力感などの副作用を生じることがあります。
また、通常の西洋医学の薬と漢方薬を一緒に飲むと、飲み合わせがうまくいかず気分がすぐれなくなることがありますので、薬の飲み合わせなどについても、必ず医師に相談してください。
その他、稀ではありますが、次のような大きな副作用が生じることもあります。
- 間質性肺炎 … 少しの運動などで息切れや息苦しさを感じます。咳や発熱、むくみなども現れることがあります。(間質性肺炎については、こちらをご覧ください。)
- 儀アルドステロン症 … めまい、どうき、息切れ、だるさ、血圧の上昇などが生じます。
- アルドステロン症 … 浮腫が現れることや、高血圧などを生じます。
- ミオパシー … 手や足のしびれ、だるさ、脱力感、筋肉痛などが現れます。
- うっ血性心不全、心室頻拍 … 動機、息切れ、胸の痛み、めまい、失神などが現れることがあります。(心不全については、こちらをご覧ください。)
- 肝機能障害 … 黄疸(体や目が黄色くなる)、発疹、だるさ、食欲不振などの症状が現れます。
市販されている芍薬甘草湯
芍薬甘草湯の服用については、医師の指示に従うことが大切ですので、市販の薬であっても、医師の指示や薬の用量用法をきちんと守って使用してください。
以下に市販されている主な芍薬甘草湯を紹介します。
顆粒
錠剤
不妊治療に使用する芍薬甘草湯
不妊治療には様々なものがあると思いますが、芍薬甘草湯も不妊治療に使用される薬の一つです。
ホルモンを正常にして、排卵を正常にするといった働きがあるとされます。
中でも、男性ホルモンの値が高い場合、黄体機能不全、多嚢胞性卵巣症候群などによる不妊に効果があるとも言われ、不妊治療で医師から処方されるケースがあります。
芍薬甘草湯のまとめ
- 芍薬甘草湯は古くからある漢方薬の一種です。
- こむら返り(足がつる)など、筋肉の痙攣や痛みに効果があります。
- しゃっくりにも効果があります。
- マラソンの前などに服用することで、筋肉疲労やマラソン中に足がつったりすることを予防する効果があると言われています。
- 副作用として、下痢、嘔吐、発疹などが出ることがあり、場合によっては重大な病気を引き起こすこともあります。
- 芍薬甘草湯は不妊治療にも用いられています。
- 多くの芍薬甘草湯が市販されています。
- 芍薬甘草湯を使用する際には、医師の指示や用量用法をしっかりと守ることが大切です。