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更新日:2017年09月30日
ザガーロとは
ザガーロとは男性型脱毛症(AGA)に対する治療薬で、プロペシアについで日本で2番目に厚生労働省から認可されました。
2015年9月に認可され、2016年6月にグラクソ・スミスクライン株式会社から発売されています。
ザガーロの有効成分は「デュタステリド」で、プロペシアと同様にもともとは前立腺肥大症の治療に用いられていたものですが、研究や臨床試験によりAGAに対する効果と安全性が確認されたため、日本での認可に至ったのです。
前立腺肥大症の薬としては広く世界的に使用されている成分なのですが、AGA治療薬として認可を受けたのは、韓国についで2番目となります。
一方、プロペシアは2005年から日本で発売されているもので、これまで広く普及してきました。これまでプロペシアを使用して効果を実感できている人は、特に新しい薬に手を出さなくてもいいのではと思うかもしれませんが、プロペシアとザガーロでは効果などにかなり差があります。
プロペシアとザガーロの違いについて、特徴的な点は薬についている説明書にも見られます。
- プロペシアの効能・効果は「男性における男性型脱毛症の進行遅延」
- ザガーロの効能・効果は「男性における男性型脱毛症」
プロペシアの「進行遅延」に対して、ザガーロはAGA全般に効果があるように書かれています。プロペシアについても発毛効果があると言われていますが、ザガーロについては説明書からもその効果が大きく期待できると考えられます。
ザガーロとプロペシアの比較については、後に説明します。
AGAになる理由
髪の毛のサイクルは正常であれば、新しい毛が生えると数か月かけて太く立派な髪の毛に育っていきます。しかし、AGAの人の場合は、髪の毛が成長していく過程が短く、太く長い毛に育つまでに抜け落ちてしまうのです。
この原因がDHT(ジヒドロテストステロン)なのです。
次の図をご覧ください。
テストステロンという男性ホルモンが、「1型・5αリダクターゼ」と「2型・5αリダクターゼ」によって、DHT(ジヒドロテストステロン)になります。
そして、最終的にはTGF-βとなり、これによって正常な育毛サイクルは阻害され、脱毛が進むのです。
つまり、「1型・5αリダクターゼ」と「2型・5αリダクターゼ」をどうにかすれば、DHTができないので、AGAにならずに済むというわけです。
ここに効果を発揮するのが、デュタステリドとフィナステロドということになり、これがザガーロとプロペシアということになります。ただし、次のようにその効果は異なります。
- デュタステリド(ザガーロ)は「1型・5αリダクターゼ」と「2型・5αリダクターゼ」に効果
- フィナステリド(プロペシア)は「2型・5αリダクターゼ」のみに効果
デュタルテリド(ザガーロ)はプロペシアと異なり、「1型・5αリダクターゼ」と「2型・5αリダクターゼ」の両方に効果があるのです。
そういう点からも、プロペシア以上の効果が期待されています。
ザガーロの効果
ザガーロの威力をプロペシアと比較しながら説明していきます。
効果に関しては、ザガーロの説明書(第Ⅱ/Ⅲ相国際共同試験)などから引用すると次のようになっています。いずれもAGAの患者さんに24週ザガーロを1日1回投与した場合に、頭頂部の一定の場所の変化を見たものになります。
なお、詳しいことについては、ザガーロの説明書を確認してください。
毛髪数の変化
- ザガーロ(0.5mg)+89.6本
- プロペシア(1mg)+56.5本
毛髪の太さの変化
- ザガーロ(0.5mg)+5.8%
- プロペシア(1mg)+4.0%
硬い毛の数の変化
- ザガーロ(0.5mg)+46.0%
- プロペシア(1mg)+36.3%
DHTの濃度
こちらはプロペシアとの比較ではありませんが、血清中のDHT濃度の計測結果は以下のようになっています。(血清とは血液から赤血球や血しょうなどの成分を除いた液状の部分をいいます。)
- ザガーロ(0.5mg)-90.9%
- ザガーロ(0.1mg)-83.6%
また、頭皮中のDHT濃度の低下については、ザガーロを6ヶ月投与した外国人のデータによると、以下のようになります。
- ザガーロ(0.5mg)-52%
- ザガーロ(0.1mg)-40%
いずれにしても、AGAの原因となるDHTの減少が見られるのは間違いのないことであり、AGAに対する治療効果が期待できる薬です。
毛髪数はプロペシアの1.6倍の結果が!
プロペシアとの比較や、ザガーロのDHTに対する効果については、こういった試験などから、とても高い効果が期待できるようです。
特に毛髪数についてはプロペシアの1.6倍という結果になっています。髪の毛全体で考えれば、その違いは目に見えてわかるのかもしれません。
副作用について
プロペシアと同様に副作用があります。説明書などに次のようなことが記載されています。
肝機能障害など
重大な副作用として肝機能障害、黄疸などに対して、GOT、GPTなどの上昇があります。説明書にも次のような記載があります。
男性機能の低下、性欲低下
勃起不全や射精障害などの男性機能低下や性欲低下についても一定の発現が確認されています。プロペシアと同様にかなり心配になる部分ですね。
発売元メーカーが行った臨床試験のデータは、以下のようになっています。
このデータによりますと、プロペシア(フィナステリド)と比較しても、それほど副作用の発現頻度に変わりがありませんし、偽薬でも、同様の副作用が現れており、「副作用が出るのでは?」という精神的思い込みから起こる副作用の発現を考慮すると、副作用の発現頻度は、それほど高くなく、あまり重く考える必要はないかもしれませんが、副作用が現れたら服用を中止しなければなりません。
過敏症や精神神経系など
蕁麻疹や発疹、抑うつ症についても、発現頻度は少ないですが副作用として記載されています。
その他の副作用
その他、体毛の脱毛や多毛症、下痢、女性化乳房なども副作用としてあげられていますが、その発現の可能性は1%未満か、頻度が不明となっています。
ザガーロと癌の関連は?
癌については、説明書に次のような記載がありますので、一応ご紹介しておきます。
もちろん、副作用といったことではなく、その関連も不明という状況だと思いますので、服用にあたっては現時点で心配するようなことではないようです。
男性の乳癌について
副作用の記述はありませんが、説明書の「その他の注意」の欄にデュタステリドを投与された前立腺肥大症の患者さんで乳癌の報告があります。また海外での臨床試験(4325例)において、デュタステリド投与の人で2例の乳癌が報告されているようですが、国内の臨床試験では報告はありません。
前立腺癌について
白人を主体とした4年間の国際共同試験で、デュタステリドを投与した人と、プラセボ(偽薬)を投与した人を比較すると、デュタステリドを投与した人の方が前立腺癌の発症率が高かったというデータがあります。また、反対の結果を示すデータも出ており、専門家の間でも意見が一致していません。
注意事項
副作用のほか、ザガーロについては次のことが注意事項としてあげられています。該当する場合は注意してください。
- ザガーロの成分や5α還元酵素阻害薬(プロペシアなど)に対して、過敏症の既往歴がある人は服用してはいけません。
- 女性が服用すると、胎児の生殖器等を阻害する可能性がありますので、服用は厳禁です。また、ザガーロの成分であるデュタステリドは皮膚からも吸収されてしまいますので、触れてもいけません。
- 子どもの服用については、安全性が確認されていないので、服用してはいけませんし、触れてもいけません。
- ザガーロは前立腺癌検査で測定されるPSA値を低下させる作用があります。本来の値よりも低く出てしまうため、検査を行う場合には、ザガーロを服用していることを医師に伝えてください。伝えていないと前立腺癌の早期発見を見逃してしまう可能性があります。
- ザガーロの服用中に献血はできません。服用停止後、6ケ月程度は献血をさけてください。(プロペシアは1カ月となっています。)
- 効果を確認できるまでは、早ければ3カ月、通常は6か月以上の継続した服用が必要です。
ザガーロのQ&A
ザガーロの入手方法は?
ザガーロの購入には医師の処方箋が必要となります。したがって、ドラッグストアなどでは購入できません。医師の診断を受けて、調剤薬局などで購入することになります。
ザガーロの保険の適用は?
ザガーロは健康保険が適用されません。診療費やザガーロの代金も含めて、すべて自己負担となります。
ザガーロの価格は?
ザガーロは保険適用がありませんので、病院、クリニック、調剤薬局などで多少のバラツキがあります。
ザガーロ0.5mgが30カプセルで、9,500円(税込)程度となります。
保管における注意点
妊婦さんや子どもさんに対しては、服用だけでなく触れてもいけませんので、薬が外に出てしまうことのないよう、厳重に保管してください。
PSA値との関連について
前立腺がんの腫瘍マーカーとして、PSA検査というものがあります。PSAは、前立腺という精液の一部から作られるタンパク質で、正常でもある程度の量が作られています。
このPSAは、前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎などの前立腺疾患で上昇しますが、特にPSAが高い場合には前立腺がんがあるかどうかの精密検査を受ける必要があります。
しかし、ザガーロを飲むと、男性ホルモンの値が変わるので、男性ホルモンに依存した臓器である前立腺にも影響が出ます。当然PSAの値も変わりますので、健診で受けたPSAの検査結果が正常範囲内でも、本当は高くなっている場合があります。(ある程度の期間服用していると、概ね半分くらいの値になるとされています)
50歳以上の男性は、まずPSA検査を一度受けてから、ザガーロの服用を始める方がよいでしょう。ちなみに、ザガーロはもともと前立腺肥大症に対する治療薬であるアボルブという薬と同じものです。
クリニックでの処方が安心
ザガーロはとても効果の高いAGA治療薬ですが、副作用は気になるところです。髪が生えても体調が悪くなっては仕方ありません。
近くの病院でもザガーロを処方してくれると思いますが、皮膚科専門医のいるクリニックに通うことをお勧めします。
プロペシアの記事でもご説明しましたが、ザガーロも含めて遺伝子検査によりAGA治療の効果的な手法を科学的に判断することが可能になりつつあります。
そういった視点から次のようなクリニックを選ぶことが大切です。
- 検査の結果から治療方針を事前に説明してくれる。
- プロペシア、ザガーロ、その他の薬も含めて効果的な治療法を示してくれる。
- AGA治療とともに体調管理もしてくれる。
こうしたクリニックなら安心して通えると思います。
まとめ
効果
ザガーロはプロペシアについで国内で認可されたAGA治療薬で、その効果はプロペシアを上回るとも言われています。
また、臨床試験などでもプロペシアを上回る成果を出しています。
副作用・注意点
妊婦さんや子どもさんには服用はもとより、触れさせないように注意しなければなりません。
肝機能障害や男性機能の低下に関する副作用については、様子をみながら医師などと相談することが大切です。
処方について
ザガーロの処方については、皮膚科専門医のいるクリニックへ行くことをお勧めします。