更新日:2017年07月14日
更年期障害とは
更年期障害は40代後半から50代の女性の多くが悩んでいる症状のひとつです。最近は、30代の若い世代にも更年期障害に悩まされている人がいることがわかってきました。
更年期の女性は、女性ホルモンの分泌量が大きく低下し、その体の急激な変化に体がついていけなくなってしまうのです。更年期障害の症状の出方には個人差があり、うつ状態にまで達してしまう人もいれば、少し症状が出るのみという人もいます。
更年期障害だなんて、自分でも認めたくない気持ちが強くて、なかなか病院に行きづらいですよね。でも、ホルモン療法で驚くくらいに症状が改善することもあります。
更年期障害は新たな体の変化を受け入れるための準備期間です。体の変化を感じたら早めに正しく処置して、更年期を元気に乗り切りましょう。
更年期障害の原因
閉経が近い年齢になると、卵巣の機能が低下して卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンといいます)の量が減ります。エストロゲンが減ると、脳の視床下部にある自律神経中枢に影響を及ぼし、自律神経の乱れにつながります。
また、この年代は子育てや親の介護などでいろいろとストレスがかかることが多く、精神的な不調も合わさって様々な症状があらわれます。
仕事をしている人の場合、キャリアを積むにつれて責任が重くのしかかったり、簡単に休んだりできなくなることも、更年期女性のライフステージの特徴と言えます。
更年期障害のしくみ
女性ホルモンには、髪をつややかにしたり、肌のハリを保ったり、女性らしい体を作る作用があります。しかし、女性ホルモンの働きは、それだけではなく、脳や自律神経の働きを維持する作用もあるのです。
更年期に入り、女性ホルモンの分泌が不十分になると、脳は女性ホルモンをなんとか分泌しようとして、性腺刺激ホルモンを過剰に分泌します(通常の10倍以上)。
その結果、全身のホルモンバランスや自律神経のバランスが乱れ、更年期障害と呼ばれる体の不調を引き起こします。
症状には個人差があり、更年期でも全く更年期障害の症状が出ない人もいます。また、症状の現れ方にも個人差があり、体質だけではなく、食生活や生活習慣にも関係しています。
また、「自分は更年期障害ではない」と思っていて、苦しんでいる人も多くいます。
更年期障害は、閉経後に発症すると思っていませんか?更年期障害は、閉経前後の女性ホルモンの減少によるものなので、閉経前でも発症するのです。「もしかして更年期障害?」と感じたら、婦人科を受診してみましょう。
更年期障害の3つの症状
症状は大きく分けて以下の3つに分けられます。
- 自律神経失調症状
- 精神症状
- その他の症状
1. 自律神経失調症状
更年期障害の代表ともいえる顔のほてりやのぼせといったホットフラッシュは、閉経した女性の40%〜80%に発生すると言われています。通常は1年から数年間続きますが、治療を必要とするものは少ないです。
2. 精神症状
精神的な状態としては、まずイライラすることが多くなってきます。
さらに、抑うつは閉経した女性の約40%に発生します。実はホットフラッシュよりも精神症状に悩まされている人が多いのです。
うつ病と症状が似ているため、初期状態では診断が難しいこともあります。
3. その他の症状
肩こりなどが発生する人もいますが、普通は更年期障害だとは思いませんよね・・・。
どんな人がなりやすい?
周りを見てみると、更年期障害が全くなさそうな人がいますよね。もちろん、見せないようにしていこともあるとは思いますが、なかなか隠すことも難しいはずです。
更年期障害は、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な変化に体がついていけないものであるため、このエストロゲンの減少がおだやかな人は症状が出にくいことになります。
また、もともと自律神経が乱れがちな人、ストレスに弱い人は症状も出やすくなります。
更年期障害の対策
更年期障害の症状がつらい場合は、婦人科に行くのが一番ですが、まずは自分で対策を行ってみましょう。症状を軽減するためには、食生活に加えて、精神面のケアも必要になります。
更年期障害に効く食生活
大豆食品を毎日摂取しましょう。
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンに似た作用を持っています。大豆イソフラボンは、髪や肌をつややかに整え、心と体のバランスを整えてくれる栄養素なのです。
更年期障害に関わらず、女性ならば心がけて豆腐や納豆など、大豆を毎日の食生活に取り入れましょう!もちろん、お味噌も大豆食品ですよ!
牛乳や乳製品でカルシウムを毎日摂取しましょう。
女性ホルモンであるエストロゲンは、破骨細胞の働きを抑え、骨からカルシウムが失われるのを防いでくれています。
更年期障害対策で女性ホルモンが減少すると骨密度が低下し、骨粗しょう症などを引き起こしてしまう恐れがあります。
更年期障害対策による骨粗しょう症を防止するため、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどで毎日カルシウムを補強しましょう。
イライラを抑える工夫
更年期にイライラしてしまうのは仕方のないこと。それを悩んでしまっては、余計に精神的にまいってしまいます。
一日に一度だけでも、心身をリラックスさせる時間を持ちましょう。病院でも、更年期障害の治療としてアロマテラピーなどを取り入れているところも多いんですよ!
- ぬるめのお風呂で半身浴をする
- ラベンダーやベルガモットなど、リラックスのできるエッセンシャルオイルを入れて入浴する
- ウォーキングなど軽めの有酸素運動を行う
- 朝、日光を浴びる習慣をつける
- ずっと忙しくてできなかったお稽古事をはじめてみる
たまにはちょっと贅沢して、ゆっくりとマッサージを受けてみるのもいいでしょう。更年期は、子育てもひと段落して自分のために時間を取れる時期です。たっぷりと「きれいになるための自分磨き」に時間をかけることもできますよね。
イケメン俳優に憧れることや、きれいでいたいと思うことも、女性ホルモンを活発化して更年期障害の治療になるんですよ。
更年期障害の治療
「更年期障害で医者なんて」と思っている方が多いと思いますが、実際に専門医の診断を受ける人が増えています。
ホットフラッシュや発汗などには、女性ホルモン(エストロゲン)を補充する薬や漢方による治療がおこなわれます。通常は1ケ月程度で症状が緩和されます。
また、精神症状には、一般のうつ病と同様に向精神薬やエストロゲンの補充などが行われます。
治療の副作用
5年以上、エストロゲンなどのホルモン補充療法を行っている女性は、行っていない女性と比較して乳がんの発症率がわずかに上昇すると言われています。
また、子宮を摘出している場合、エストロゲン製剤だけを単独で用いますが、それ以外では、子宮内膜がんの発症を予防するためにエストロゲンと黄体ホルモンが併用されます。黄体ホルモンの投与により不正出血が生じる場合がありますが、続けているうちになくなっていきます。
ホルモン療法を行う場合、乳がんや子宮がんの定期的な検査が行われます。医師と相談しながら治療を続けていきましょう。
看護師からひとこと
更年期なんて認めたくない!という気持ちもあって、受診をためらってしまう女性も多いようです。更年期障害というのは、本当に身体に変調をきたしている状態です。
「気の持ちよう」で片づけてしまわずに、早めに婦人科を受診しましょう。集団検診では難しいですが、個人のクリニックで受けるのなら、婦人科検診のときに相談してみるのもいいでしょう。
まとめ
原因
女性ホルモンの低下に体がついていかず、様々な症状がでています。従来は40代後半から出現することが一般的でしたが、近年は30代で症状が現れる若年性の更年期障害も知られています。
対策
更年期障害は自律神経の乱れ+精神症状が合わさっているため、リラックスできる環境を作ることはとても大切。症状が緩和しない場合や日常生活に支障をきたす場合は、婦人科の医師に相談してください。とても楽になりますよ。