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更新日:2017年08月11日
目次
モートン病とは
モートン病とは、成人女性に多く見られる足の病気です。「モートン神経腫」とも呼ばれており、神経障害の一種で、足の裏に痺れや疼痛、腫れなどの症状が出てきます。
人によって様々ですが、モートン病の患者さんの多くは「足の人差し指」と「中指」の間、または「中指」と「薬指」の間の神経で炎症が起きています。
聞き慣れない病名ですが、足裏の前方部分への繰り返される衝撃によって発症するため、ジョギングなどの運動習慣やハイヒールを履く習慣で引き起こりやすく、足の疾患の中でも比較的多く見受けられます。
モートン病は足指の神経が圧迫されて起こる
モートン病が発症するメカニズムを理解するためには、まず足指周辺の構造について知る必要があります。
足指の骨と骨の間は「深横中足靭帯」と呼ばれる靭帯によって結びつけられており、靭帯の後ろを通るように骨と骨の間に指神経が通っています。
この指神経は、足指の付け根の所で二岐に分かれて2本の指先へと伸びます。つまり、指と指の間には、2つの指の神経が集まっているのです。
2つの指の神経が交錯している部位の下には、歩行の際の衝撃を吸収するために、髄液包と呼ばれるクッションが存在しています。
足の構造から見ると、指神経が集まっている部位は、靭帯と髄液包に挟まれ圧迫されやすい状態となっているのです。
長時間のつま先立ちや足裏のトラブルによって足指の付け根に繰り返し負荷がかかると、細い指神経は靭帯と髄液包によって圧迫されて、炎症を起こします。
炎症が悪化して痺れや痛みを呈するようになった状態が、モートン病です。
モートン病の3つの原因
指神経を繰り返し圧迫してモートン病を発症させてしまう原因は大きく3つあります。
- 靴
- 足裏のトラブル
- 日常動作
1. 靴による発症
モートン病を発症させる原因で最も大きなウェイトを占めているのが、靴です。
運動靴など足裏全体をしっかり使って歩行できる靴では、指神経が圧迫される事はあまりないのですが、ハイヒールなどヒールのある靴は常時つま先立ちが強要されるため、足指の付け根に大きな負荷を与えてしまいます。
また、ヒールの高い靴だけではなく、先の狭まった靴も注意が必要です。
指神経は骨と骨の間を通っているため、足指全体が圧縮されると指神経は圧迫され、この状態で歩行する事で、さらに指神経への衝撃が大きくなってしまうのです。
モートン病を予防するためには、自分に合ったサイズの靴を履き、幅の狭い靴やハイヒールを控えるようにする事が大切です。
2. 足裏のトラブルが足のアーチを崩す
正常な足指は真っ直ぐ一直線ではなく、親指から小指にかけて緩やかなアーチを描いています。アーチを描く事で、歩行の際の衝撃を分散し、一箇所に負荷が集中しないようにできているのです。
しかし、足裏に何らかのトラブルを抱えていると、この足指のアーチが崩れて、衝撃が分散されなくなり、指神経に負荷を与えるようになります。
足指のアーチを崩す要因となる足裏のトラブルには、主に3つあります。
- 扁平足
- 外反母趾
- 開帳足
これらの足裏のトラブルは運動不足や合わない靴、間違った歩き方によって引き起こされます。
3. 中腰などの日常動作による発症
前述した通り、歩行に問題があると日常的に歪みが蓄積され、扁平足や外反母趾などの足裏のトラブルを引き起こして、モートン病の発症リスクが高まります。
それだけではなく、仕事で中腰の姿勢をよくされる方も注意が必要です。中腰の姿勢を続けていると、足指の付け根にどうしても体重がのってしまいます。すると、慢性的に指神経が圧迫され、炎症を起こしてモートン病が発症するのです。
また、足の指先を上向きに立て、地面につけない歩き方をしていると必然的に指の付け根で歩く事になるため、指上げ足もモートン病の原因になります。
モートン病の症状には特徴がある
モートン病の代表的な症状は、足裏の痺れや痛み、ほてり感です。人によってどの指の間で炎症が起きるかは様々ですが、人差し指と中指または中指と薬指の間の部位に症状を感じる人が多数です。
モートン病は、指神経が圧迫されて炎症を起こす病気ですので、ひどいケースでは指先の神経の麻痺や感覚の低下、患部の腫れを呈します。
神経の炎症が悪化すると神経がコブ状に腫れる神経腫が形成され、歩行が困難になる事もあります。
モートン病の特徴として、足指の付け根を押さえると圧痛を訴え、指を横から圧迫したり甲側へと反らしたりすると痛みが強くなるという点が挙げられます。
モートン病の診断
診断は、次の3段階で行われます。
- 問診において特徴的な症状が確認できるか
- 理学的所見においてティネルサインがみられるか
- 精密検査による確定診断
1. 問診で特徴となる症状を確認する
問診では、どのような症状がどのような時に生じるかを診断します。
足指の間に痺れなどの感覚障害や痛み、腫れなどを訴え、歩行など足指の付け根に刺激が加わる時に痛みが強くなるなどの症状を呈している場合は、モートン病が疑われます。
2. 理学的所見(触診などの検査)によって診断する
モートン病の診断で最も重要なのが、理学的所見におけるティネルサインがあるかどうかです。
ティネルサインとは、足指の付け根を叩いた時に、痛みが指の先に向かって生じる反応です。
指神経は指と指の間から二岐に分かれて指先へと伸びているので、指神経に炎症があると交錯点から指先へと痛みが伝わるのです。
ティネルサインの有無以外には、足指を甲側へと反らして痛みを生じるかどうか、つま先立ちをした時に痛みが強まるかどうかが確認されます。
ティネルサインがあった場合は、モートン病と確定されます。
3. 精密検査で確定する
モートン病の病態を詳細に確認するために、精密検査も行われます。この精密検査の結果によってモートン病の重症度などが確定されます。
精密検査では、症状に応じて様々な検査が行われます。
- レントゲン検査
- 筋電図検査
- MRI検査
- 超音波検査
モートン病の治療法
モートン病の治療は3つのステップで行われます。
- 靴に関する指導
- 保存的療法
- 手術療法
1. 靴の選び方、書き方の指導
モートン病の大半は合わない靴やハイヒールなどが原因となっているため、治療ではまず靴の選び方や履き方への指導が行われます。
さらに足指のアーチを取り戻し、外反母趾や扁平足などの足裏のトラブルを解消するためにインソールや足底板を用いた治療が行われます。
インソールについては、様々なものが市販されていますので、自分にあったものを探してみるといいですね。
2. 保存的療法
痛みなどの症状が強い場合は、靴の指導と並行して保存治療が行われます。保存的治療とは、出血を伴わない治療の事であり、手術以外の治療法の事を指します。
モートン病の保存的治療では、痛みや炎症を抑えるための薬の内服や、神経のブロック注射などが主となります。
3. 手術的療法
靴の指導やインソールによる足裏の治療、薬剤による治療でも効果がみられない場合は、手術が行われる事もあります。
手術では、神経がコブ状に腫れた神経腫の摘出や指神経の剥離、靭帯を切り離すなどの処置がとられます。
再発しないためには、リハビリが重要!自分できるリハビリ方法
足指の神経を圧迫する大きな要因の一つが、足指のアーチの崩れです。
前述した通り、足指のアーチがなくなると歩行の衝撃をうまく分散できなくなり、指神経は常に大きな負荷にさらされた状態となってしまいます。
つまり、いくら手術や薬物によってモートン病が一時的に改善しても、足裏にトラブルを抱えたままでは、再発を繰り返してしまうのです。
モートン病を完治させるためには、足指のアーチを正常に戻し、外反母趾や扁平足などの足裏のトラブルを改善する事が必要です。
そこで、自分で簡単にできるモートン病のリハビリ方法を2つお伝えいたします。
ただし、リハビリには個人差や向き不向きがございます。まずは整形外科を受診して医師と相談した上で行うようにしてください。
1. タオルギャザリング
タオルギャザリング法は、足指の筋力を強化し、足指のアーチを正常な状態に改善する効果があります。方法は以下の通りです。
タオルギャザリングのやり方
- タオルを床に広げます。
- タオルの端に足指がくるように立ってください。
- 転倒の危険がある方は、椅子を用意して座った状態で行いましょう。
- タオルを端から順番に足指全体を使って体側に引き寄せていきます。
- タオルを全て引き寄せ終えたら、タオルを元の状態に広げ、繰り返し行います。
参考の動画をご紹介いたします。
2. 足親指と小指トレーニング
外反母趾がある方ですと、タオルギャザリングを行っても、上手に小指を使えません。
タオルギャザリングで足指全体を均等に使えないという方は、こちらの足親指と小指トレーニングを行うようにしましょう。
こちらは少し難しいかもしれませんが、無理のない範囲でやってみてください。
親指と小指のトレーニングの方法1
- 足指に集中するために、椅子に座って行います。
- 足裏全体がしっかりと床につくように椅子に座ります。
- かかと、足親指、足小指の3つのポイントに均等に力が行き渡るようにしてください。
- この状態をキープしたまま、足の指全てをしっかりと伸ばし、指と指の間を最大限に開きます。
- 一旦全ての指を床から離し、親指だけを床につけて、他の4本の指は甲側へと上げます。
- 人差し指から小指へと順番に足指を床におろしていきましょう。
- この時、足指はしっかりと伸ばして、出来るだけ指と指の間を広げるように意識してください。
- 小指まで全ての足指が床についたら、かかと・親指・小指に均等に力がいきわたるようにします。
- 再度、指を全て床から離し、上記の動作を数回繰り返し行います。
そして、次の動作に入ります。
親指と小指のトレーニングの方法2
- 始めの状態に戻り、かかと、親指、小指の3点に均一になるように力を入れて、足指全てを思い切り広げた状態で床につけます。
- 足指を一旦床から全て離し、小指だけを床につけ、他の4本の指は甲側へとしっかり伸ばします。
- 次は、先ほどとは逆方向に、小指から親指へと順番に足指をおろしていきます。
- 親指までおろしたら、かかと・親指・小指の3点に均等に力がいきわたるようにします。
- 再度指を全て離して、小指から親指へと同様の動作を数回繰り返しましょう。
まとめ
聞きなれない名前のモートン病ですが、ハイヒールなどの靴や、扁平足、外反母趾によって足の神経に炎症を起こしてしまいます。
一度治療しても、もともとの原因となっている扁平足や外反母趾などを治さないと、再発につながってしまいます。ジョギングなどで無理をしてもいけませんので、整形外科を受診して医師の診断を受け、治療することが大切です。