子宮筋腫を発症する女性は多いですが、検診などで発見されても病院を受診していない人も多いのが実際です。筋腫が大きくなると様々な症状が出てきますので、定期的に医療機関を受診することは大切です。子宮筋腫の症状、原因、治療法、妊娠との関係について解説します。

更新日:2017年09月14日

この記事について

監修:大見貴秀医師

執筆:当サイト編集部

子宮筋腫とは?

子宮筋腫とは

子宮は女性だけに存在する袋状の構造をした臓器です。

「筋腫」とは筋肉組織に出来た良性腫瘍のことを指し、子宮の筋肉組織に出来た良性腫瘍を「子宮筋腫」と呼びます。

30代以上の女性なら4~5人に1人の割合で見つかるとされており、月経のある女性なら誰しもが発症する可能性がある病気です。

子宮筋腫があっても無症状の場合もあるため子宮癌検診や妊娠時に偶然見つかることも多いのですが、身近なイメージがあるせいか自己判断で放置している方が多いのが現状です。

子宮筋腫は良性の腫瘍なので症状がなければ治療の必要はなく命を失う心配もありませんが、放置した結果、不妊などにつながる場合もあります。

筋腫が子宮のどの場所にできるかにより3つのタイプに分けられ、症状や治療法が少しずつ異なります。

  1. 筋層内筋腫 → 子宮の壁にある筋層内にできます。最も多いタイプで過多月経や圧迫症状などを引き起こします。
  2. 漿膜下筋腫 → 子宮の外側を覆う漿膜にでき、外側に向かって大きくなります。無症状の場合が多いですが筋腫がねじれると急激な腹痛が起こります。
  3. 粘膜下筋腫 → 子宮の内側を覆う子宮内膜にでき、内側に向かって大きくなります。筋腫が小さくても過多月経や不正出血を起こしやすいです。粘膜下筋腫が茎を持ち子宮内から膣内に飛び出してしまったものを「筋腫分娩」と呼びます。

子宮筋腫の原因

腹痛

子宮筋腫が発生・発育する原因ははっきりしていませんが、いくつかの説があります。

女性ホルモンの影響

  1. 月経が始まる前の女性ではほとんど発生しない
  2. 閉経が近づくと筋腫が小さくなる
  3. 女性ホルモンの産生が盛んな30~40代に好発する

以上より、月経に関係する女性ホルモンである「卵胞ホルモン(エストロゲン)」が深く関わっていると考えられています。

遺伝

母親や姉妹に続いて見つかる場合が多いため、何らかの遺伝的要素があるのではないかと考えられています。

筋腫の芽

胎児の段階で筋腫の芽になる細胞は発生しており、思春期以降増加する女性ホルモンの影響を受けて少しずつ大きくなるのではないかと考えられています。

細胞増殖の異常

月経時は子宮内膜が厚くなるのですが、その時に何らかの異常が起きて筋腫を作りだしてしまうのではないかと考えられています。


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子宮筋腫の症状

子宮筋腫の症状は筋腫ができている「位置・大きさ・数」により左右されます。

  • 位置:筋層内、漿膜下、粘膜下
  • 大きさ:米粒大~10kg超まで様々
  • 数:1~複数個

成長のスピードには個人差がありますが、自覚症状が出る頃には筋腫がある程度の大きさになっている可能性があります。

閉経後の症状は快方に向かうことが多いですが、変わらない場合やひどくなる場合は子宮肉腫という悪性腫瘍の可能性があるため注意が必要です。

自覚症状がない場合や閉経後も定期的に婦人科で検査を受けた方が良いでしょう。

子宮筋腫の主な症状

症状

まず、月経時に通常と違う症状が現れることが多くなります。中でも多いのが過多月経で具体的には次のような症状が出てきます。

  • 月経期間が長い
  • 生理痛がひどい
  • 生理時の多量出血
  • 月経血の中に血の塊が混じっている

また、こういった状態が続くと貧血となり、

  • 立ちくらみ
  • 疲れやすい

といった症状があらわれてきます。

さらに、筋腫が大きくなってくると、子宮の周辺にある臓器や神経を圧迫してきますので、次のような症状が出てきます。

  • 頻尿(筋腫が膀胱を圧迫)
  • 腰痛(筋腫が骨盤の神経や血管を圧迫)
  • 便秘や腹部膨満感(筋腫が直腸を圧迫)

また、次のような症状も出ることもあります。

  • 不正出血
  • 下腹部にしこりがあるのがわかる
  • 血が混ざるなどして黄色みをおびたおりものが増える

その他、不妊症・不育症の原因にもなると言われています。なお、不妊症・不育症は次のような状態をいいます。

子宮筋腫の予防法

ジョギング

子宮筋腫は原因がはっきりしていないため、効果が期待できる予防法は残念ながらありません。

しかし、女性ホルモンが大きく関わっていることに間違いはないので、ホルモンバランスを安定させることが予防に繋がる可能性があります。

心がけたい生活習慣

  • 体を冷やさない
  • 適度に運動する
  • タバコを吸わない
  • 睡眠を十分に取る
  • 暴飲暴食を避ける
  • ストレスをためない
  • 極端なダイエットをしない
  • 乳製品や甘いものを控える

子宮筋腫と合併症

子宮筋腫は以下の様な病気を合併することがあります。

子宮内膜症

子宮内膜症は子宮以外の場所に子宮内膜ができてしまう病気です。

通常、子宮内膜は月経により体外へ出て行きますが、子宮以外の部分にできた内膜は体内に留まって出て行かないため、様々な症状を引き起こします。

原因も子宮筋腫と同様にエストロゲンが関係しているため、子宮筋腫と子宮内膜症を一緒に発症する可能性は高く、子宮内膜症のなかでも子宮内膜が子宮筋層内にもぐりこんで増殖した「子宮腺筋症」は、約4割の割合で併発していると言われています。

不妊症

子宮筋腫が子宮のどこにできるかには個人差がありますが、筋腫ができる場所によっては受精卵の着床を妨げたり卵管の通過障害が起きたりしてしまい不妊の原因になります。

卵巣のう腫

卵巣に液状のものがかたまってできた腫瘍で、子宮筋腫と同様に発生する可能性が高いものです。

卵巣嚢腫の中でも「チョコレートのう腫」といって、子宮内膜症が卵巣にできたものがあるのですが、これは卵巣内で月経が起きるようなものなので、月経と同様に内膜が剥がれるのですが、それが卵巣で固まってしまい、チョコレートのような見た目になるものです。

子宮内膜症と同様に子宮筋腫と併発する可能性が高いものです。

子宮筋腫の手術による合併症

出血、感染症、他臓器の損傷(尿管、膀胱、直腸、腸管)、腸閉塞、癒着、下肢静脈血栓症など。

子宮筋腫の検査

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子宮筋腫ができる場所は人それぞれなので、正確な「位置・数・大きさ」を知ることが重要になります。

基本的な検査は「内診」と「超音波検査」で、より詳しい情報が必要な場合にはCT検査・MRI検査などが行われます。

内診

膣内や子宮内に指を挿入し、しこり(筋腫)の有無や大きさを調べます。

超音波検査

超音波検査には2種類あり、筋腫の「位置・数・大きさ」をある程度特定します。

  • 経腹超音波検査 → お腹の上から超音波プローベをあてて観察します。
  • 経膣超音波検査 → 超音波プローベを膣内に挿入して子宮内の状態を観察します。内診では見つけにくい1cm未満の小さな筋腫まで発見できます。

CT検査・MRI検査

磁気(MRI検査)やX線(CT検査)を利用して体内の様子を画像にして観察します。

内診や超音波エコー検査で子宮筋腫の存在が確認された場合に、より詳しい情報を得るために行われます。

血液検査

貧血やがんの可能性(腫瘍マーカーの上昇)がないかを調べます。

子宮鏡検査

粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープが疑われる場合に行われる検査です。

ファイバースコープを膣から入れて、子宮腔内を直接観察し正確な位置などを確認します。

細胞診

綿棒で子宮頸部の表面をこすり取って、癌細胞の有無を顕微鏡で確認します。

子宮頸がんの可能性がないかを確認するために行います。


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子宮筋腫の治療法

子宮筋腫の治療は、婦人科や産婦人科で行われます。

症状により治療内容は異なりますが、積極的な治療が必要になるのは日常生活に支障が出ているような場合です。

経過観察

筋腫があっても症状が特になければ、積極的な治療はせず経過を見ていくことがほとんです。

定期的に検査を受け、筋腫の発育状態や症状の変化をチェックします。

特に閉経後は筋腫が小さくなっていくため経過観察に留めるケースが多くなります。

薬による治療

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(1)GnRHアゴニストによるホルモン治療(偽閉経療法)

卵巣ホルモンの分泌を抑え閉経状態にすることで一時的に筋腫を小さくします。

通常半年が1クールで、薬は点鼻薬もしくは注射で投与されます。

治療中は更年期障害のような副作用が現れる場合があり、薬を止めると再び月経が始まり筋腫のサイズも元に戻ります。

効果は一時的なので手術前に筋腫を小さくしたい場合や、閉経までの期間が短い場合などに行われます。

(2)鎮痛剤

生理痛などの痛みを緩和します。

(3)鉄剤

過多月経による貧血を緩和します。

(4)止血剤

月経時の出血量を抑えます。

(5)漢方薬

体質改善やホルモンバランスを整えます。

漢方薬は自己判断で選ぶと合わない場合もあるので医師に処方してもらう方が望ましいでしょう。

手術療法

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手術療法は大きく分けて2種類あります(子宮全摘出術と筋腫核出術)。

どちらもお腹を開ける「開腹手術」とお腹を開けない「腹腔鏡下手術」や「子宮鏡下手術」があり、筋腫の状態により最適な方法が選択されます。

入院期間は手術法により異なりますが、ほとんどの場合医療保険が適用されるため手術費用の自己負担額は20万円前後です。

(1)子宮全摘出術

  • 子宮を全て摘出します。
  • 再発の恐れはありません。
  • 卵巣は残す場合が多いので子宮全摘の手術後もホルモン不足の症状が出る心配はありません。

(2)筋腫核出術

  • 筋腫だけを取り除きます。
  • 未来に妊娠を希望する場合などに選択されます。
  • 手術後に再発する可能性があります。

子宮動脈塞栓術(UAE)

筋腫に栄養を送る血管を人工的に閉塞させることで筋腫を壊死させ小さくします。

症状があっても手術を望まない場合に選択されます。

子宮筋腫と妊娠の関係

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妊娠初期の検査で行われる経腟超音波検査で筋腫が発見されるケースが増えており、このような場合を「子宮筋腫合併妊娠」と呼びます。

妊婦さんに筋腫があっても小さく無症状であれば問題ないのですが、筋腫の状態や症状によっては流産や早産をしてしまう可能性が高くなります。

妊娠中はエストロゲンが大量に産生されるため筋腫はその影響を受け必ず大きくなりますが、妊娠中期になると筋腫は柔らかく変化する事が多いため胎児の発育や分娩には影響がないと考えられています。

筋腫のできている位置や大きさ、筋腫核出術をしたことがあるかなど考慮して経膣分娩か帝王切開かが選択されます。

子宮筋腫と子どもの関係

子どもとの関係

子宮筋腫は月経のある女性に起きる病気なので月経前の子どもは発症しません。

しかし月経が始まっていると、年齢にかかわらず子宮筋腫を発症する可能性はあります。

近年ではライフスタイルの変化により初潮年齢が早まっているので子宮筋腫の発生年齢も低下しており10代での発症も増えてきています。

過多月経など気になる症状があらわれ出したら早めに医療機関を受診しましょう。

子宮筋腫のまとめ

  • 子宮筋腫は不妊の原因になる
  • 根本的な治療は手術しかない
  • 子宮筋腫の三大症状は過多月経・月経痛・不妊
  • 妊娠時の検査で見つかることも多い
  • 発症する可能性があるのは初潮~閉経まで
  • 発生する場所で3つのタイプに分かれる
  • 「位置・大きさ・数」を知るための検査が行われる
  • 原因が不明なのでこれといった予防法もない
  • 子宮内のどこにできたかで症状も治療法も変わる
  • 月経のある女性なら誰しもが発症する可能性がある病気

[カテゴリ:女性の病気, 妊娠・出産, 貧血]

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