ワキガの治療法や費用、メリットやデメリットを程度別にご紹介します。

PR

ワキガには多くの対策法や治療法があります。軽度の場合はデオドラントなどで済みますが、ひどくなればクリニックでの治療が必要です。ボトックス、ウルセラドライ、ミラドライなど手術以外の方法も多くあります。ここでは、その手法や費用、メリット・デメリットなどをご紹介します。

ワキガの治療にはどのようなものがあるのでしょうか

「ワキガ=手術」ではありません

ワキガを根本から治すためには、ワキガ臭の原因となるアポクリン腺の除去が必要です。

しかし、手術となると痛みや傷などの不安の他にも、会社などを長く休まなくてはいけないといった心配も重なることになります。

そして、一口にワキガと言っても、そのニオイの程度には個人差があり、中には手術を受けなくても症状を軽くできる場合もあるのです。

では、ワキガの治療には一体どのようなものがあるのでしょうか。

ここでは「軽度」「中度」「重度」の3段階に分けて、それぞれに適した治療法をご紹介したいと思います。

※ニオイの受け取り方は人によって異なるため、程度を明確に線引きすることは難しいのですが、当サイト編集部で客観的と思われる分類をしました。軽度、中度、重度の説明についても治療法と合わせて記載していますのでご覧ください。

軽度のワキガの治療について

  • 清潔を保っている時はニオイが気にならないものの、汗をかくとワキガ臭がする。
  • 周囲からワキガであることを指摘されたことがない。
  • 市販されている制汗剤でニオイは抑えられていると感じる。
  • 肌着や服などの脇の部分のニオイを直接嗅ぐと、ワキガ臭がすることがある。
  • 耳垢はねっとりというよりは、少し湿っている程度。

このような場合は軽度のワキガと考えられます。軽度のワキガには次のような治療法があります。

デオドラント

市販されているデオドラントや制汗剤で、ニオイの元や汗を抑えることでワキガ臭を軽減します。

痛みや感触は?

多くがスプレータイプないしロールオンタイプのため、使用に関して痛みを感じることがないので、ワキガの初歩的な治療として最初に試してみる場合が多いと思います。

メリットは?

どこでも買えるだけではなく、エチケットとして持ち歩いている人が多いので、バッグに入れておける気軽さも嬉しいところです。

デメリットは?

製品によっては金属臭がするものがあったり、ワキガのニオイが混ざって余計に嫌なニオイになることがあります。

また、日に何度も使うと成分が洋服に移り、黄ばみなどの原因になることもあります。

料金

数百円~数千円と製品によって価格にはばらつきがあります。

クリーム

ワキガのニオイを抑える働きに特化したクリームも販売されています。

クリームは、スプレータイプやロールオンタイプに比べ、消臭作用に優れているものが多く、ニオイが気になる人はクリームがお勧めです。

痛みや感触など

脇に塗るだけなので痛みはありません。感触はクリームにもよりますが、嫌な感触を感じることはないでしょう。

メリットは?

制汗剤などと同様にドラッグストアなどで手軽に買うことができます。

また、市販されているものの他に、通販でしか買えない製品もあるので、誰にも知られずに買いたい時は通販を利用する方法もあります。

デメリットは?

乾いた脇に塗らないと効果が半減してしまうため、脇汗の多い人は制汗剤との併用がお勧めな場合もあります。

また、汗をかいてしまうと成分が流れてしまうため、脇に汗をかいたらこまめに拭いて塗り直す必要があります。

料金

市販されているものは数百円~千円程度。通販のものは、2~3千円~5~6千円程度となります。

ミョウバン

水に溶かしたものをスプレーするか、コットンなどに染み込ませて脇を拭くことで、ニオイを抑えることができます。

ミョウバンは酸性のため、アルカリ性を好む雑菌の繁殖を防ぎ、ニオイの元を抑える効果があると言われています。

紀元前のギリシャでは、ミョウバンがデオドラント剤として使用されていたと言われています。

痛みや感触は?

人によっては塗った時にピリピリとした痛みを感じることがあるようです。

また、ミョウバン水を塗った後の皮膚は乾燥しやすいため、突っ張るような感覚がある場合もあります。

メリットは?

ミョウバンは食品添加物の一つで無香料無着色のため、市販の制汗剤やデオドラントは香料などが気になる・・という人にお勧めです。

また、強い収れん作用があるため、毛穴を引き締める効果もあります。

デメリットは?

スプレーにして吹きかける場合、即効性はあるものの持続性には欠ける部分があります。

また、肌の弱い人はかぶれることがあります。

料金

ドラッグストアなどで購入可能。100円程度。

塩化アルミニウム液

コットンやティッシュに染み込ませ、脇の下に塗ることで汗を止めて、ワキガのニオイを抑えます。

痛みや感触は?

肌が弱い人が使用した場合、ピリピリとした痛みや痒みを感じることがあるようです。

メリットは?

ドラッグストアなどでは「オドレミン」という名前で市販されており、手軽に買うことができます。

デメリットは?

オドレミンは病院で処方される塩化アルミニウム液と比べて濃度が薄いことから、効果がやや劣ると言われています。

また、液状のため塗りづらく、乾くまで時間が掛かることがあります。

料金

千円前後で購入できます。

臭化プロパンテリン

汗の分泌に関わる神経伝達物資の一つであるアセチルコリンの分泌を抑えることで、ワキガの元となるアポクリン腺からの発汗を抑える治療法です。

臭化プロパンテリンは、“プロバンサイン”という名前で多汗症の治療薬として病院で処方されており、ワキガの治療薬としても用いられます。

痛みや感触は?

内服薬のため、痛みなどが起こることはないようです。

メリットは?

汗をかかなければワキガ独特のニオイはしなくなるため、効果は高いと言えます。

デメリットは?

気になる脇汗だけではなく、体全体の体液の分泌が抑えられるため、口や目の乾き、便秘、排尿障害、強い眠気といった副作用が起こりやすくなります。

また、汗を止めてしまうことで体内に熱がこもりやすくなり、熱中症になりやすくなるとも言われています。

料金

プロバンサインの処方については、保険が適用されるため一ヶ月分の処方で1~2千円ほどとなっています。

中度のワキガの治療について

  • 肌着や服などの脇の部分のニオイを直接嗅がなくても、ワキガ臭がすることがある。
  • 家族や友達など、親しい間柄の人にニオイについて指摘されたことがある。
  • 白いシャツを着ると、その日のうちに脇の部分に黄色いシミができる。
  • 耳垢はねっとりしていて粘性がある。
  • 脇汗がひどい。

このような場合は中度のワキガと考えられますが、中度のワキガには次のような治療法があります。

ボトックス

ボトックスとは、食中毒の原因と言われているボツリヌス菌から精製されたA型ボツリヌストキシン製剤を注射器にて患部に注入する治療法です。

A型ボツリヌストキシン製剤には、神経伝達物質のアセチルコリンの働きを抑える作用があることから、古くから眼瞼痙攣や片側顔面痙攣などの治療に使われており、近年ではその作用を利用して、しわ取りなどの美容医療にも利用されています。

さらに、アセチルコリンの働きを抑制することで発汗が止まることから、多汗症の治療にも用いられており、ワキガの治療にも役立つとされています。

痛みは?

脇に注射を打つため、痛みを感じる人が多いようです。

クリニックによっては、あらかじめ患部を冷やしたり、笑気ガスや麻酔テープなどを使用して痛みをやわらげる処置をしてくれる場合もあるため、不安がある時は相談するのがよいでしょう。

メリットは?

脇にA型ボツリヌストキシン製剤を注射するだけなので、治療時間は5~10分ととても短時間で済み、またダウンタイムの必要がありません。

そのため、治療を受けた当日から通常の生活を送ることができ、会社などを休む必要がないので、治療を受けたことを周囲に知られることがありません。

デメリットは?

効果が半年~一年ほどと限定的のため、効果を継続させるためには年に一度程度、治療を受ける必要があります。

また、ボトックスを受けた人全てに効果があるわけではなく、場合によっては殆ど汗が止まらないこともあるようです。

料金

ワキガのボトックス治療は保険適用外のため、両脇で10~15万円程度と高額な治療費が必要となります。

ただし、原発性腋窩多汗症と診断された場合は保険適用になり、自己負担は3万円ほどになります。(保険適用の有無についてはクリニックによって異なりますので、詳細はクリニックで確認してください。)

ワキガを発症している人の中には、多汗症を併発している場合が多いため、ご自身にその可能性があるのか調べてみるのがよいかも知れません。

原発性腋窩多汗症の判断基準は以下の通りとなります。

  • 症状が現れたのが25歳よりも下である
  • 左右脇が同じように汗をかく
  • 寝ている時は脇汗は止まっている、あまりかかない
  • 週1回以上、大量の脇汗をかくことがある
  • 家族や身内などにも同じ症状の人がいる
  • 脇汗によって日常生活に支障をきたしている

このうち、2つ以上があてはまる場合は、原発性腋窩多汗症の可能性があると言われています。

その他の注意事項

ボトックスは、本来であればアラガン社製のA型ボツリヌストキシン製剤のことを指しますが、他の製薬会社が製造したものも含めてボトックスと呼ぶことが一般的になっています。

日本では、アラガン社製のボトックスのみが承認薬となっていて、その他のA型ボツリヌストキシン製剤については、国内では承認されていません。

ただし、アメリカ食品医療品局(FDA)や、韓国食品医薬品安全庁(KFDA)など、国外で承認を受けて広く使用されているものもあり、日本国内でも多くのクリニックが使用しています。

美容クリニックなどでボトックスを受ける時は、使用する製剤についてあらかじめ確認しておくことが大切です。

電気凝固法

毛根部に電極針を刺して電流を流して、ワキガの原因となるアポクリン腺やエクリン腺を破壊します。

電気凝固法は、メスを使わずにワキガ治療が行えるとして、今、とても人気がある治療法ですが、その中でも特にウルセラドライとミラドライが注目されています。

ウルセラドライ

ウルセラドライは、川崎中央クリニックの南部院長が開発した多汗症治療法です。

それまで、前立腺がんや顔のたるみ治療のために用いられていた“ウルセラシステム”を使用し、汗腺の層に高密度焦点式超音波を当てて熱損傷を起こして発汗を抑えます。

局所麻酔をするため施術中は痛みを感じることはありません。

また、施術後は冷却して皮膚を鎮静させるため、ダウンタイムの必要がありませんが、施術当日から翌日にかけて皮膚がヒリヒリしたり、むくみが生じることがあります。

なお、ウルセラドライは川崎中央クリニックの登録商標となっており、川崎中央クリニック以外で受けることはできません。

費用は、保険適用外になるため30万円となっています。

ミラドライ

ミラドライは、Miramar Labs社が開発した多汗症・わきが治療器です。

マイクロ波を照射することで汗腺を破壊し、ワキガの症状を改善します。

ミラドライは、Miramar Labs社の認定を受けた医師のみの施術となっており、高い安全性が期待できます。

施術に関しては、局所麻酔や冷却で痛みを極力抑えた状態で行われます。

また、施術後に腫れやむくみが生じることがありますが、こちらも日数が経過する毎に解消されます。

施術時間は両脇で1時間程度となっており、費用は保険適用外のため30~50万円ほどとなっています。

レーザー治療

脇毛が生えていると汗がこもってニオイがしやすいため、レーザーで脇毛を脱毛することでワキガの症状を抑えることができます。

また、ニオイを発生させる皮膚の常在菌は毛根部分に繁殖しやすいため、脱毛によって菌が増えるのを防ぐことができます。

痛みは?

痛みの感じ方には個人差がありますが、輪ゴムで弾かれた程度と感じる人が多いようです。

施術中はクーリングガスで患部を冷やしながら照射するため、熱さを感じることはないようです。

また、痛みに不安がある人は、麻酔クリームなどを使用することも可能となっていますので、事前にクリニックに問い合わせてみましょう。

メリットは?

レーザーによる脇の脱毛は、両脇合わせて5分程度と非常に施術時間が短く、さらに脇の脱毛が同時にできてお得感があります。

デメリットは?

肌への負担が0ではなく、場合によっては火傷などが起こる可能性があります。

また、施術の前には脇毛を剃っておく必要がある、色素の薄い毛には反応しない、日焼けをしていると受けられない、定期的にクリニックに通う必要がある、ワキガの原因であるアポクリン腺を除去するわけではないので、再発することがあるなどのデメリットがあります。

料金

レーザーによる脇毛の脱毛は、一回の料金は数千円程度となっていますが、何度も通う必要があることから、複数回のセット料金を導入しているクリニックが多いようです。

レーザー脱毛はワキガの保険適用にならないため、自由診療となり料金設定は各クリニックが行いますが、平均的な参考として、3~5回で1万円~2万円程度となっています。

レーザー脱毛するとワキガになるって本当?

レーザー脱毛をした後の方がワキガのニオイが気になるようになった、という声があるようですが、レーザー脱毛が原因でワキガになったり、ワキガのニオイが強くなるということはありません。

なぜなら、ワキガはアポクリン腺という汗腺から分泌される汗が原因となるからです。

では、なぜニオイが強くなったように感じるのでしょうか。

それは、脇毛がなくなることで、毛穴に皮脂や汚れなどが溜まって菌が繁殖し、酸化したことが原因と考えられます。

このような場合は、毛穴の詰まりを解消することでニオイが軽減されます。

重度のワキガの治療について

  • 市販の制汗剤やデオドラントでは、全くニオイが消えない。
  • 耳垢がドロドロとしている。
  • 汗をかいていなくてもワキガ臭がする。
  • 脇汗や手汗、足汗などがひどい。
  • 肌着や洋服の脇の部分の変色がひどい。白い服だけではなく色味のある服を着ていても変色することがある。
  • 周囲の人から嫌な顔をされたり、遠ざかれたりすることがある。
  • 脇のケアをしても、ニオイが軽減されない。

このような場合は重度のワキガと考えられますが、重度のワキガには次のような治療法があります。

手術

ワキガ治療の外科手術で、一般的に行われているのは“剪除法(せんじょほう)”と呼ばれるものです。

脇のしわに合わせて2~4㎝ほどメスで切開した後、アポクリン腺を一つずつ取り除いていきます。

手術時間は両脇で1~2時間ほどとなっており、通常は入院せずに日帰りで行います。

皮膚科、美容外科、美容クリニックなどで行っています。

痛みは?

外科手術のため、麻酔が使用されるので手術中の痛みはありませんが、術後は痛みや腫れがあるので、処方薬として抗生剤や鎮痛剤が出されます。

メリットは?

目に見えるアポクリン腺は除去してしまうため、再発する心配がありません。

デメリットは?

手術後は血液やリンパ液などが溜まらないように、脇を固定して圧迫するため、日常生活が制限されます。

また、術後の経過を見るためにしばらくはクリニックに頻繁に通う必要があります。

さらに、縫合の仕上がりによっては傷が目立つことがあり、精神的な負担となるケースもあるようです。

料金

通常であれば10~20万円ほど掛かりますが、剪除法には保険が適用されるため、3割負担であれば3~5万円ほどで済みます。

ただし、保険適用で剪除法を受けるには、医師によってワキガと診断されることが条件になります。

皮下組織吸引法の手術

ワキガの手術には、この他に皮下組織吸引法があります。

皮下組織吸引法では、脇に小さな穴を開け、そこにカニューレと呼ばれる吸引器を差しこみ、アポクリン腺やエクリン腺、皮脂線をかきだして取り出します。

傷口が小さいため、術後の傷跡が気になる人にはお勧めですが、剪除法に比べてアポクリン腺の取り残しが多く、再発しやすい方法と言われています。

まとめ

わきがの対策や治療法は程度によって、いろいろな手法があることが分かっていただけたと思います。

最終的には手術という方法がありますが、抵抗がある人は、まずは手術以外の手法を試していくといいでしょう。

自分んがワキガだとわかったら、早めに対策を講じるといいでしょう。周囲の反応がみるみる変わっていきますよ。